東京にもどって軽く仕事をし、それでお昼を軽くすませる。
イノダコーヒでゆったりと。
京都を代表する喫茶店。
京都の他に、広島、札幌、横浜と支店を出していらっしゃる。
東京には一店舗だけ。
八重洲口にある大丸百貨店の8階…、上等な紳士服を売ってるフロアにひっそりとある。
マホガニーの重厚な家具。
真っ赤なビロードのカーテン、椅子の張り生地。
昭和風情がうつくしい。
そういえば昨日の昼は大阪から来たお好み焼き屋さん。
今日は京都の喫茶店。
仙台牛たんのお店もたくさんこの界隈には集まっていて、東京駅の周辺は地方都市の名店出島になってるみたい。
サンドイッチにしようかそれともスパゲティにしようかなぁ…、と。
ちょっと悩んで、イタリアンをたのむことにする。
イタリアンと名前はついてはいるけれど、ケチャップあえのスパゲティーにてつまりナポリタンなのでありまして、これが上等。
ステンレスのドッシリとしたボウル状の器にやってくるのであります。
しかも同じ素材のキラキラ光る蓋で覆われはこばれて、テーブルの上におまたせしましたとおかれてそれが、シャランととられ、中から料理が顔のぞかせる。
太くてよく茹での太い麺…、そこにトロンとケチャップソースがからんでツヤツヤ、口にふくむと甘酸っぱくて噛むとムチッと麺全体に歯ごたえがある。
アルデンテではないけれど、伸びてしまっているワケじゃない。
こんがり焼けた玉ねぎに、ハムにピーマン、缶詰マッシュルームと具材も典型的なるナポリタンのモノでそれらがふんだんに。
緑の器の粉チーズとタバスコパシャリと大人味にして味わった。
それにしてもなんて上等。
手間を惜しまず作られている、ステキなゴチソウ。
今でこそナポリタンは「B級グルメ」なんて言われているけれど、昔、デパート食堂や洋食のお店で食べるナポリタンはゴチソウだった。
ハンバーグだったりビフテキだったり、ビーフシチューとなんらかわらぬ上等料理。
そもそも当時、料理に「AもBも」なかったのにね、今では勝手に料理に人がランクをつける。
B級グルメなんて下品な言葉がなかった時代の、素性正しく背筋が伸びた上等ナポリタンが今ここにある。
なんてステキな昼ご飯。
それからコーヒー。
アラビアの真珠っていうココの名物ブレンドで、砂糖とミルクを入れて飲むのが流儀の商品。
キッパリとして鮮やかな香りと苦味が特徴的なコーヒーで、だからミルクを入れるとふくよかになる。
砂糖をいれると苦味、酸味がまろやかになる。
好みの甘さをと、とても小さな角砂糖がスプーンの上に一個だけ、のってくるのがまたうつくしい。
バブル時代を思い出させる威勢のいい話を大声でする田舎紳士を横目でみつつ、おばさまたちに混じって味わうこのコーヒー…、なんだか不思議と味わい深い、面白い。
大丸が増床になったと思ったらこのフロアーの増床部分に東急ハンズができていた…、百貨店も今やショッピングセンターにならざるをえない時代なのねと感慨深く、さて仕事。
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ところでこの店…、イノダコーヒーじゃなくて「イノダコーヒ」。
実際、声に出してみると「コーヒ」と言った時の語尾を置く感じ…、それが京都の言葉のように聞こえていいなとウットリします。
そして一曲、この曲も「コーヒー」じゃなく「コーヒ」と言ってる。
一杯のコーヒから夢の花咲くコトがある。
喫茶店が夢のある場所だった時代があったんだなぁ…、って、いやいや、それを過去形に思う気持ちが心を貧しくさせるんだって思ったりした。
今日はこの歌ココロでくちづさみつつ、笑顔でニッコリ、がんばろう!
[4回]
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