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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
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    64
    性別:
    男性
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    1960/01/26
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    松江の和食店、「和らく」という店にてまずは勉強。

    waraku.jpg仕出しのお店を振出しに、鳥取県を中心にラーメン店や居酒屋、焼き肉レストランといろんな業態を積極的に展開をした。
    気づけばなんと30年。
    地域になくてはならない会社になった今。
    それでも期待に応えつづけるために今でも、一生懸命、試行錯誤し続けている。
    その経験をざっくばらんに話していただく。

    小さな街で飲食店を繁盛させるということは、いろんな人に贔屓にしてもらわないとダメ。
    けれどいろんな人に好きといってもらおうとすると、特徴がどんどんなくなってくる。
    個性的とはつまり市場を小さくしちゃうコトでもあって、その矛盾。
    差別化されてて、しかも多様な人に愛してもらえるお店…、そして商品。
    そのあり方をいろいろみんなで考える。

    f11444e7.jpegそして昼。
    ここのお店の主力商品をみんなで試食。

    井げたの形に仕切られた、お弁当箱の中に9種の料理が入って、それに寿司。
    それから天ぷら、汁、茶碗蒸しという、確かに和食レストランで女性向け料理の花形スタイル。
    地物の鯛のゴリゴリっとしたお刺し身に、ホタテの柱を酢味噌で和えたの。
    銀ムツの西京漬け焼き。
    小芋の煮物。
    タコをフックラ、小豆と一緒に柔らか煮にしたものなどなど。

    海の料理がほとんどで、とてもやさしく味わい深い。
    特に刺身のブリブリとした噛み切れぬほどの力強さは、西の日本のならではで、寿司も同様。
    関東地方ではネットリとした食感になるヒラメや鯛も、西のここではブリブリゴリゴリ。
    小さく作ったにぎりでも存在感が一味違う。
    シャリも酸っぱさよりも旨みにかたむく。
    西日本の独特の旨み文化を堪能す。

    8995f887.jpegこれだけだったら多分、ただの普通にちょっと贅沢なランチ弁当というとこなんだろうけど、ここのこれにはシジミの小鍋が汁替わりにつく。
    昆布でとおったキレイな汁に、白菜、水菜にエノキにシメジ。
    そこに10個ほどの宍道湖シジミを一緒に沈めてコトコト、固形燃料で温める。
    湯気が立ち、プクプク小さな泡が底から浮いてくる。
    泡でシジミが踊りはじめて、カラコロ、まるで風鈴叩くような軽快な音が座敷に響く。
    シジミの殻と金属の器がこすれて立てる音。
    まもなく汁もできあがり、一口すすると、貝の旨みに目がさめる。
    ドッシリとして舌の上にいすわるような持続する味。
    雑味をほとんどもたぬキレイなおいしさに、思わず体がほぐれるような、なんともいえぬ美味な汁。

    ca947150.jpegもうひとつの売れ筋メニューがこれなんです…、とやってきたのが竹かごに入ったお弁当。
    手まりにまとめた寿司に、蟹の細巻き。
    天ぷら、唐揚げ、イカにウニを塗って黄金色にして焼きあげた串。
    蟹の甲羅の中には蟹グラタンと、別の皿には刺身がのっかる。
    これにデザートがついてなんと1880円というお値打ち値段。
    みんな、スゴイねぇ…、と感心しつつ、でもこの竹かごの中の料理を盛りつけ直したら、もっとキレイで価値が出るかもしれないねって。
    それであれこれ、試行錯誤をした結果。

    天ぷらの位置をちょっとうごかし、そこに別皿におかれてあった刺身を移す。
    串に刺さった料理の場所をこれまた変えて、寿司や唐揚げが一目でみれるようにする。
    カゴの中に入ってた、蒸しまんじゅうを外におい出し、つまり豪華な料理を全部一目でみられるように、ちょっと配置を変えてみる。
    ただそれだけでなんだか料理がイキイキしてくる。
    なによりパシャッと一枚画像を撮ればほとんどすべてを説明し切れるのがいい。
    おもしろいコトに、そうした料理はブログに投稿しやすい料理であったりもする。
    今の時代。
    お客様の口コミで宣伝される料理を作るというコトも、心がけなくちゃいけないかもネと、一堂納得。
    おもしろい。

