今日は秋葉原近くでランチタイムを迎える日…、それで「とんかつ丸五」にやってくる。
電気街のハズレの外れ。
かつてこの街…、伊勢丹百貨店の前身となる呉服屋さんがあった街。
銀座、神田のその北側が秋葉原というココであります。
日本橋からもほど近く、山の手に高級住宅街の入口という絶好の場所だったのでしょう。
その呉服屋さんの跡地の向かい。
かつては昭和風情たっぷりの、民家風の建物だった。
さすがに古くて、数年前に建て替えてけれどうれしい、一戸建て。
暖簾をくぐって引き戸をあけると、「いらっしゃいませ」の声が出迎え。
白衣も鮮やか。
凛々しい姿の職人さんに、お辞儀をされて席につく。
お店は満席。
ちょうどレジの真横の席。
カウンターの一番手前の席があいたところでそこが、片づくまでをちょっと待つ。
スーツ姿の男の人が、背筋を伸ばして食事するさま。
なかなか最近、みれぬ光景…、ウットリします。
注文をして待ってる間に時計が午後の1時を回る。
途端に空気がおだやかになる。カウンターが一気にあいて、カツがシュワシュワ揚がっていく音が大きく感じる。
水を油に吐き出す音が終わると今度は、カラコロ、乾いた音に変わって出来上がり。
若鳥カツの定食にした。
ただのチキンカツじゃなくて、若鳥のカツというのがまず、いいじゃないですか。
同じ鶏肉でも、親鳥と若鳥ではまるで違った味わい、食感。
鶏だけじゃなく、例えば牛肉。
普通の牛肉と、仔牛の肉はまるで違ったジャンルの食材として扱われてる。
認知もされてる。
だけど不思議と鶏に関して、その年令を気にしないコトが多いのですね。
玉子でとじた親子丼じゃなく、親鳥と若鳥の肉を使った親子丼があってもいいかも…。
やわらかで。
脂がさっぱりしていてパン粉で揚げてカツにするのに多分、ピッタリ。
そう思って注文をして、やってきたのがこのうつくしさ。
見た目はヒレカツ。
コロンとしてて、ココ独特の低温でジックリ揚げた浅い揚げ色。
パン粉がパキッと立ち上がったように揚がって、香りも軽い。
白い和紙を敷いたお皿の上にそっと置かれた姿。
凛々しく、正直、飾り気のない質実剛健。
ソースは自家製の一種類。
ドレッシングに醤油に練った辛子と調味料はとてもシンプル。
最近、新しいトンカツ屋さんに行くと、ソース2種類、ケチャップ、ドレッシング、塩に辛子に醤油にあれこれ。
にぎやかだけど、どれをつかっていいのか迷う。
うちのカツにはこれをかけてくれればいいのさ…、って潔いのもおもてなし。
ザクッと切られた一切れ分。
そっと倒すと断面見える。
プックラ盛り上がった肉はツヤツヤ。
おびただしい量の透き通ったジュースが出てくる。
鳥であります。
おそらく胸肉。
開いて筋を取った肉を、クルンと丸めるようにまとめてパン粉をつける。
だから見た目はヒレ芯で、うま味がシッカリ閉じ込められる。
プルンと鳥独特のゼラチン質がまずは歯切れて、前歯をすべるようにして千切れるハリある肉の食感。
豚カツのサクッと歯切れるやわらかもいい。
けれど鶏の飼めども主張をし続ける、筋肉質な歯ごたえも良い。
ちょっと酸味をおびてやさしいここのソースも相性がよく、トンカツだけじゃないトンカツの専門店の実力感じる。
オキニイリ。
野菜をタップリすりおろし、作ったサラダドレッシング。
野菜で野菜を食べる贅沢あじわって、ご飯に漬け物。
今日は冬の白菜と切った昆布を混ぜて作った浅漬けで、漬け物さえも料理なところにウットリしました。
それにしてもココの赤出汁のおいしいこと。
具材は豆腐と三つ葉だけ…、味噌と出汁が旨いのでしょう。
ドッシリとしコクがあり、甘味に酸味、ほんの少しの上等な渋みもあって風味も豊か。
メインディッシュレベルの味にウットリします。
まだまだ書きたいコトは山ほどあって、けれど全部書いたらまたやってくる口実なくしてしまいそう、今日はここで筆をおきます…、またいつか。
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