昼をゆっくり、銀座で過ごす師走の今日。
銀座ウェストにやってきて、軽いランチをとることした。
ここにはいつもキラキラがある。
白いテーブルクロスに季節のお花。
お水を入れるグラスには、天使の模様が箔押しされて、水がゆれるとユラリと揺れる。
フカフカとしたタオルのおしぼり。
これが最初のお出迎え。
コーヒーをいただけませんか…、とお願いすると、銀のトレイにシュガーポットとミルクのピッチャー。
キチッと並んでやってくる。
どれもピカピカに磨きあげられ、触って汚してしまうのが勿体ないほど。
シュガーポットの蓋をとり、お待たせしましたとニッコリほほえむ、サービス係の笑顔もキラキラ。
このキラキラとしたシルバーも…。
テーブルの上の白いクロスも…。
イスの背中にかけられた白いレースのカバーもすべて、ココロの贅沢味わってという心尽くしのメッセージ。
手間もかかるし、コストもかかる。
普通のお店がいろんな理由をつけて、とっくの昔にあきらめたコト。
それをずっと守り続けるその情熱と、それを愛するおなじみさんの大人の財布が支え続けているのでしょう…、ウットリします。
銀座もすっかり年末モード…、昼のちょっと手前の時間で5組ほどの先客ニッコリ、お茶に食事をたのしんでいる。
サンドイッチをたのみます。
ミックスサンド。
ココのサンドイッチは具材が3種、ハムに玉子に野菜があってその2種類を自由に選んでミックスサンドになる仕組み。
ハムと玉子を選びます。
ライブレッドをトーストしてネ…、とお願いをしてしばらく待ちます。
お店にやってきたときに、かかっていたのがドビュッシーの子供の領分、第四曲。
「雪は踊っている」のエンディング。
注文をする直前に次の曲の「小さな羊飼い」に曲が変わった。
そしてその一曲分をまるまる聞いて、サンドイッチが来たときに「ゴリウォーグのケークウォーク」が始まった。
6曲綴りの組曲の最後の曲で、昔、ピアノで弾くのが大好きだったゴキゲンな曲。
一曲分をまるまる待った、その一曲分の丁寧さ。
1口半ほどのほぼ正方形に切り分けられて、キレイにキチッと並べられてる。
薄切りのパン。
シットリ感を失わぬ程度にトーストされて表面、サクリと軽い。
中に挟んだハムは厚切り。
噛むとムッチリ、肉が歯切れる食感があり、そこにレタスがシャキッとみずみずしさを添えてたのしい。
一方玉子はフックラ、シットリ。
茹でた玉子の風味もやさしく、クリーミーでカサカサとしたライブレッドにピッタリ寄り添う、いい感じ。
レモンを搾ってさっぱりと…。
とそういう趣向でありましょう。
これまたキラキラ磨かれた、レモン搾り器がついてくる。
同じようなサービスをしているお店は結構ある。
100円ストアに行けば多分、同じようなモノを売ってたりもする…、のだろうけど。
このステンレスの分厚さ。
そして造りのシッカリしているところ。
なにより何度も何度も、シッカリ磨いているのでしょうネ。
その表面に無数のひっかき傷のような模様がついているとこが、なんだかステキ。
気持ちがポワンとあったかになる。
しかもこの器具の中に閉じ込められてるレモンが見事。
皮の部分をあらかじめ、剥いた月切りレモンが収められてるのです。
レモンの皮は苦味の素。
油もでてきて、酸味を雑にしてしまう。
そんなコトがありませぬよう…、こうしてひとつひとつの皮を剥いて提供するってこの入念。
かつて帝国ホテルのコーヒーショップで、エビフライをたのんだらついて出てきたレモンの皮がキレイに剥かれてビックリしました。
そのクオリティーがこんな小さな、しかも街場の喫茶店にて今もそっと守られている。
なんだか涙が潤んできます。
当然、値段はかなり高級。
下手をしたらホテルのコーヒーショップのサンドイッチ以上の値段かもしれない。
けど…。
今日一日が。
いや、この一年の残り4日がたのしく元気にすごせるのなら、決して高くはないなと思う。
それにしてもこの子。
コーヒー用のクリームを入れておくためのピッチャーなんだけど、普通のピッチャーと形が違う。
普通、注ぎ口と取っ手は一直線上に配置される。
ところがこれ。
注ぎ口の取っ手が直角。
取っ手の穴に右手の指をひっかけて持ち上げると、自然と注ぎ口が手前にくる。
小さな動作でミルクが注げる。
肘を張らずに優雅な仕草が自然とできるところがステキ。
特に女性がキレイに見える。
女性の仕草は小さい方が…。
つまり料理や食器をあまり長距離運ばぬ方が、優雅に見えていいんだよ…、料理や食器選びはそれを考えなくちゃ粋じゃない。
ココは粋です…、オキニイリ。
関連ランキング:喫茶店 | 銀座駅、内幸町駅、日比谷駅
ちなみに本文中で言及したドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」。
いい音源がないかなぁ…、と思って探してみたのだけれど、気に入るモノがあんまりなくてあきらめようかと思いもしたけど、そうだ、「GLEE」のジングルで使われている。
もしかしたらと思って探してみたらばあった…、貼っときます。
原曲はピアノ曲だけど、そのテイストを上手にいかしたアカペラの曲。
ドラマの中では場面展開のときに曲の導入部分が使われていて、これを聞くと、新展開にやってくるぞ…、とワクワクするようになんだかプログラムされちゃった(笑)。
新シーズンもかなり好調、アメリカでもファーストシーズンを上回る視聴率をはじきだしてるというコメディー。
今、DVDでおいかけてるんだけど、オモシロイです。
見ながらずっと劇中歌を歌っていたりするほどのオキニイリです、オキニイリ。
[0回]
PR