午前中の仕事を終えて、オフィスに向かう途中でお昼。
九段下にある「ふじ」という店。
自然薯料理が自慢の店で、今年の夏のはじまり頃にはじめてつかった。
山芋とろろ。
あるいは自然薯。
そうした食材にこだわりを持つお店はどこか厄介な、健康的なる主張やこだわりありそうで、ちょっと敬遠していたのです。
ところがはじめてやってきて、あまりにおいしく、しかもとても上等な日本料理の店だとわかってビックリ。
たちまちオキニイリになっちゃった。
今日は運がいいことに、回転とほぼ同時に入店。
こんにちはとのれんをくぐって中に入ると、いらっしゃいませ、カウンターへ…、と案内される。
先日は、お店の一番片隅の、テーブル席で食べたのです。
カウンターの向こう側に見え隠れする調理人の気配がちょっと羨ましくて、今日は絶対カウンター。
そう思って、早めにきたらもう一組がカウンターに座ってニッコリしてました。
決して大きくはない厨房。
けれど必要な料理機材は全部そろって、使い勝手が良さそうで、しかもピカピカ輝いている。
この厨房で働く人なら、おいしい料理を作って当然。
そんなウレシイ予感に今日もニコニコしながら注文します。
メニューは単純。
雑穀米に自然薯とろろ、小鉢に漬物、汁にメインで、メインを自由に選ぶスタイル。
まずは一皿。
サワラの柚庵焼きをもらった。
醤油と酒と味醂のつけダレに魚や鶏を漬け込んで、それを焼きあげるという柚庵焼き。
ブリやカマスのような脂が乗って、ちょっとクセのある魚がおいしい。
サワラもかなりの曲者で、その大ぶりがジリジリしながらやってきた。
分厚い。
しかも脂がのってる。
ついさっきまでグリラーの中で焼かれてて、だから皮と身の間にある脂がグツグツ沸騰しながらやってくる。
そのご尊顔を画像にしようとレンズを向けると、一瞬、レンズが曇るほど。
熱々。
そしてみずみずしい。
箸を当てるとゴロリとひとかけ、こぼれ落ちてくる。
再び中から湯気がポワン。
食べると、ススッと味醂とお酒の風味が鼻から抜けていく。
醤油の味より、味醂の風味。
だからコンガリ香ばしく、サワラの端が焦げてカリッと歯ざわりがいい。
身はシットリ。
そして脂がジュワッと滲み、魚のうま味と混じってく。
味は深くて奥行きがあり、あぁ、この一切れで冷酒を一杯飲むと旨いに違いない…、と。
実はこの店。
ランチの最初に、もしよろしければと御神酒を一杯いただける。
さすがに今日はその後会議で、ほろよい気分ででるわけもなくそれで我慢をしたのだけれど、思わずココで御神酒を一杯!と言いたくなった。
もう一皿は実は迷った。
ここのもうひとつの名物が「タイの琉球」という漬け鯛をとろろと一緒に食べるという九州風の魚の料理。
季節の野菜と鳥の天ぷらも捨てがたく、さぁ、どうしようと思っていたら、お店の人がこういいます。
メニューに載ってないものとして、秋刀魚の塩焼きとカキフライがございます…、と。
うーん、カキフライ。
ここ数日、そろそろ牡蠣の料理が食べたいと、かなり強烈に思ってた。
その初物。
しかもメニューに載ってないというその一言に迷わず、それではカキフライと。
やってきたのは、細かなパン粉に包まれた、まだ小ぶりだけどキレイなフライ。
食べると中はトロンとしてて、海の香りがフワッと出てくる。
ミルクのような濃厚な、海のうま味が口に広がり、それと一緒にカサっとパン粉が、散らかっていく。
あぁ、シアワセだ…、ゴチソウだ。
サイドについた水菜のサラダ。
水菜はやっぱり苦手だなぁ…、と思いながらも野菜を食べなきゃ。
それで食べると、鼻がビックリ。
セロリの香りがするのです。
見れば水菜にセロリの葉っぱと茎を千に刻んだモノが混じってる。
シャキシャキとした歯ざわり、それからみずみずしさは水菜のモノで、けれど香りはセロリという、その意外性にかなりビックリ。
セロリはボクの大好物にて、苦手なモノを大好物でなだめて食べる。
こんな食べ方あったんだ…、と食べてたちまちオキニイリ。
ホツホツとした雑穀米に、ポッテリ濃厚な自然薯とろろ。
どちらも実力満点で、味噌汁、小鉢に漬物とどれをとっても見事な出来栄え…、カウンターを覗いたら真剣な顔をしたご主人が、食材たちと真っ向勝負を演じてた。
やっぱりいい店、オキニイリ…、また来なくっちゃ、さて仕事。
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