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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
    年齢:
    64
    性別:
    男性
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    1960/01/26
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    大手町カンファレンスセンターって場所。

    044f020f.jpeg大手町という街の北の外れに、超高層ビルが三つ並んでできたオフィスビルがメインの施設。
    それぞれのビルが地下でつながっていてそこに飲食店がまとまっている。
    再開発の立派なビル。
    テナントづけをするときに、1階部分が飲食店にまわってくるコトってほとんどない。
    大抵が地下。
    でなければ2階が飲食店の定位置で、あたかも飲食店がうちのビルの顔になるなんてけしからん…、って言われてるよう。
    かわりにあるのは立派なロビーと、金融機関の店舗や窓口。
    そんなビルが建ち並ぶ、街を歩くとキレイだけれど、とても空虚な仮想世界にいるような気がしてしまう。
    勿体ないなぁ…。
    昔の街の景色を作っていた多彩で多様な商店が、見えぬ景色は冷たく寂しい。
    例えばニューヨークの街中の大きなビルの1階は大抵、商店。
    オフィスフロアーの入り口は小さく目立たぬ場所にある。
    だって仕事でビルを訪れる人ってそもそも目的をもってやって来る。
    だから立派なロビーやこれ見よがしなエントランスは必要ないでしょ…、って考えてみれば当たり前のコト。
    プライベートなビルと言えども、通りに面した一階部分は街の財産。
    隣の街の丸の内が、人を集めるにぎやかな街になったのは、そうした考えで出来た日本でも珍しいオフィス街。
    一方、隣のこの大手町。
    昔ながらの冷たい景色が、なんだか残念…、つまらない。

    ランチにします。

    cefe739b.jpeg地下の飲食フロアーに入っている「さぬき土三寒六」という店。
    店名の由来になっている「土三寒六」。
    うどんをうつときに昔から心がけるべきコトを表したモノ。
    正式には「土三寒六常五杯(どさんかんろくじょうごはい)」って言って、うどんの材料、小麦粉を練るときの塩加減のコトを言ってるんだそう。
    「土」は夏の土用のコト。
    「寒」は寒中、「常」はそれ以外の春と秋。
    夏には塩と水を1:3、だから「土三」。
    冬はそれが1:6で、普段は1:5にするんですよというつまり、うどんはその日の温度で作り方がまるで違ってしまうくらいデリケートなものなんだ…、というコトを伝える言葉をそのまま店名にする。
    なかなかたのしい、おもしろい。

    お店の入り口のとこに食券販売機が置かれて、まずはそこで前払い。
    でその自販機が良く出来ていて、タッチパネルに写真と文字が表示される。
    全部で7種類ほどの今日のうどん。
    冷たいのやらあったかいのやら、いろんなうどんの中から選ぶ。
    すると次々画面がかわり、うどんの盛りや、うどんの熱さ、冷たさを次々えらんでいくコトになる。
    しらずしらずに自分好みのうどんが出来てく。
    最後にトッピングが提示され、これでよし!と決定ボタンで注文完了。
    その注文の結果が即座に厨房の中に届けられ、チケット手渡し半券もらってテーブルにつくというダブルチェックがまたいい感じ。

    4c93a125.jpegお店の中は間接照明中心で、黒大理石のインテリアが特徴的なちょっとクールなバーっぽいしつらえ。
    肉漬け蕎麦で有名な浜松町の「港屋」みたいな感じかなぁ…。
    ちょっとやり過ぎ感が漂っていて、本当にこれでうどんは旨いの?って思わせてしまうところがちと勿体ない。
    夜は讃岐の特産物を使った肴で酒をのみ、うどんで〆って感じのうどん居酒屋になる。
    だからこうしたちょっとおしゃれな店の雰囲気にしたのでしょうね。

    ただ、この店、考え方が立派だなぁ…、と思ったのが客席配置とその作り込み方。
    四人掛けのテーブルが2つあるけど、残りは壁に向かってしつらえられたカンターと、14、5人は座れるほどの大テーブル。
    そのテーブルの真ん中には水をたたえた池が作られていて、ぼんやり明かりを灯した行灯。
    苔むした岩や木を植えた鉢が置かれて、ちょっとした箱庭気分を味わえる。
    だから座った向かい側の人のコトが気にならない。
    同じスペースにテーブル置けば多分20人以上は着席できるのだろうけど、うどん屋というこの業態。
    お一人様を大切にしなくちゃいけない、だからこうした客席配置にしたんでしょうね。
    なんだか好感もてる店。