    697069b2.jpegそしてデザート。
    先の竹かごに入った料理についてくるのが、この一皿。
    甘いモノ。
    食事のたのしい余韻にひたるため、あればうれしいおもてなし。
    特に女性をターゲットにした料理には絶対かかせぬモノで、かなり気合いが入ってる。
    小豆とカカオの風味がたのしいアイスクリームに寒天羊羹。
    一口分だけの小さなケーキと、味だけでなく、温度に食感がそれぞれ違って、食べ比べするのがたのしい三種。
    ただ何種類も盛り合わせればいいワケじゃない。
    多様な味を味わえるという、そのたのしさを演出しなくちゃいけない食後を、見事にしっかり彩る〆にウットリしながら食事を終える。
    勉強会もめでたく終わり…、次の機会は東京で、とそう言いながら散会す。

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    松江にて勉強会。

    nekko.jpgおいしい料理を作るだけではお店を繁盛させることはむつかしい。
    おいしい料理を作り「続けなくては」商売として成立しない。
    続けるためには、続くような工夫をしなくちゃいけないワケで、例えば「たのしく働くコトができる」仕組みを考え、導入することも必要になる。
    やる気と技術と経験だけでは、仕事は続かぬ。
    「好きなコト」を「続けてやれて」しかもそれで「食べていく」コトができる仕事にであえることが、シアワセのコト。
    おいしい料理を作ることも大切だけど、働く人が休みをしっかりとれるコト。
    厨房の中で食事を立ってたべるような、貧しいコトをしなくてすむようにちょっと知恵を使うことを必要なコトなんだよね…、って。
    今日はそれで、新しい調理法のコトをあれこれ勉強する日。

    鮮度を保つ保管法。
    鮮度を活かして調理し、しかも品質保持期間を長引かせるコトができる調理と保存法。
    松江の「根っこや」と言うお店の厨房借りて調理長の講義で、今日の勉強会の〆にする。
    山陰地方の食材を既存の調理方法にこだわらず、新しい味の提案をしているお店。
    そこでいつもつくられている実践的な、けれど同時に実験的な料理のありようをアレコレ学ぶ。

    60d82cdc.jpegもともとフランス料理を習得した人。
    その人が作る和食のさまざま。
    独創的ではあるけれど、創作料理のようではないどれも本物。
    温度と時間。
    今まで経験でほとんどすべてが出来上がっていたコトを科学してやる。
    方程式でできる料理の骨格に、感覚的なる肌を着せ、食器という名の舞台にのせる。
    それが料理を作るというコト。
    素材が調理されたように調理すればおいしい料理になるんですよ…、って確かにそうかもしれないなぁ…、って感心します。
    そもそもボクらはどれだけ食材のコトを知って今まで料理をしていたんだろう…、ってちょっと反省したりする。

    例えば前菜。

    0018b0b2.jpeg向こう側にみえるまるでムースのような食べ物は酢味噌を泡にした料理。
    スペインのエルブリではじまった料理の一つで、タップリの空気と窒素を抱いた酢味噌がなんともなめらか。
    その泡で包まれているのがタコやエビ、あるいはイカといった海の幸。
    季節の海鮮の酢みそ和えも、こうしてスプーンで食べてくと、まるで違った味に感じる。
    思わずワインと口走る。

    手前のガラスの鉢に入ったモノは蕎麦粉をつかって作ったフェトチーネ。
    カツオ出汁のジュレをちらして、会席料理で言うならばオシノギに当たる、けれどこれまた冷たい前菜としてもおいしいたのしい料理。
    バルサミコ酢を使って〆た鯖だとか、ゴルゴンゾーラチーズを巻いたヒラメの昆布〆。
    なるほどこんな解釈方法もあるんだなぁ…、って感心しながら料理が進む。

