神楽坂で打ち合わせがあり、昼を近所で食べようとそれで「大〆」。
最初はおそらく東京で一番おいしいに違いない、とあるお店の盛岡冷麺を食べようと言ったらなんと今日のランチは臨時休業。
それなら鰻をと馴染みの店に行ったらそこは定休日にて、それで坂道を上へ上へと歩いて行ってそれでこの店。
大阪寿司のお店であります。
オモシロイのが店の作り方…、敷地の真ん中に路地を作って、それを挟むように建物をたて、ヨーロッパの街角みたいな異空間。
お店もクラシックな洋館造り。
インテリアまでヨーロッパ風…、これが寿司屋?ってビックリします。
お店の中にはバロック系のクラシックが流れてて、これからアフタヌーンティーでもいただきましょうか…、って感じのしつらえ。
でも寿司屋さん。
しかもとびきりの寿司のお店で仕事が丁寧。
注文してから作っていくので、少々時間がかかるのですネ。
お茶を飲みつつ、音楽聴いてユックリ待つとお腹が空いてくるのがわかる。
たのんだ料理は大阪寿司と蒸し寿司の両方が食べられるセット料理。
ちょっと大きめのお茶碗くらいの大きさの小丼の中に蒸し寿司。
蓋をあけると甘いお酢の香りがフワッと。
器は熱々、タップリとご飯を覆う錦糸卵がフルンと揺れる。
刻んだ昆布、フックラとしてエビの海の風味が噛みしめるたび口いっぱいに広がっていく卵焼きがホカホカ味わい深くて旨い。
甘くて酸っぱい、けれど温度が上がっているから押し寿司みたいに直接的な甘酸っぱさを感じぬ熱々酢飯がなんとも言えぬおいしさで、そこにタップリ、刻んだしいたけが混ざってなんとも言えぬオゴチソウ。
押し寿司は一口大のが4つだけ。
茹でた車海老。
昆布じめにした白身の魚。
それに鯛。
どれもネタがキッチリしていて分厚くプリンと食感鮮やか。
一口大ではあるけれど、口の中に繰り広げられる味の世界の豊かで多様なところにウットリ。
それからもひとつ。
穴子のような醤油色のネタ。
実はこれが鯛の切り身を甘辛に煮たモノなのですね。
夏になると穴子は痩せて煮ても焼いてもおいしくならない…、だから夏には使わないというキッパリとした潔さ。
口に含んだ直後はあたかも穴子のようにふるまって、けれどキチキチ、鯛独特の奥歯で軋むような歯ざわり。
タイ独特のうま味を吐き出し、シャリと混ざってこれもおいしい。
蒸し寿司も冬は穴子を刻んで混ぜた酢飯を使い、夏になると鯛を焼いたほぐし身つかって作るという、だから味わいサッパリしてて、夏のゴチソウなんですよ…、って。
お汁をたのむとサッパリとしたおすましで、お豆の青い香りとシャキッと軽い歯ごたえとほとんど生の椎茸、それから大根と食感多彩で口の中がスッキリしてくる。
出汁はしっかりしているけれど、塩味ほのかでそれが甘めの蒸し寿司や大阪寿司のうま味をたしかに際立てている…、良き組み合わせ、感心ス。
それにしてもこのお店…、値段もかなり上等です。
量も少なめで若い人には物足りないに違いない…、だから平日昼も人通りのある神楽坂の中にあっても静かなお店。
いつも必ず座れる店で、やってくるのはおじさま、おばさま、シニアな面々。
彼らにとってはほどよき量で、しかもこの店の本当の値打ちをわからぬ無粋な客がいないのが安心なのでありましょう…、ちょっと背伸びしたお値段が結界をなすステキなお店。
ボクもちょっと背伸びのランチでありました!
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