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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
    年齢:
    64
    性別:
    男性
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    1960/01/26
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    大食いに溺れる夜。

    1285199e.jpeg大久保の居酒屋「ふじ」。
    半ばもう東京の中のソウルになってしまった感のある大久保の街。
    JRの駅を降りてすぐ目の前のビルの地下。
    お店の看板にも書いてあるとおり「居酒屋」というコトになってはいるけど、一番の売り物がビーフシチューという不思議なお店。
    看板の下にも、お店の入り口に続く階段の横にも「東京一のビーフシチュー」と誇らしげに書いてあって、こりゃなんじゃ?って不思議に思う。

    階段トントン。
    下に降りると入り口の横に「当店は居酒屋です!」とまた謎掛けのような貼り紙でてて、またまた不思議な覚悟を突きつけられる。
    予約してたサカキです…、って、中に入るとこれが拍子抜けするほど普通の居酒屋だった。
    小さな厨房。
    その前に3人分のカウンター。
    クツを脱いで上がる座敷に4人がけのテーブル4つ。
    一番奥のテーブルもらい、デブが4人で小さくなってちょこんと座る。

    お酒をたのむとお通しがくる。

    f55ac261.jpeg一つはなんと生ハムメロン。
    もう一つはところてん。
    「うちは居酒屋だけど普通の居酒屋とは違いまっせ」って、力強いメッセージ?

    生ハムメロンのメロンの部分はマスクメロンじゃなくって「羽十」。
    昔、秋葉原に青果市場がまだあった頃、出勤前の時間にいくと「おにいちゃん、羽十安いよ、持ってかない?」って、一箱100円とかで譲ってもらうのがたのしかった。
    ハネーデューメロンのコトを「ハネジュー」って略し、それを感じにすると羽十。
    ウリっぽい、甘さ少なく青臭い、フルーツというより野菜に近い羽十の味。
    それが生ハムの塩味と一緒になると不思議とおいしい。
    ハムの脂の香りもひきたて、お酒がすすむ、良き前菜。

    さて一品目のビーフシチュー。

    1e69ac78.jpegいきなりこの店一番の名物料理がやってきて、気持ちが上がる。
    ここのご主人。
    昔、札幌のホテルで洋食のシェフをしていたことがあったらしく、そのときの技術と経験をいかしてこうした料理を作る。
    大きなお鉢にタップリ一杯。
    スプーンの背でそっと触れると、ホロっとほぐれる。
    よく煮込まれた見事なシチューで、ソースもしっかりコクがある。
    けれど例えばラードや肉の脂の変な癖や香りがなくってゴクゴク、スプーンですくって飲める程、サッパリしているすんごいソース。
    こりゃ旨い。
    東京で一番おいしいかどうかはまるで別として、肉の量だけで多分300グラムは優にある、このボリュームでたった800円という値段のことを考えるなら、確かに東京で一番コストパフォーマンスの高いシチューではありましょう。

    なぜだかナンが一枚ついて、それでソースをすくって食べる。
    ナンのバターとソースのコクが見事にあって、またおいしい。

    サラダ代わりにアボカドマグロ。

    5358263e.jpegアボカドとマグロを同じサイコロ大に切り刻み、ドレッシングを合わせた前菜。
    普通、アボカドと刺身を一緒にするときは、マヨネーズで創作料理風に仕上げるか、胡麻と油でハワイのポキのようにする。
    ところがココでは、スパイシーで酸味がゆるめのフレンチドレッシングみたいなソースであえて仕上げる。
    ちょっと足りないくらいの味が、むしろマグロやアボカドの風味をいかしてなかなか旨い。
    なによりビックリするのが量で、なんとアボカド1個を使う。
    そんな証に、お皿の横には空っぽになったアボカドの皮がのっかってくる。
    半分使って、半分無駄にするくらいなら、一回一回、一個全部使い切った方がいいんじゃないか?って、そんな思い切りのある気っ風よさ。

    そして、もう一つのここの名物、クラポーデンボライユチキンがきます。

    77045708.jpegクライポーデンって言うのはフランスの古典的な料理のひとつ。
    粗いパン粉をチキンにしっかりまとわせて、粉チーズや香味野菜をタップリのっけてオーブンで焼く。
    パン粉がサクサク。
    息を吹きかけるとパン粉がフワッと宙に舞ってとんできそうな、そんな儚いパン粉の付き方。
    それがこの料理の一番むつかしところなのだけど、よく出来ている。
    鶏はシットリ。
    パン粉でやさしく守られていたからなのでしょう…、ジュースが中に閉じ込められててサクっとしてて、なのにふんわり柔らかで、一口食べると癖になる。
    ソースはウスターソースの香りがツーンと鼻に印象的な、ワインベースの軽いもの。
    思わずご飯が食べたくなっちゃう。
    力強くてたのしいご馳走。