    170def0d.jpeg地物のアワビをやわらかに煮た魚の一品。
    そのまま刺身で食べていただくこともできるアワビなのですけど…。
    でも山陰で、コリコリとしたアワビの刺身を食べさせる店はそこらじゅうにある。
    他の地方から来る人ならば、それを食べて感動するかもしれないけれど、地元の人には当たり前の味。
    ならばココでしか食べれぬ料理をつくろうよ…、とそれでクニュクニュ。
    やわらかにして、提供をした。
    地元のモノを使った料理。
    地産地消がブームの中で、ならばそれを地元の人が喜ぶかっていうと決してそうじゃない。
    こうした工夫がほんとは必要なんだろうって。
    熊本産の真っ赤な柚子胡椒がビリッと辛味をくれて、これはこれでおいしくて、不思議と何故だか、芋焼酎の水割りが欲しくなるかもって思ったりする。
    おもしろい。

    肉のメインはまるでケーキのように見えるコレ。
    鳥取産の牛肉をやわらかく煮て、それを焼く。
    ワサビを混ぜたパン粉でよそおい、それをオーブンで軽く焼きあげ出来上がりという、遊び心満点がいい。
    なによりまるで絵を描いたようなうつくしいさま、オゴチソウ。

    3b33dcb7.jpegフォアグラをタップリ混ぜた茶碗蒸し。
    宍道湖でとれたすずきと、島根の大田市でとれる種無し柚子をつかった雑炊が〆。
    それに続いてデザート、ケーキの盛り合わせがきて、それで今日の宴の終了。

    これらコース料理をこうして作った厨房。
    その直前までボクらが勉強会で使っていた厨房でもあるワケで、当たり前なら絶対こんな料理を作る準備ができていないはず。
    けれども、なのに、この厨房では驚くほどの手際と速度で見事な料理が次々できる。
    参加者一堂、舌を巻き、それと同時に舌鼓打つ。
    よき勉強の夜となる。

    そのあとみんなで夜の街。
    今日はかなり飲んでしまった…、まぁ、それも良し。
    明日も勉強、がんばろう。

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    明日、オープンというレストランのレセプションにおよばれします。

    b8e73750.jpeg神田で話題のトロ箱居酒屋。
    「丸ト水産」の指導で作った郊外型の海鮮レストラン。
    お酒も飲める趣向ではある。
    けれど家族が集まって、おいしい魚で笑顔を作って帰ってもらおうって、そんなアイディアを形にしたのがこのお店。

    漁師料理をたのしめる気軽な食堂…、って感じでしょうか。
    凝った料理や、多様な料理を売り物にしたお店は沢山あるけれど、刺身がおいしい郊外型のお店は少ない。
    おじいちゃんから子供まで、同じテーブルで同じ料理をつつくたのしみ。
    新鮮にして今の季節を感じてもらえる魚でお腹一杯になる。
    そんなたのしい提案を、今こそしたい…、ってそんな気持ちであれこれ考え準備した。
    一番、大変だったのは魚の流通。
    場所は下館。
    海から遠い内陸地にて、しかも羽田から遠い場所。
    日本各地の魚にとって日本最大にして最良の漁港は羽田の飛行場。
    そこから遠いと言うことは、魚がおいしいを売り物にする店にとっては致命的。
    けれどそのディスアドバンテッジにも負けずにキチッと物流ルートを確保して、今日のめでたき日となった。

    a70b234e.jpeg大手レストランチェーンのお店が撤退した後を、改装しての開店です。
    味気ない、どこにでもあるレストランをワクワクするよな気軽な雰囲気にするのには苦労した。
    お金をかければ全部内装とっかえて…、というコトだって出来たのだろうけどそれでは結局、お客様に迷惑かかる。
    内装費用を価格に上乗せするようなことをしちゃいけないね…、と手作り感も随所に残し網を張ったり、戸板を立てたり。
    壁には商品札をベタベタ貼って、漁師の浜茶屋みたいな感じを出してみた。
    まだ明日オープンと言うコトで煙の香りや使い込んだ味ある汚れがまだなくて、よそよそしくはあるけれど、まぁ、良く出来た。
    いい感じ。

    今日の日のため準備を続けたスタッフ一同。
    若干緊張の面持ちで、けれどみんなやる気一杯。
    みんなの声がいささか枯れているのは、シミュレーションを繰り返したせい。
    魚の名前を覚えなきゃいけない。
    産地や特徴。
    どうやって食べればいいのか、若い人には新鮮ないろんなコトをひとつひとつ覚える仕事。
    お客様においしい魚の食べ方をおすすめできるようにしなくちゃ…、と一生懸命。
    そろそろ自信もついてきたのか、元気でとても気持ちいい。

