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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
    年齢:
    64
    性別:
    男性
    誕生日:
    1960/01/26
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    食べる仕事を原宿で。

    bboo.jpgバンブーのこれからの季節のメニューの試食。
    全部で3種類あるコースをそれぞれ分担し、十分、お腹いっぱいになるかどうかを確かめる。
    それだけならば普通の食事。
    けれどそれぞれのコースの料理をそれぞれ食べ比べ、しっかり差別化できているのか?
    値段以上の価値があるのか?
    …、なんてコトをみんなで検討。
    だから試食はいつも一人前以上を食べる!が原則で、おいしい仕事も命がけ。

    それにしても今日のようなこぬか雨。
    お店の周りの緑を艶っと色っぽく、キレイに見せる。
    出来たときにはまだ若く、小さな木々がすっかり太って逞しく、緑の影をテラスに落とす。
    こうした景色がこの東京ではおそらく一番のオゴチソウ。

    ボクが担当したのは結婚披露宴用のちょっと上等なコースであります。
    まずは前菜。

    4bd588ca.jpegポーチドオマールというめでたい一品。
    オマール海老をお湯に放って軽くやさしく熱を加える。
    中まで決して火を通さずに、その表面がほどよく硬くなったところで引き上げる、ちょうど「ポーチドエッグ」を作るような要領で、旨味をシッカリ閉じ込めたもの。
    その持ち味を殺さぬように、酸味も塩味も控え目のソースを少々、ドレスしてキャビアの塩味で味を加減して食べる趣向が、なかなかに良い。

    結婚披露宴の料理はおいしいだけじゃ粋じゃない。
    食べ易いこと。
    折角のお洒落なドレスや洋服を汚してしまう恐れが少ないものじゃなきゃ駄目。
    しかも会話が弾むような、そんな料理に仕上がっている。
    まぁ、いい感じ。

    続いてポタージュ。

    74ee7e1b.jpeg宴会場で一度に何十人前もの料理を一度に提供しなくちゃいけない時に、果たしてスープは必要か?
    …、っていつも問題になりはする。
    けれど日本人。
    多分、世界で一番スープやお汁が好きな国民じゃないかと思う。
    飛行機の飲み物サービスにコンソメスープが必ずある、こんな国はおそらく世界で日本だけ。
    だからどうしてもスープを外すことができない。
    しょうがない。

    秋から冬のコースでもあり、キノコのスープ。
    ブラックマッシュルームを中心に何種類ものキノコをスープとジャジャッとミキサーで、ピュレ一歩手前の濃厚なスープにしたて、ソテしたジロール茸をタップリ沈めて食べる。
    飲むのじゃなくて、食べるスープ。
    これはこれで美味しかったけど、でもコースの中ではちょっと濃厚すぎやしない?
    これだけ旨いと、自然とパンが進んでしまいメインがおいしく食べられなくなっちゃうかもしれないね…、と、ちょっと濃度を下げることにした。
    おいしさもほどほどであることが大切なんだ…、って思ったりした。
    よき勉強。

    魚のメイン。

    c37266a6.jpeg焼いた黒ムツ。
    栗のリゾットをあしらって、酸味をくわえたバターソースで食べるモノ。
    シットリとした魚の味わい。
    塩の旨味と海の風味が、甘く仕上げた栗とまじって際立つ趣向。
    季節感もほどよくて、これもまたまたいい感じ。
    なによりお米という炭水化物がお腹に入ってやってくる…、というのにとってもホッとする。
    スープ好きであると同時に、炭水化物好きな日本の人の心をガシっとわしづかみするよき工夫。

    それにしてもブールブランと呼ばれるソース。
    フランス料理を新しくしたエポックメイキングなソースなんだ…、って今日、教わった。
    甘味、塩味、やさしい旨味。
    バターの脂のコクに風味と、それらを酸味がひとつにまとめる。
    それ単独で十分ソースになってくれ、しかも他のソースや素材と一緒にしてもそれらを邪魔せずむしろおいしくしてくれる。
    和食でいえば「出汁」のような、そんな位置づけ。
    ブールブランを制する者がフランス料理をおいしくさせる。
    なるほど、なるほど、メモしちゃう。

