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2024/11/22 (Fri)
パザパなランチ
四谷三丁目のパザパ。
カジュアルフレンチ。
プリフィックスのビストロ料理。
一等地には無い隠れ家レストラン。
今となってはいろんな街のいろんなところに見受けられるようになったビストロの、先駆けとでもいいますか、老舗の一軒。
限りなくノーサービスに近い合理的と、質実剛健を絵に描いたような雰囲気が好き嫌いを決するところではありましょうけど、ボクは好き。
気取りばかりのレストランを笑い飛ばすような食堂風が、むしろこの店の特徴でもあるんでしょうね。
写真を撮るとパリの下町。
窓に貼られたイチロウの一番搾りのポスターがなければもっとパリ(笑)。
昼間は特にお値打ちで、みるみるうちに満席になる。
前菜、メインにデザートをそれぞれ7、8種類用意されてる料理から一品づつを選んで1575円でたのしめる。
まずは前菜、パテカンパーニュ。
豚肉をパテ型に固めた冷たい前菜で、ビストロ料理の代表格。
肉がホツホツ。
なめらかなひき肉にするのじゃなくて、噛んでたのしい食感残したザックリ切った肉がコツコツ、奥歯にあたる。
噛むたのしみと、口にジュワンと滲むおいしさ。
肉から溶け出たゼラチン分がパテの周りをコーティングする、まるで煮こごり。
醤油なんかを使った訳じゃ当然ないのに何故だか、魚の煮こごり食べてるみたいな香ばしい風味とコクが舌伝いにやってくる。
必死に活きた動物の旨味は海山問わず同じ旨味をひねり出すのか?…、ってそんなことを思ったりした。
ちと深い。
さっぱりとしたビネグレットで装った、シャキシャキとした葉っぱ野菜と酸っぱいピクルス。
お腹の入り口をそっとやさしく開いてくれる。
コレ以外の前菜も、鶏の白レバーのムースだとか、生ハム、スモークサーモンをサラダやサイトあわせて作る。
簡単だけど、お腹にやさしく、しかも食欲引き出すようなよき一品。
ほどなくメインがやってくる。
トリップの煮込み。
牛の胃袋が、なぜこんなにもおいしくなるの?
…、っていつもこれを食べるたびに不思議に思う。
くにゅんくにゅんと歯茎にまとわりついてくるなめらかと、噛んでも噛んでもへこたれない逞しさ。
その両極端を兼ね備えている顎と舌においしいご馳走。
胃のヒダヒダがときおり口の粘膜に貼り付いてくるのがまたたのしくて、喉の奥に手渡したくなくなる衝動に取り憑かれたりしもする一品。
トマトとニンニク、唐辛子。
おもしろいことにイタリアやスペインなんかでもトリップ料理しましょうってなると、おんなじような料理になっちゃう。
それほど完成されたレシピなんでしょうね。
確かにおいしい。
煮込んだ後のトマトソースがまたおいしくて、パンを付けて食べ始めると何度お替わりしても足りない。
オゴチソウ。
同行の仲間がたのんだ、鶏モモのロースト、バルサミコソースかけ。
シッカリ身のしまった鶏のもも肉。
ガッシリとしたところを皮目をパリっと焼いて、オーブンの中でシッカリ中まで火を通す。
フックラとしてしかもジューシー。
なのに皮の部分に限って、まるでフライドチキンみたいな風味もしてて一度で二つの料理を食べてる、そんな気になる。
おもしろさ。
ボクのトリップ、この鶏も両方サイドはマッシュポテトで、これがまたまたなかなかおいしい。
ヌルンとなめらか、ポッテリやわらか。
バターの香りがフワンと香り、ソースを付けて食べるとまるでポテトグラタンのようになる。
腹にもたまる。
ビストロらしいよきガルニ。
ケーキとコーヒー。
バナナのフラン。
冷たく冷やした焼き菓子で、売れる手前の若いバナナをタップリいれて、玉子と粉でまとめて焼いたプリンっぽさをたたえたケーキ。
若いバナナの食感がまるでお芋。
酸味はちょっとリンゴにも似てこれはバナナのお菓子なんですって言われなければ気づかない。
最後に残る甘い香りがかろうじて、口の中に今まであったなめらかなものの正体が南国バナナと教えてくれる、そんな以外がまた面白い。
それにしても手頃な値段のランチコースでも甘いお菓子がつくのが和食や中国料理にないステキなところ。
アイスクリームとかフルーツじゃなく、粉を使った焼き菓子を最後に食べると、お腹がドッシリ、落ち着いてくる。
今日のお昼はコレでおしまい。
甘いモノがそう言いながら胃袋の中に蓋をする。
ひさしぶりにナイフフォークで背筋を伸ばし、パリな気分の昼となる。
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2009/10/03 (Sat)
日記 : ヨーロッパの料理
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