    36954c59.jpegさて試食。
    ここの名物、刺身の盛り合わせ。
    今朝、羽田についたばかりで、だから当然、ビチビチ活きてるボタンエビ。
    コリコリとした白ツブ貝に、ホタルイカやらタコにウニ。
    この地方で魚と言えばマグロがメイン。
    そんなトコロで、多彩な海の幸をたのしんでもらおう…、ってコトで、白身や鰯がお鉢を飾る。

    それからも一つ、ここの名物の海鮮焼き。
    コンロの上にあれこれおいて、煙もうもうさせつつ焼くもの。
    これまた今朝、函館から飛んできたばかりのホタテを網にのっけて焼きます。
    貝の柱からほとばしりでる旨みタップリの汁を残さず食べるよう、受け皿おいて貝をひっくり返して再び網にのせ、そこにこぼれた汁を戻して醤油をかける。
    甘い匂いがただよってきて、それをカプッ。
    肉厚の身がムチッと前歯を包み込む。
    他にもイカや明太子。
    海鮮以外にもベーコンや厚揚げ焼いてはさみでジョキジョキ、切り分け食べる。
    そのカジュアルがまるでバーベキューみたいで受ける。
    旨い以上にたのしくて、みんなニコニコ、祝いのお酒があいていく。

    b7b22a58.jpeg郊外立地ならではの工夫もいくつか。
    子供も喜ぶメニューをネ…、ってそれで「イカゲソ天のたこ焼き風」ってたのしい料理。
    見た目はまるでたこ焼きで、経木で作った船の上にソースにピュピュっとマヨネーズ。
    かつお節がヒラヒラ舞って、串が刺さってやってくる。

    プスッと一個、口に運ぶとコリッとゲソのハリある食感。
    それを包んだ天ぷら衣も、バリッと固めに出来上がってて、カリトロフワッのたこ焼き独特の食感と、見事に真逆の噛み応え。
    その食感が落ち着いて、味わいすすめていくとどんどん、たこ焼き的なる味がしてくる。
    見た目と食感、味が見事に食い違う、予想不能なたのしい味わい。
    こりゃ、子供たちに受けるよなぁ…、って思って感心。
    たのしくなった。

    eadeb0dd.jpeg〆の工夫のたのしい一品。
    「お気に召すままなイクラ丼」。
    1999円と言うちょっと高目のお値段ながら、お気に召すままイクラを食べるコトができるという商品。

    たのむとご飯に海苔を入れた丼がくる。
    そこにはイクラの影も形もまだなくてほどなく大きなボウルを抱えたスタッフが来る。
    手にはスプーン。
    ボウルの中にはタプンタプンと醤油漬けしたイクラが揺れる。
    他のスタッフも回りに集まり、さぁ、お好きなだけと掛け声かけて、イクラ祭りのスタートです。

    お客様がストップするまで、ボウルのイクラをスプーンですくって、丼の中に移してくという、ゲーム感覚のたのしい趣向。
    さぁ、一杯目。
    さぁ、二杯目と、スタッフみんなでカウントしながらみるみる丼の中がイクラで一杯になる。
    4杯目ほどでご飯が隠れて見えなくなる。
    6杯越えると丼がなみなみイクラで満たされて、ほぼ10杯でもう入らなくなる。
    そこまでがんばる人もいるけど、大体5杯くらいかなぁ…。
    もう満足ってところでストップする人ほとんど。
    大人同士のあうんの呼吸というトコロ。

    70d7d9b1.jpeg盛り放題とは言えどイクラは見事なレベル。
    粒ひとつひとつが頑丈で粒もキチンと揃ってる。
    口に入れるとまずはツルンと舌をすべって、口の中を転がっていく。
    奥歯で捕まえ、噛むと最初は潰れぬようにとしたたか抵抗。
    必死にこらえる真っ赤な粒がプチッと壊れて、中からトロンと磯の旨みがほとばしりでる。
    とてもなめらか。
    しかもネットリ、口を満たして喉の奥へとなだれ込んでく。
    それがご飯にやさしく混じり、この上もないシアワセな味。
    今日一日はコレステロールやプリン体という言葉を忘れて、魚卵の旨みに身をゆだねます。
    ビールは我慢で自己防衛(笑)。

