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2024/11/24 (Sun)
南九州の旅の前半
熊本県の県南にある人吉をでて、宮崎県のえびの高原。
高速道路を走っていると、熊本県が鹿児島県になったと思えば宮崎になるのくりかえしにて、この界隈の複雑にして密接なつながり感じる。
そして慶民。
えびの高原の京町という温泉街にあるラーメン店。
かつては本当に小さなお店。
温泉街のメインストリートに面して入り口をもつ店で、20席もなかったほど。
ところがその客席と同じくらいの面積の厨房を持ち、いつもピカピカ。
料理もおいしく、なによりお店の人の気立てがよくってスゴイ繁盛店になっていた。
ランチ時にはいつも行列。
4席用の小さな座敷に、ギッシリ6人座って食べたり、常連さんは待ってる人を気遣って食べ終わったら自分で食器を下げて帰るような繁盛。
それで数年前に増築かねた改装をした。
昔の小さなお店の様が一部再現されてはいるけど、居心地よくてほどよきサイズのお店になった。
厨房の中がピカピカなのは、今も変わらず。
油を使った料理を作る。
しかも驚くほどに忙しい店。
なのにピカピカ。
掃除がシッカリ行き届いているというコトでしょう。
朝の営業前の時間にお店に入れてもらってそしたら、仕込みをしている人たちがみんな若い女性というのにちょっとビックリ。
しかもみんな元気でニコニコ。
女性向けって感じの店でも、ましてやそんなメニューでもなく、けれど女性が働いて働き心地の良いシステムになっているってコトなんでしょう。
しかも最近。
入口横の部分をちょっと改装をした。
ラーメン店とは言えこの周辺には、めぼしい飲食店がほとんど無い。
街の人たちがちょっと休憩できる場所。
あるいはランチのピークを過ぎて、食事の後のお茶をたのしむ場所がほしいネ…。
と、そんな声に答える形で、カフェ用のキッチンをそこに作ったという。
有機栽培のコーヒー豆で、入れてくれたコーヒーのほどよきウマさに体がホロッとあったまる。
それにくわえて物販用の売り場も出来た。
小さいながらも近所の田んぼで作った米や、ドレッシングやポン酢がならぶ。
どれも地元の素材を使って、パッケージングもお洒落できれい。
お店を利用するご婦人たちが、お小遣いで帰る程度の値段のモノをこれから徐々に増やしていって、地域の生産者さんの助けになりたい、とそんな気持ちのさまざまなモノ。
実はこの店。
もともと農家をしていた家族が始めたお店。
農業で食べられなかった時代が長くて、それで飲食店に半分転業。
規制や既存のシステムにがんじがらめになっていて、一生懸命働いてもそれが必ずしも報われることがなかった当時の農業に、比べて外食産業は自由でしかも発展途上。
頑張っただけ報われたのが、1980年から20年ほどのコトだったから。
それで今ではある程度、余裕ができた。
余裕ができた目で逆に、農業の今を見つめてみると、こりゃ大変だ…。
地域が老齢化していく中で、生産者たちが夢をなくして、何をすればいいかわからぬ状況にある。
主要産業が農業という、自分たちが商売しているこの町のその農業が疲弊したら、この店の将来って一体どんなになってくんだろう。
今こそ町にご恩返し…、と、それで再び生産者活動を本格的に開始した。
なによりキレイな水と見事な自然環境。
自店で使う餃子のキャベツを育成したり、米に牛。
最近、キクラゲを作るプラントを実験的に運用しはじめ、これがとてもよい成果。
身厚でしかもキレイに大きさ揃ったキクラゲ。
中国産とは格段に味、食感が上等なモノが次々できてくる。
腰をかがめる作業もなくて、畑仕事が体力的に無理な人でもこれなら十分やっていける。
温泉街の地熱も使って、将来町の産業として定着させるコトはできぬかと試行錯誤でいったり、きたり。
なんとか力になって差し上げることはできぬか…、とアイディアちょっとひねり出す。
それから車でグルッと移動…、いちき串木野にやってくる。
横綱という回転寿司のお店があって、そこで軽く試食を…、と。
回転寿司としては小さな、客席数にして50席ほどの店であります。
最近、回転寿司という業態。
お客様がやってくるときに、ガバッと稼いで売り上げ作る。
そのため大型店を作るのがブームになってる。
200席規模の超大型の安売り店が次々できて、けれどそうしたお店には、お客様と働く人のふれあいなんてあるはずがない。
あの人がにぎってくれる寿司だから、安心できておいしく感じる。
そんな飲食店として、当たり前なコトを守ろうとすると、大きなお店は怖くてできない。
安売りすることはできないけれど、その分、よいネタ、よいサービスでと頑張っているお店なのです。
南九州らしいネタが続々。
キラキラとしたアジや鯖。
今の季節にやってくる「芭蕉カジキ」って言う脂ののった赤身の魚。
ネットリとした水イカや、タラの白子のポン酢ジュレ添え。
シャリがほんのり人肌なのも寿司をおいしくさせるポイント。
とは言え地域の人のご馳走として、他の地方の季節のネタもちらほら混じる。
例えば生のボタンエビ。
ネットリとした甘い身味わい、頭とシッポをカラッとあげる。
揚がった殻の風味と食感、噛むとジュワッと中から甘い味噌がでてくる…、ビールが飲みたくなるオゴチソウ。
最近、近所に大手チェーンの回転寿司ができたと言います。
しかも地場産業としてずっとやってた大手家電メーカーの工場がひとつ閉鎖されるというのも決まった。
今まであまり新しいお客様に対するアプローチをしていなかったこの店が、ランチに限って一皿130円均一のキャンペーンを実験的にはじめたという。
日本全国、それほど回転寿司競争は熾烈で厳しい。
中には原価が割れてしまうようなネタも出てきはするけど、オモシロイのがそれなら高いネタばかりお客様が食べて帰るかというと決してそうじゃない。
食べたいものをシッカリ食べて、バランスとって帰ってくれる…、だからシッカリ利益をださせてもらえるんですって。
正直にすればその正直に、応えてくれるお客様がいる。
ステキなコトでありましょう。
オモシロイのがこの店の、職人さんのひとりが洋食出身で、それでこんな変わった商品。
ライスコロッケ…、なのであります。
酢飯を使って。
中に魚のすり身を混ぜる。
そしてチーズを芯にして、コロコロ、ボール状にまとめる。
パン粉をつけてカリッと揚げると、これが不思議と、イタリア料理のアランチーニのような味。
シャリの酸味とチーズが混じってトマトソースを使ったみたいな風味になるのね。
魚のすり身とチーズのコクで、ホワイトソースじゃないのかしら…、ってうま味もでてくる。
ケチャップ、プチュッとかけた様子も愛らしくって、子どもがこれを食べたらばよろこぶだろうなぁ…、って思ったりした。
工夫の料理。
それから汁がつみれ汁。
いわしを叩いて作った自家製。
澄ましのお汁にキラキラ、キレイな脂が浮いて魚の風味も甘くておいしい。
箸を添えるとフワッと軽く崩れていくようなやさしさで、使ったイワシが新鮮だったからでしょう。
魚の臭みはまるでない。
生姜や味噌のようなモノで臭みをとらずともおいしく仕上がる。
魚の宝庫に近い地域の、コレがゴチソウって感心します。
ステキなコトと思って帰る…、そして再びビュビュンと移動をいたします。
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2011/11/17 (Thu)
おいしい仲間
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