    料理はどれも的確です。
    たとえばオムレツ。

    bb2daba8.jpeg外はしっかり、火が入ってて焦げ目さえある。
    けれど中はトロトロ半熟をちょっと過ぎた程度にカチっと熱が通ってる。
    とはいえ硬い完熟じゃなく、半熟だったときの記憶がしっかり残る、ふんわかやわらか。
    やさしい食感。
    しかもほのかに塩の味。
    玉子の風味と味をこわさぬ程度に味が入ってて、それそのもので十分おいしい。

    フランス料理の基本はオムレツ。
    そういわれるけど、たしかにここのこのオムレツを食べるとこの人、しっかりとしたフランス料理の世界を生きた人なんだなぁ…、って感心をする。

    とはいえココは居酒屋で、だから居酒屋料理もしっかり。
    例えばサバの昆布じめ。

    ecd0d2fe.jpeg脂ののった分厚い大きなサバの半身を、丸ごとつかって昆布でしめる。
    下の切り身が見えぬ程、分厚く立派で頑丈な昆布がトロトロ、トロミと旨味をサバに移した見事なしめ鯖。
    ペロンと昆布を剥ぐと、中にはキラキラ。
    青い魚独特の、キラキラとした銀色の肌。
    醤油いらずでそのまま食べて、なのにおいしい。
    立派な居酒屋料理になってる。
    他にもサバの焼いたのや、ほっけやシシャモ。
    ヌタにおひたし。
    野菜炒めや鶏やまぐろの唐揚げなどなど。
    酒の肴においしいものは、なんでもござれの博愛主義にご機嫌になる。
    そうそう、そういえば、ただのスライスオニオンをここ特製のフレンチドレッシングで食べるとフランス料理の味がして、なのにおかかに醤油で食べると居酒屋料理の味になる。
    料理の世界ではちょっとした違いが大きな違いになるんだ…、ってそんなことを実感しちゃう。
    おもしろい。

    そして〆の焼きそばがコレ。

    c3613384.jpeg洗面器程の大きさのある深いお鉢にタップリ、ドッサリ。
    多分、袋麺の3人前を一度にこうして作ってるんでしょう。
    これまた食材を残してしまうくらいなら、全部使ってその分、安くいたしましょう…、ってココ独特のサービス精神。
    それから哲学。
    独特な料理感が作った大胆不敵な商品。
    キャベツ、ニンジン、タマネギ、ピーマン。
    椎茸、しめじにえのき茸と、驚く程の具沢山。
    野菜とキノコの炒め物の間にチョコっとそばが混じって炒められてる…、ってそんな感じで腹一杯。

    ところでここ。
    今年のはじめまで、〆のスパゲティーやらハンバーグなんかをやってたらしい。
    けれどとある、テレビ番組でその商品を紹介されて、それでしばらく、来る人、来る人がハンバーグをおかずにスパゲティーを食べにくるようになっちゃったという。
    居酒屋なのに。
    お酒も飲まずに大盛りスパゲティーをたらふくたべて、それでさよならって人たちが増え、常連さんたちに迷惑をかけ、それで今ではその二つの商品を封印しちゃった。
    だからお店のそこここに、「うちは居酒屋」って貼り紙がある。
    お店お店にその店独特の楽しみ方があるはずで、それを守るということも良い店として大切なコト。

    ちょっとバランス崩してしまったこのお店。
    畳に座ってくつろぎながら、酒と料理をたのしめる「大久保的なるビストロ」として頑張っていけば、多分、昔のご機嫌を取り戻すことができるんでしょう。
    そんなことを、思ったりした。
    ちょっとビターな大久保の夜。

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    お久しぶりデス
    一人披露宴祭にご招待したいのですが、ご連絡先が分からず…ミクシのほうにでも、ご連絡くださいますか??お手数ですが、よろしくどうぞ。ペコリ。
    オダナオさん / 2009/08/14(Fri) /
    ラジャ!
    > オダナオさん
    了解つかまりぃ。
    たのしみにしておりますです。
    サカキシンイチロウさん / 2009/08/14(Fri) /
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