    他にも魅力的なる〆に食事の商品があれこれあって、例えば神田のお店の昼の名物。
    海鮮丼が夜のご飯のメインに昇格。
    今日の刺身のおいしいところをタップリのせて、汁漬けて1300円と破格の値段。
    レセプションにお呼ばれしてるおじさんたち。
    これ見て思わず、ビール、お代わり。
    上に乗ってる刺身で酒を飲み直し、徐々に姿をあらわにしてくるご飯を一口、二口パクリでお腹の塩梅整える。

    〆の〆にと漁師汁。
    キンメや鯛のアラを煮出してとった出汁。
    そこにお味噌をはって魚の味噌汁作り、最後に伊勢エビの頭を半分、割り入れ仕上げる。
    味噌の上にはキラキラ魚の脂とエビの味噌が混じってゴージャス。
    お風呂に例えりゃ、薔薇風呂みたいな感じでござろう(笑)。
    飲んで食べて、笑って飲んで、たのしんで。
    明日からの本営業で、実力発揮できますように。
    みんなと握手をしながらお店を後に電車にのった、また来ます。

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    今日は深夜まで勉強会。
    店舗スタッフも一緒になっての勉強会で、だからお店をクローズしての時間になった。
    いい営業をした後の、ちょっと興奮した体と頭。
    ほどよくほぐれて、なんでも吸収してやろう…、って状態になっている。
    勉強するには良いチャンス。
    しかもさっきまで、お客様でウォンウォン唸るようになってた店舗が教室という、これ以上のセッティングはなし。

    kotora.jpg米沢牛に特化した焼き肉レストラン、「仔虎」という店。
    仙台駅前の飲食ビルの中のテナント。
    8階建ての最上階で、そこまでお客様を引っ張ってくるのは大変。
    なのにココ…、キッチリお客様を呼び込んでいる繁盛店。
    若い人たちが、元気で現場でがんばるお店。
    ほとんどのスタッフがボクの子供といっても通る年齢で、そうだよなぁ…。
    焼き肉なんて、彼らの食べ物。
    食べておいしい。
    あるいは、食べたくってしょうがない、と思う人が作って売ってる料理はおいしいということなのでありましょう。

    勉強の前に試食をします。
    折角だから、おもしろいマッコリ一本抜きませんか…、とうれしいお誘い。
    「虎マッコリ」なる日本酒の蔵元が作ってるという生のマッコリをプシュッと抜きます。
    瓶の中で熟成しながら泡をタップリ抱きかかえてる。
    栓を抜くとたちまち泡が目を覚ましプチプチ、口のすみずみを踊って撫でて消えていく。
    スキッとおいしく甘み控え目。
    ドライな喉越し、けれどシットリなめらかな、やさしい味わい。
    こりゃ、クセになる。

    c8e13b67.jpeg前菜の皿がやってきます。
    黒い漆のお皿の上に、白菜キムチにオイキムチ。
    モヤシに葉っぱのナムルがほんの一口分ずつ、キレイに盛られる。
    ここの料理長は和食出身。
    焼肉という料理を食べ慣れていない人にもわかってもらえる贅沢感とか、おいしさ感とかにこだわっている。
    ココの料理は日本人の目と直感においしい料理。
    一口分のどれもがおいしく、中でも炭の手前に置かれた白い塔。
    牛タンの煮込みを細かく刻んだモノを、茹でたジャガイモとあわせたモノで、これがとってもおもしろかった。
    クニュッと歯ごたえ確かなタンを、フンワリとした芋が包んでネットリさせる。
    お酒が進むたのしい一品…、よい工夫。

    刺身とタタキ。
    ワサビ醤油で素直に食べる刺身のピトッと、舌に貼り付く脂の旨さ。
    噛むとトロン、歯茎にやさしくまとわりついて旨みを吐き出すたのしいゴチソウ。
    外はカリッと強く焼き、中はひんやり、ベリーレアという状態に仕上げた肉を一口大に切り分けて、それをワサビ、ハラペニョ、マヨネーズで仕上げたソースを付け、食べるというタタキも上等。
    なによりキレイな盛りつけが、これからゴチソウ食べるんだぞ…、って期待と実感くれるしあわせ、ワクワクします。

