夏本番…、そろそろ鰻を食べておこうと「双葉」にきました。
新宿駅の西口を出て、地下街をゆく。
個性的な飲食店がズラッと並んだオキニイリの場所にてかつて、大のお気に入りの店だった「壁の穴」があった場所の二軒どなりにあるお店。
民芸調の店づくりにて、オープンキッチン…、そこで鰻が黙々と焼かれ続けている名店で手軽な値段というわけにはいかないけれどほどよき値段でおいしい鰻が食べられる。
良き店でして、オキニイリ。
鰻が品薄って、日本中が大騒ぎして、原料鰻が手に入らない。
それで多くのお店が値上げをしたりあるいは閉店したりと、大変なコトになっていた。
…、はずなんだけど、土用の丑の日には多くのスーパーが、鰻を売り残して逆に大変なコトになってた。
品薄だって飢餓感煽って、それで消費を煽ろうとした。
誰かがそんな作戦考え、みんなが暗黙の了解のもとにその作戦に便乗した。
しっぺ返しを食らった人も沢山いたはず。
調子に乗るとろくなことがないってことなんでしょうネ。
ココはそれほど値段をかえず、平常心で営業してる。
季節のおすすめ商品をたのんで待ちます。
うな丼ととろろのセット。
夏の滋養に心置きなく身を委ねる系組み合わせ。
ココの丼は漆の塗りの丼でくる。
陶器の丼とは違ったなめらか。
手に優しくて、熱々ご飯の熱さをやさしく受け止めて、丼の中の温度をほんのり適温にしてくれる。
蓋を伴いやってくるのもうれしいところ。
開けるたのしみ…、特に、開けた途端に鰻の匂いがホワンと宙を舞って鼻からお腹に入ってく…、その香りの濃密で鮮やかなコトにウットリします。
ココの鰻は関西風と関東風の中間くらい。
江戸前鰻ほど深蒸しにせず、関西風にバリッと焼きはしない中間。
ムッチリとした鰻独特の食感もある。
軽蒸しされた鰻独特のフックラとした食感もある。
タレはスッキリ、甘み控えめ。
焼いた鰻の香ばしい、焦げた香りを邪魔せぬ風味。
すべてが程よく、一番控えめの量の鰻をとったのだけど、それでも十分。
山芋とろろがありますゆえ。
出汁で割られた濃厚で、しかもツルリとなめらかなトロロをトロンとかけて味わう。
鰻の脂とタレをタップリ吸い込んだご飯の味と、トロロのうま味が一緒になって、なんとおいしくたくましい。
滋養に満ちた味がする。
鰻と一緒に食べておいしいご飯は固め。
鰻のねっとりとした食感を受け止めるには、ほどよく固いお米がおいしい。
その固いお米がとろろをまとってスベスベ、舌の上をすべりまわって喉へと一気に駆け下りていく、その食感がまたおいしくて、ズルズルお腹に流しこむ。
鰻を箸で崩してとろろと混ぜるとこれまた味わい濃厚…、鰻自体のムッチリ感が一層強くなっていくのがたのしい、オゴチソウ。
丼がやってくる前にまずやってくる、漬物、それからキュウリの酢物。
釜揚げシラスと一緒にあえた、この酢の物が淡い酸味でシャリシャリとてもおいしく感じる…、香りほのかでこれに続いてやってくる鰻の風味を邪魔しない。
漬物もキャベツとキュウリの浅漬で、ゆずの香りをまとわせたもの。
鰻のお供の漬物は、奈良漬というのが伝統的なる組み合わせにて、けれど奈良漬があんまり好きじゃないボクにとってはココのこうした組み合わせ…、嬉しかったりいたします。
ほどよき値段でありながら、肝吸いがつくというのがこれまたありがたく、今年の夏の滋養をもらった…、オキニイリ。
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