    お肉の料理。

    a4918b3c.jpeg和牛のヒレをグリルして、ソースとそれからカボチャのピュレをあしらったモノ。
    さてどうやって食べようか?
    ヒレをそのまま。
    ソースをつけて。
    それからピュレの甘味を足して…、といろんな食べ方ためしつつ、自分好みの味を作ってたのしむうれしさ。
    フランス料理ならではのコト。
    メインのお肉は問題なくも、サイドの野菜の付け合わせがちょっと華やぎにかけるよね…、って。
    ここはもひとつ一工夫。

    ところでここの商品作りにルールが一つ。
    夜のお肉は牛肉以外を使わないこと。
    フランス料理って不思議なことに、高級になればなるほどお肉の料理の素材がどんどん、日本人の高級感から遠ざかっていく。
    鴨や仔羊。
    まぁ、ここまでは許容範囲。
    ウズラやキジや鳩ってほんとに食べ物なの?…、って普通の人は敬遠しちゃう。
    知らずにウサギを食べさせられて、泣きながら怒って帰ったお客様がかつていて、絶対、そうした素材は使わずわかり易い贅沢感に徹しましょう…、と。
    それからここの宴会料理は和牛だけ。

    デザートの盛り合わせにコーヒー、それからプチフルールでコースの終わり。

    6fed61cc.jpeg軽く焼き上がったチョコレート味のスポンジと、ビターカカオのムースを互い違いに積み重ね、一番上と一番下に薄く伸ばしたチョコで挟んだ、冷たくはないビオネッタ…、みたいな味わい。
    そして食感。
    シットリ、フワフワ、パリパリと、同じチョコでもその食感が変わるとまるで違った味に頭が感じる。
    おもしろい。
    ビターなチョコに酸味豊かなフランボワーズのソルベが混じって、苦みが一層引き立ってくる。
    和食にはない洋食の、なによりたのしいご馳走はこんなデザート。
    お腹の中に甘い蓋がポトンと落ちて、おいしい余韻に浸ってください…、とやさしくささやく。
    良き晩餐の終わりの合図。

    ほぼ満足な出来ではあって、けれどいくつか改良点をみなで指摘しあって次の試食のヒントとなした。
    お腹一杯以上のたのしさ。
    おいしい仕事、完了す!

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    なにかちがう~~ぅ!
    コース料理難しいですね。自分が食べたことの無い素材比べようがないと思っています。みんなが懐かしい味を作って、何か、違うよねって言われたいな。この値段で当たり前って言われる料理は作りたくない僕でした。今日は、おごりの会で、ペコーンとしてニッコリしてベンキョウして寝ます。おやすみなさい(笑)
    変わり者ミダさん / 2009/10/07(Wed) /
    食べ慣れたモノ
    > 変わり者ミダさん
    誰も一度も食べたことがない素材で料理を作ってけむに巻く…、っていうのは卑怯なことだろうって思います。
    食べ慣れたモノ。
    見慣れた素材を、えっ、こんなにおいしくできるの?って調理が出来て、初めてプロ。
    むつかしいですけれどね。
    サカキシンイチロウさん / 2009/10/07(Wed) /
    バンブー
    バンブー、素敵なお店ですね。今年の夏初めてランチを食べにいきました。
    テラス席で美味しい野菜のサンドイッチを食べて、店員さんのテキパキして温かいサービスを眺めながら「オアシスみたいだな~」とゆったりうっとり時間を過ごしました・・・
    ハシさん / 2009/10/07(Wed) /
    サンドイッチハウス的
    > ハシさん
    今のような豪華な建物になる前は、ずっとサンドイッチハウスとして営業してたんですね。
    だから今でも、サンドイッチをお洒落にたのしく食べてもらおう…、って一生懸命努力をしてる。
    都心にあってリゾートみたいな雰囲気を大切にしようって思ってもいます。
    またたのしみに来てくださいね。
    サカキシンイチロウさん / 2009/10/07(Wed) /
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