    そして焼き物、まず塩焼き。

    b3bd16e3.jpegタンとすね肉、そして薄く削ったミスジの三種。
    タンの旨さは当然のコト、普通は煮込んで柔らかくして食べるスネ。
    それを薄ぅく削ぎ切って塩ダレつけて焼くというのにちょっとビックリ。
    ゼラチン質がヒヤッと唇すずしくし、噛むとジュワンと強い旨みを舌が感じる。
    若干、コリコリ、奥歯に暴れて気づくとすべてがなくなっている。
    まるで魔法にかけられたような、そんなおいしさ、身がよじれます。
    それからミスジ。
    小さい肉にロースとヒレの特徴を持った肉が混在している部位。
    それを、なんとトリュフ塩で炙って食べる、というのが今日の趣向。
    焼いてる間に肉がジンワリ汗をかき、中にトリュフの風味が入ってく。
    とは言え肉の香りや旨みを邪魔せぬ鼻の贅沢。
    おいしい部位のおいしいトコロを厳選した
    タレ焼きも良い。
    バラに、モモの芯、それからリブロースの外っ側という、ボクの好きな場所ばかり。
    しかもどれもがほどよいサシが入ってて、赤身のおいしさ台無しにせぬよい状態。
    網にのせると脂に火がつく…、そんなお肉はもう結構!
    肉はそもそも「身」のおいしさを食べるモノにて、「脂」は本来、風味をつけるための脇役。
    それが最近、主役を乗っ取る脇役ばかりでうんざりすること多くって、けれどココではそれぞれ自分の役割しった肉と脂が手に手をとっておいしく焼けてく。
    ニクズキ泣かせの、見事なお店。
    サカキシンイチロウ、久々、陥落しちゃいます。

    32bae823.jpeg口が肉の旨みと脂に疲れそうになったところで〆のコレ。
    和風涼麺というココの〆の名物。
    基本は盛岡風の冷麺ですな。
    細目でムッチリ、歯ごたえ確かな冷麺の麺。
    牛肉と牛骨スープを丁寧にとり、透き通るほどにキレイに仕上げたスープをあわせネギ、海苔、温泉卵と最小限の具材で飾ったさわやかな様。
    あぁ、キレイだねぇ…、っていいつつスープを一口すすり、あぁ、やられちゃう。
    旨み濃厚、なのにほどよい酸味がきいてて口が一気にスッキリしてくる。
    麺の歯ごたえ、噛み応えも抜群で、食べはじめるととまらない。
    お酢や辛子が用意されていはするのだけど、それらを使う必要のない完全にしてステキな料理。
    気づけばスープの最後の一滴までもがお腹におさまっていた。

    いいお店です。
    おいしい料理をたのしんでもらおうと、お店のみんなが一生懸命考えながら料理を作り、もてなすお店。
    とは言えこんなにステキな料理の本質が、本当にお客様に伝わってるかというとまだまだ努力と工夫が足りぬよう。
    ならどうすればいいのかなぁ…、とそれをみんなで一生懸命考える。
    たのしい夜とあいなった。

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    昨日に続いてハンバーグの昼。
    鎌倉よりの横浜にある「カウベル」って店。

