サカキノホトンブログレストランＭ

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レストランＭ

ひさしぶりにレストランＭ…、牛込柳町の小さなメゾン。

６人ほどが座れるカウンター、中にキッチン、４人がけのテーブル３つという小体なお店でどこに座ってもキッチンの中でシェフの三宅さんが楽しそうに料理を作っている様子を、感じることができるステキな空間。
会話が弾むサイズのテーブル、すわり心地の良い椅子があり、けれど場所が絶望的に不便なところにあるのであります。
その分、ワザワザやってくる人だけで満たされる秘密めいた雰囲気が良くはあるんだけど最初は集客にかなり苦労をなさってた。

ところが今日…、やってきたらばほぼ満席。
しかもお店の中は背筋の伸びたご婦人方で満たされていて、さざなみのごとき軽やかな笑い声と会話の声が響いてる。
レストランはこうしてお客様でにぎわって、はじめて本領発揮であります。

ランチコースをお願いし、シャンパンもらって前菜を待つ。
その間にシャンパンのお供にどうぞと、グリルしたパン、豚のリエット、それから１０年モノの熟成オリーブオイルが来ます。
ムッチリとしたリエットの豚のうま味と脂の風味にウットリしつつ、ビックリしたのはオリーブオイルのおいしさでパンにタップリ浸して食べると、最初はひやっとサッパリとした油の風味を感じ取り、緑の香りが花から抜ける。

スッキリしててなのに味わい濃厚なコトにウットリします。
それから前菜３点盛り…、鯖のマリネに生のイカ、帆立のムースと今の季節の海の旨さを堪能します。
鯖には茄子のマリネが添えられ、イカにはクスクス。ネットリとしたイカの食感をホツホツ転がるクスクスが際だたせるのがなんとも見事。
帆立のムースはコンソメのジュレを従えて、上には軽くポシェした帆立…、ここの三宅さんは料理フェチとでもいいますか。素材をおいしくさせることに手間と知恵を惜しまぬ人で、一口ごとに驚きのあるよき前菜をたのしんだ。

そしてメイン…、全部で７種類ほどの料理の中から好みをひとつ選ぶシステム。
基本は肉を使った料理。
どれを選ぶかなやんでしまうほどにどれも魅力的にて悩む…、悩む時間がまたたのしくて、しかも悩み過ぎない程度の品揃えになっているのが心憎い。

まずはイベリコ豚のハンバーグ。

コロンと膨れた俵型…、ナイフを入れるとプチュっとキレイな肉汁が飛び出し、けれどほとばしり出るほどではないのがステキ。
肉がしっかり肉汁を蓄えたまま仕上がり口に入ってくるという証であります。
がっしりとした歯ごたえで、噛むとじゅわっとそれではじめて肉汁がでて、肉を食べてるって実感がひと噛みごとに顎に伝わるオゴチソウ。

それから豚のヒレ肉グリル…、分厚く切った豚肉を芯がロゼに残る程度の焼き加減にて、つやつや、断面の艶っぽいこと。
肉汁と脂が滲んでキラキラ光る。
ナイフを当てるとサクッと切れて、噛むとムチュンと歯茎にまとわりつく食感。
豚肉のもつミルキーでやさしいうま味と脂の風味、塩をほどよくきかせてやいてその肉汁を煮詰めたソースをサラッとまとわせ豚のうま味を素直に味わう。
つけ野菜もシンプルならが味わい深い。
小ぶりの玉ねぎを皮ごとロースト、甘くてツルンと滑る食感たのしいモノに、じっくり時間をかけて水気を吐き出させ、まるで干物のようにしたエノキはゴリッと歯ごたえたのしく、噛めば噛むほどうま味が響く。

中でもイベリコ豚のカツカレーにはまいっちゃいます。
カツそのものがガリッと歯ごたえ痛快で、イベリコ豚の濃厚な味が衣に負けず口に広がる。
肉のうま味をたたえたカレーはスッキリとした酸味と辛味。カレーというより、カレー風味のソースのような上品さにて、カツの甘みや風味を決して邪魔しない。
サイドに添えたグリーンサラダの緑も鮮やか、口をサッパリしてくれる。

夜のメニューを見てみると、９時以降ならアラカルトから自由に選べる…、つまり食堂のようであったりワインバーのようであったりと、そのときどきの使い勝手でたのしめるようになっていて、また来なくちゃと思って席をニッコリ立った、オキニイリ。

レストランエム

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