    2ed0294a.jpeg今日たのんだのは、鶏天ぶっかけ。
    麺も出汁も冷たい「冷え冷え」。
    ちょっと深めの鉢にタップリ、つややかな麺。
    そこにタップリ、大根おろしと鶏天三枚、それからレモン。
    見た目は合格…、典型的なる讃岐の鶏天うどんに見える…、ズルッとたぐる。

    こりゃ、旨いです。
    麺はなめらか。
    ムッチリとした食感で中までシッカリ熱が通って小麦のうま味がひきだされている。
    ツルンとまるですべるように口の中へと入っていって、噛む暇もなく喉の奥へとなだれ込もうとするのがなんとも讃岐風。
    うどんは噛まずに喉で味わえ…、そんな風に言う讃岐の人もこの麺ならば納得するに違いない。
    出汁はスッキリ薄味で、もっとイリコの味がするのが個人的には好きだけど、まぁ、十分。
    ほんの少々、讃岐の醤油を使って味を整えてやるとますますおいしい。
    バリッと衣が力強い、鶏の天ぷらも分厚く中はジューシー。
    そのおいしさには、かなりやられた。
    もしかしたらば今東京で、食べることができる鶏天ぶっかけうどんの中でも最高峰の一つだろう…、ってかなり感心。
    オキニイリ。

    1d607c15.jpeg追加でたのんだワカメも立派。
    分厚く、緑の色も鮮やかでサッとゆがいただけの単純。
    そのまま食べてもちょっと塩味を感じる。
    うどんにのせてタレを付けると、磯の風味をしたたか吐き出す。
    食材の目利きがおいしい料理を作る基本の基本というのがわかる、気がきいている。

    テーブルの上には薬味が沢山。
    七味をかける醤油の風味がドッシリ、ふくらむ。
    胡麻をすってタップリかけると、うどんの香りがひきたって、大根おろしが混じったタレの風味を豊かに甘くする。
    食事が終われば食器を自分で片づける、ファストフード一歩手前の合理主義。
    けれどそれすら、おいしいものを賢く食べる工夫のひとつと思うと納得。
    隣の人がすすってた、熱いうどんのスープの香りが本当によくて、また来なくっちゃってしたたか思う。
    オキニイリです、また来ます。

    食事を終えて表に出ると、産経新聞のビルの表に車の行列。

    abfda080.jpeg秘密工場の煙突みたいな真っ赤な管がとぐろを巻いた不思議なオブジェ。
    ビルの低層部分が逆三角形に設計された、まるでクサビのような形状のビルから次々、色鮮やかな車が吐き出されていくこの光景。
    タイムボカンシリーズの、今週のオススメメカのような景色がなんだかたのしい。

    ランチを搭載した車の行列。
    回りのビルから次々、人が飛び出してきて車の前に行列つくる。
    一番行列が多かったのは、先頭にいる「アジアン屋台」。
    ご飯の上に、好きな料理を三種類だけぶっかけるという、そのシステムが人気を博していろんなところに同じ会社の屋台が出てる。
    グリーンカレーが大人気で、女性客には大人気。
    二番人気は、昔なつかしいカレーを売ってる屋台カーで、おじさんたちがニコニコしながら並んでた。

    車の前にはテーブル、客席。
    そこで食べる人もいるけど、ほとんどの人が買ってオフィスに戻ってく。
    コピー用紙に数人分の注文を書き、まとめて買ってく買い出し部隊もいたりして、この時間帯のココにはたのしい「人間らしい生活臭」がするのがステキ。
    気取った街の気取ったビルにも、中には生身の人間がいる。
    人は食べなきゃ生きていけない。
    仕事も出来なきゃ、遊ぶことだってかなわない。
    「たのしく食べてもらう仕事」はなんてかけがえない仕事だろう…、ってこうした景色を見るたび思う。
    さて、お仕事をがんばろう。

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