そして昼は、日本橋…、お多幸本店の「とうめし」にする。
東京駅を起点にし、午前中は横浜で打ち合わせをして頭を使う。
ちょっとたのしいビジネスモデル。
今の時代にあった商品、コンセプト、それを魅力的なパッケージにして、沢山お店が出来ればいいなぁ…、って。
一生懸命がんばりましょう…、と、笑顔で別れて東京へ。
日本橋でちょっと小さな打ち合わせ。
それも終わって、さぁ、ランチ。
東京駅に帰る途中に、あの店がある。
それでテクリと。
汗をかきます。
かなり気温が高くてしかも湿度も高い。
ただ空は青くて風がやさしく気持ちよく、それで歩いてお店に来ます。
時間はランタイムが終わった時間。
ちょうど昼のお客様が入れ替わった時間だったのでありましょう。
カウンターに一席、空きがあってそこ。
ちょうどおでんを炊いてる鍋の目の前で、座ると出汁の香りが体にまとわりついて、お腹がギュルルと鳴ってご飯をおねだりします。
座ると同時にメニューもみずに「とうめしください」とおなじみさんを気取って注文。
「はいよ」と元気な声と同時に、ボクの料理がしあがっていく。
茶飯の上に豆腐をのっけて、それで「とうめし」。
豆腐飯の略でありましょう…、かつてのここの賄い料理。
厨房の中で立ったままお腹を満たせるモノとして生まれてそれを常連さんが喰わせろと、それで昼の名物料理に昇格したモノ。
茶飯といっても、出汁で炊いた醤油ご飯。
色はかなり濃い目の茶色で、けれど味はサッパリ、ほのか。
醤油は風味をくわえる役目。
出汁の味わいの方が強くて、それだけ食べるとほんの少々、物足りない。
お米は固めの炊き加減。
それを茶碗によそおって、厨房の中からカウンターに運ばれる。
運ばれる先は、おでんの番をするおじぃちゃま。
しゃもじを器用にうごかして、おでんの鍋の中をプカプカ浮かぶ豆腐をよりわける。
ほどよく煮汁を吸い込んだもの。
縁が少々、壊れ加減のモノをよりわけそっとひっくり返して裏の状態をみる。
何度かそれを繰り返し、これというのが見つかったらば、それをやさしくすくいあげ、ご飯の上にそっとのっける。
そしておでんの煮汁をバサッとかけるのですね。
一杯、二杯、そして三杯。
口の中がよだれで満たされ、あぁ、あれがこの口の中にやってくるんだと思うと我慢の限界が来て、そのまま茶碗をひったくり食べたくなるけど、我慢我慢。
茶碗が一旦、ホールで作業をしている人に手渡され、お膳の上に他の料理と並べられ「お待たせしました」とやってくる。
しじみの味噌汁。
大根を千切りにして、ワカメと一緒にサラダにしたもの。
カリカリとした古漬けタクワン。
それに煮玉子、大根、ごぼうで一揃え。
この煮卵がまたおいしくて、かなりしっかり煮こまれているのでありましょう。
白身が小さく縮んでる。
煮汁の中に水気を吐き出す。
それと交換に煮汁の出汁や醤油を吸い込む。
だから黄身まで出汁色で、白身からしてネットリしてる。
黄身はトロトロ。
口に含むと、ネットリ粘ってまるでクリームみたいになってく。
クチュっと歯切れて出汁をタップリ吐き出す大根。
ごぼうの土の香りが混じって風味を添える。
それから牛すじ。
これもホロッと箸でつつくとほぐれるようで、けれど牛すじ独特の香りと旨味を忘れていない。
これに茶飯で十分オカズになるところ、それに豆腐がつく贅沢に、ウットリします。
しじみの汁も出汁が濃厚。
オモシロイのが、豆腐の煮汁も、大根、玉子を煮る汁も、しじみの汁も同じような出汁を使っているのだろうけど、それぞれ味わい違って飽きない。
豆腐は甘め、大根の煮汁は醤油がスキッとしててしじみの汁はやさしくふくよか。
豆腐を崩して七味をかける。
茶色い肌の内側が、白い豆腐の色がのぞいてその色っぽさにドッキリします。
固めに炊いたご飯に豆腐がフンワリからみ、出汁の旨味と混じってまるでソースのようになっていく…、カラコロ転がるコメのにぎやか、それをやさしく支える豆腐の滋養に満ちた味わいに、目がほころんで、ウットリします。
玉子にタップリ練り芥子。
おでん屋さんの芥子はなんで、こんなにキリッと凛々しく辛い…、食べてたちまち涙目になる、それすらおいしいオゴチソウ。
ほどよくお腹を満たしてどうもありがとう…、また参りますと仕事に戻る、がんばろう。
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