おいしいモノで元気を出します…、うなぎの双葉、新宿駅の地下の店。
半年ほど前になりますか…、体の調子を崩してそれで、なんとか元気を出そうとここを選んでうな丼食べた。
けれどうなぎの匂いと脂に負けて、完食できずに残してしまった。
滋養に満ちた料理をこうして味わうのにも、最低限の体力と元気が必要…、ってそのとき思った、そして今日…、その日のリベンジ気分であります、うな丼食べる。
民芸風の落ち着いた雰囲気の中、パリッと白い板前服を着た板前さん、和服のサービススタッフさんがキビキビ働く上等な店。
漆の丼。
つやつやとした黒い器に蓋して、どうぞと。
自分で蓋をあけて味わう。
蓋を手にしてあげるとスッと持ち上がる。
漆の器は軽くて、手にもやさしい。
黒い器の内側が、色鮮やかな朱色というのも目に鮮やかで、中の料理もおいしく見える。
普通の店でうな丼は陶器の丼。
漆の器はうな重で、しかも長方形のモノと決まってて、こういう流儀は変わってる。
四角いお重を持ち上げ口に運ぶのは、いささか御行儀悪く見え、けれど丼型の器を持ち上げ食べる所作はあくまで自然。
だからココがオキニイリ。
しかも唇つけて味わうと、口になめらか、ご飯までもがなめらかに口の中へと入ってくるのを感じてニッコリ。
それからココのうなぎの焼き方。
フックラではある。
けれどムッチリ、ほどよき歯ごたえが残ってて江戸前風と上方風のちょうど中間のような食感…、タレもほどよく甘くてけれどスキッと後味軽い。
うなぎのうま味を邪魔せぬおいしさ…、焦げた脂の風味も旨い。
それにしても今年のうなぎは高いんだという。
土用の丑を目前にして大変だなぁって思ってしまう、高嶺の花にならなきゃいいけど、なやましい。
千切りキャベツを塩もみにした浅漬、それから薄口タクワン…、どちらもさっぱりした味わいで、うなぎのうま味につかれた舌にやさしいおいしさ。
定食に野菜の煮付けがつけられますが…、と言われてとった煮付けの小鉢。
ニンジン、インゲン、ゴボウに冬瓜…、それぞれ別々に味を含ませフックラとした食感と味わいうれしい一皿、特に冬瓜のスベっと口をすべるような季節の味にウットリします。
立派な肝が入ったおすまし…、山椒の葉っぱが風味を添えて硬めに炊けたご飯に染みたタレと一緒にお腹を潤す。
そしてお腹にやさしく蓋する…、元気が出ます、たのしい元気が湧いてくる。
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ところでボクにとっての「うな重」といえば「おやじ大鼓」。
木下恵介アワーっていう1960年代の人気テレビシリーズの中の一本で、1968年に放映されてたから当時のボクはまだ8歳…、でもスゴく印象深く思い出す。
進藤英太郎が憎めない頑固親父の役をやってて、何かあると店屋物をとるのだけれど、それが決まって「うな重」なんです…、菅井きんだったかなぁ、近所のおばさんがそれを目当てにしょっちゅう顔を出してお相伴に預かったりする。
実はこ頃、ボクの父がうなぎが名物料理のレストランを経営していて、余計なんだか身近に感じて今でもたのしく思い出す。
お互いの思ったことをぶつけあい、喧嘩になっても仲直り…、そしたらみんなでうなぎを食べよう!ってそんなあたたかな人間関係があるといいねと思う夜。
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