打ち合わせをかねてお昼を喫茶店にて…。
場所は新宿…、「らんぶる」という店にくる。
昭和30年代から40年代にかけて流行ってけれど今では絶滅寸前の名曲喫茶というカテゴリー。
フッカリとしたシートに座って、コーヒー片手にクラシックの名曲聴いて静かに過ごすというストイックにして大人な空間。
スピーカーにこだわる店もあったけど、どちらかといえばレアな音源だったり名演レコードを選んでかける店が好かれた…、今でいうならDJの選曲いかんで流行り廃っていくクラブみたいなそんな場所。
入り口みるとそんなに大きさ感じさせない。
一階部分も決して大きなお店でなくて、けれど階段タンタン降りて地下に行く。
するとビックリ。
大きな吹き抜け。
中地下があり地下があり。
全部で200席近くも席があるんだという。
真っ赤なビロード張りの椅子。
漆喰壁には明るいレンガのアクセントが散り天井からはシャンデリア。
中地下から地下に向かう階段は、螺旋階段というゴージャスで昔は一日、タバコの煙がたなびくアンニュイ感に満ちた空間。
今では一階部分が喫煙。
地下はみんな禁煙席になっちゃった…、時代であります、ありがたい。
白いデコラのテーブルの上にはシュガーポットやミルクピッチャー。
どれも大きくテーブルごとにしっかり一個。
使い終わったら持ってかれちゃうなんて姑息がないのがステキ。
今日の音楽はマリア・カラスのドニゼッティ。
おじさんが一人、目を閉じてジックリ音に身を任せてる…、ただしいココの過ごし方。
古くはあるけどとても丁寧にメンテナンスがなされてて、けれど残念、椅子に座って体を揺するとギコギコ、バネが軋む音。
しょうがないです…、昭和の音と思いましょう。
ココにくると食べたいモノがひとつある。
ピザトースト。
今もあるかと思ってメニューを見るとセットがあります。
サラダとコーヒーがついて900円。
いいじゃなの…、と早速たのむ。
しばらく待ちます。
ほんのしばらく。
ランメルモーアのルチアの中の六重唱がハジマリ、終わる寸前でやってくる。
分厚く、フックラ、イギリスパンの耳のところはカリカリしてる。
上にはタップリ、ソースにチーズ。
ボリューム満点、ピザトーストはこういう姿をしているんだよ…、と教科書的でニッコリとなる。
三等分にされていて、しかもそれぞれちょっとづつ、ずらされ並んでいるのを見ると焼きあげてから3つに切ってる。
とろけたチーズをナイフにつけず、こうしてスパッと切るのってむつかしいのに上手だなあって変なところに感心します。
まずは一切れ。
パンの頭のモコモコしている一切れは最後の最後に食べようと、底の部分を手にとって持ちあげようとするとテロンとチーズがたれてお皿を汚します。
その断面を眺めてみると、チーズとソースの重みでパンが凹んでみえるほどにズッシリ。
サービス精神旺盛な充実感にウットリとなる。
具材はベーコン、玉ねぎ、それからピーマンと典型的なピザトーストの具材がもれなく。
どれも軽く炒められててシャキシャキ感を残したまんま、若干、シットリ。
そういえば、この具材。
ナポリタンの具材と同じ。
マッシュルームがあれば完璧と思って食べるとうれしや、缶詰マッシュルームを発見。
ソースもタップリ、濃厚で、食べてたちまち口の中がピザになる。
それにしてもピザトースト。
イタリアのピザの味じゃない。
そもそもイタリアではピザソースなんてモノが存在しないくらいで、この味、そしてこの風味。
アメリカ風のピザのモノ。
日本にとっての西洋が、ほぼ完璧にアメリカだった時代の産物。
アメリカの兵隊さんが持ち込んだアメリカピザを見よう見真似で再現し、けれどピザ生地を作ることは難しいからパンに乗っけて焼いてみました。
そんな感じの、昭和にできた新たな日本の料理のひとつ…、なんだかやさしく、なつかしい。
一緒についてやってくる千切りキャベツにドレッシングをかけたサラダもなかなか旨い。
シャキシャキしててドレッシングがほどよく淡い味わいで、量も控え目。
だから薄味。
チーズとソースで疲れた舌をシャキシャキ、キャベツの水であらってリセットするようなほどよき相棒…、オゴチソウ。
打ち合わせもすんなりすんで、オゴチソウサマとお店をでます。
そして移動と電車の中で何の気なく、指で鼻をこすってみたら、ピザの香りがホンワカ鼻をくすぐった。
おいしい余韻と名残にウットリ…、なんだかウレシクなっちゃった。
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