丸の内でちょっとコジャレたランチとします。
ビストロドゥーブルというお店で、永楽ビルっていうオフィスビルの脇腹部分…、つまりちょっとした路地に面して入り口があり、その入り口のアプローチ部分がテラス席になってる。
ちょっとそこだけパリな雰囲気。
パラソルの下でご婦人方が小粋なランチをたのしむ姿が、街の景色になっている。
屋内部分は案外こじんまりとしていて、バーやキッチンを間近に感じる気軽なビストロ風のしつらえ…、空気もおだやか、いい感じ。
メインを選ぶとパンにサラダにスープ、小さなデザートにカフェがつくというスタイルでビジネスランチにほどよいメニュー。
ビストロランチに見つけると、必ずたのんでしまうのが「ハラミ」であります。
フランス的には「バベット」と呼ぶ。
ココではフランス的に、「バベットのステーキ」とメニューにあって、迷わずそれ。
まずはパン。
サラダにスープがやってきて、それを食べつつ御行儀よく待つ。
ニンジンをすりおろしたドレッシングはスッキリ、酸味が穏やかで、スープは冷たい枝豆ポタージュ。
どちらもほんの少しの分量で、食べるとそれだけお腹がすいてメインディッシュが待ち遠しくなる。
そして、うやうやしくもやってくるのがこの一品。
マッシュポテトの上にツヤツヤ、脂でかがやくハラミのステーキ。
ほどよき分厚さ。
ソースは肉のグレービーと粒マスタードをベースに作った香り高くて、しかもスキッとシンプルな味。
肉の持ち味を邪魔せぬ程度の香りとうま味に気持ちが俄然、盛り上がる。
フランス料理のお店でたまに、赤ワイン系の重たいソースで肉を台無しにしちゃうところがあるのだけれど、クセのある肉はそのクセを堪能したくなるのが、ミートラバーの本音であります…、ナイフ、フォークをシッカと握りさてさておいしい戦いスタートします。
とは言えバベットの付け合せは、マッシュポテトじゃなくてフレンチフライが好きなんだけど、まぁ、しょうがないや…、とブツブツつぶやき肉にナイフをスパッといれる。
焼き加減は見事で、中はキレイなロゼ色。
口に含むと…。
なるほど、コレは「血」が旨い。
肉を頬張り血が旨いというのはいささか生々しいけど、熟成具合が見事で、ほんの少しの獣臭があり噛みごたえも良い。
奥歯にネットリまとわりついて、したたか抵抗するのだけれど抵抗しながらバベットらしきコッテリとした肉のうま味をジュワッとにじませ、繊維が壊れ消えていく。
こりゃ、旨い。
ハラミの肉が、どんどん風味をなくしていって、例えば焼肉屋さんなんかで食べると臭みがまるでなかったりする。
それはそれでおいしんだけど、ほどよき内臓臭さがあってこそのバベット。
このバベットは理想的。
切るとおいしい肉汁が、お皿に垂れて流れだし、それをマッシュポテトがしっかり受け止め一滴残らず食べられる。
フレンチフライじゃこうした味わい方ができない。
この組み合わせは的を射ている…、脱帽す。
厨房の中をのぞいてみたら、がっしりとした強面シェフの姿が見えて、なるほど肉が好きそうに見えてニッコリ…、肉は肉好きさんが焼いてこそおいしくなるものだなぁと思う。
食後のデザートが少量だけど味わい濃厚なプリンの上に塩キャラメルのソースがたっぷりかかったもので、なかなか旨い。
総じて悪くはない店で、けれどどうだろう。
最初に出てきたサラダの器。
四角く角張り、中途半端に小さくて、フォークで食べるのに難儀する。
スープの器も小さなココット。
スプーンが用意されているものの、それですくうには持ちあげかなり傾けなくちゃいけないのです。
手で持ち飲むにはとってもないし。
この店の人は多分、みずから料理を食べてはいないでしょうね。
だからこんな食べにくい、意地悪みたいな食器で出して平気なんだとボクは思った。
まだできて、そんなに日にちのたってない若いお店だからしばらく様子をみましょう…、機会があったらまた来ましょ。
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