    cb.jpgボクら家族が田舎から、父の知人をたよって上京し、居を構えたのが葉山という街。
    おいしいモノをどこで食べればいいのかわからず、寂しい思いをしていたときに出会ったのがこの店だった。
    ハンバーグの店。
    実はボクの父という人は、経営していたレストランチェーンを潰した人でその直接のキッカケがハンバーグ。
    もともと和食のお店やっててかなりの成功をしたのだけれど、これからは洋食レストランの時代だろう…、って郊外型の店を作った。
    ベルハウスって名前でネ。
    アメリカの奴隷解放の象徴っていわれる「リバティーベル」に、そっくりな鐘が駐車場に吊り下げられてて、一時間おきに時を告げてたアメリカかぶれのレストラン。
    すかいらーくの1号店とほぼ同じ時期にできたから、日本全国の業界人が見にきていたけど、そこのハンバーグは絶望的にまずかった。
    厨房の中で下働きをしていたのでマズさの理由はよくわかる。
    オープン前にパテを焼きそれを食用油に漬け込み、注文受けてから二度焼きをする。
    ホテルの厨房なんかじゃみなこうしてる。
    下衆な料理のハンバーグなんかに、手間をかけるのは腕あるコックのすることじゃないって、父がビックリするほどの給料で引き抜いてきた東洋ホテルのシェフはボクにいっていたもの。
    ボクはそのとき、二度とレストランでハンバーグを喰うもんか…、って激しく誓った。

    64f7157a.jpegそして葉山に引っ越してきておいしいお店があるからと、この店にきてハンバーグを食べ、父のやってたお店が潰れた理由を知った。
    旨かったもの。
    ボクにとってハンバーグという料理の真価を知るに至ったお店がこの店。
    なつかしい。

    ふっくらしてる。
    けれど表面は若干カリッとこんがり焼けてて、噛むとホロッとやさしく崩れる。
    けれど奥歯で噛みしめてくと、肉の力強い食感が歯茎に向かって突き抜けて行く。
    ほどよき脂が肉汁と一緒になって口の隅々、満たしていくのがなんともウレシい。
    ここのオススメのオニオンデミをタップリつけて食べるとご飯のおかずにピッタリ。

    ステーキにしてボクが一番おいしいと思う牛モモ肉を、キッチリ熟成させてからキッチリと焼く。
    強火で表面焼き上げて、休ませながら中まで程よく火を通してくと、肉の旨みを残さず中に閉じこめることができるのですね。
    それがステーキ。
    肉のかたまりをただ焼いただけじゃない、これがステーキ。
    簡単だけどなぜだか家で作るとここまで旨くは絶対できぬ。
    顎にズシンとおいしく響く、歯応え、歯ざわり、味わいたのしむ。
    心踊るよな、オゴチソウ。

    c60ff36c.jpegランチタイムにやってくると、平日なのに満席で、ずっとウェイティングが続いてる。
    お客様の89%ほどがご婦人方。
    それも4人、5人とグループでテーブルを囲む人たちが結構多くて、なかにはワインをあけて飲んでる人も少なからずいる。
    みんなニコニコほがらかに。
    タップリ時間をかけて会話をたのしんで、ここにいると日本が不景気なんてまるで想像できないほどの別天地。
    お店の雰囲気、たのしい料理、良いサービスと繁盛をする要素はしっかり揃った上でコストパフォーマンスも見事なモノで、例えばコース。
    ココはハンバーグやステーキが売り物ではあるけれど、パスタやピザも揃っててしかもシッカリしたレベル。
    試しにパスタコースをたのむと、まず前菜の盛り合わせがくる。
    それからスープ。
    今日のパスタが6種類ほど用意されてて、それから一つ。
    デザート、好みの食後の飲み物とフルスペックで1500円前後いう程よい価格。
    牛のたたきにタコカルパッチョ、アスパラガスを生ハム巻きといろんな味がたのしめる前菜もいい。
    けれど野菜の旨みがとけこんだスープを入れた器が蓋付きの、ビストロなんかでオニオングラタンスープを入れるような器だったのにウットリしちゃう。

    8d58f45a.jpegお客様に夢を売るのもレストランのとても大切な仕事の一つ。
    洗うのが難しい形の食器を目にしたら、あぁ、これを使えば女性は喜ぶ。
    だって一般家庭ではそうした器をなるべく使いたくないでしょうから…、と思って料理を開発するのがプロの料理人って思ったりする。
    おもてなし。

    ボクが選んだパスタは春の野菜と桜エビのペペロンチーノ。
    桜エビを本当にタップリ。
    サクッと油で揚げたのを山のようにパスタの上に積み上げる、そのプレゼンテーションもまたステキ。
    ご飯の替わりにパスタを食べる。
    パスタのおかずにステーキ食べる。
    そんな贅沢もいいんじゃないの…、と思ったりした。
    オゴチソウ。

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