江戸の情緒をお腹におさめ、昼をたのしく過ごしましょうぞ…、と、それで尾張屋。
天ぷらに蕎麦を食べてたのしむ昼とする。
実は浅草という街には2軒、尾張屋がある。
雷門を挟んで右側、そして左側。
左側にある店は小さく、真新しくてこざっぱり。
一方、右にある店は大きく立派で、古めかしくてテッキリこちらが本店と思うと残念。
実は大きなお店が支店。
新しく思える小さな店が本店で、6年ほど前のことでしょうか。
建て替えキレイにしたのであります。
どちらが落ち着き、おいしいか…。
味だけでいえば本店の方がおいしいのだろうと思います。
飲食店でおいしい料理を責任持って提供するには、ほどよく小さく、厨房とすべての客席が近いところにあることが大切だから。
だからあまりに大きいと、きめ細やかな料理提供ができなくなっちゃう。
だから一人で食べるときには、大抵、小さな本店にくる。
けれど今日。
そばや天ぷらをただ純粋に味わうのでなく、江戸風情をたのしむコトが目的で、だから支店。
浅草観光のお上りさんな気分を堪能することにする。
開店時間が11時半。
その10分ほど前についたらなんとお店の前には行列…、開店時間をまつ人たちに混じって待ってそれですんなり、お店に入る。
目当てはココの天丼です。
浅草には天丼の専門店が山ほどあります。
日本で始めて天ぷら専門店を名乗ったお店とか、行列がいつもできてる有名店。
あるいは、江戸前のいいネタが入らぬときには急にお店を閉めてしまう頑固が売りのお店もあって、けれどそれらどこよりも、ボクはココのお店の天丼のコトが好きで好きでしょうがない。
普通の天丼。
エビだけ。
しかも大きなエビで、丼からドンッとはみ出し蓋も斜めに半開き。
サックリ軽めに揚がってて、タレもサッパリ。
天ぷらの油の香りも損なわず、天ぷら屋の天丼じゃなく、そば屋の天丼を極めた味わい。
そんな感覚。
ご飯も固めでタレにも負けぬ食感で、なによりセットになってやってくる汁の出汁が味わい深くてなんともおいしい。
二人でひとつ、たのんでそれを仲良く分けて蕎麦のお供にするのがこれまたたのしくて、食がグイグイすすんでく。
ひとり一個の蕎麦をとります。
まずはせいろで蕎麦そのものの味を味わう。
細めで白く精製された江戸前的なるさらしなの蕎麦。
タレにちょっとだけ浸して食べると、蕎麦の風味が口に広がる。
バサッと舌の上でちらかるたのしい食感。
天丼の天ぷらと一緒に食べると、揚げた衣の油が蕎麦のタレをおいしくしてくれる。
それから花巻。
温かい蕎麦の上に江戸前の海苔をタップリ。
蕎麦がほとんど隠れるほどにのせてそこに蓋をする。
当然、丼からはみ出た海苔は蓋され曲がって丼の外の表面に貼り付いちゃう。
一見、なんて乱暴なって思うのだけど、蓋して蒸らすコトで、海苔がしんなり。
ツユに馴染んで、タップリ吸い込み海苔がまるで佃煮みたいな風味になってく。
それがトロンと麺にからんで食感変えて、磯の風味でツユの味までおいしく深く、風味豊かになっていく。
実は「あられそば」っていうのをたのんでやろうと企んでいた。
この海苔の上に小柱をのっけて食べる、冬のゴチソウ。
プルプルコリコリ小柱の食感たのしく、貝のうま味がツユにまじっておどろくほどにおいしくなってくれるはず…、だったのだけど、しょうがない。
あられそばの小柱抜きも、またゴチソウとズルズル、ハフハフ、たのしんだ。
冬においしいお蕎麦を2種類。
ひとつは、かきたま。
トロミのついたあんかけ蕎麦の、あんかけスープに溶いた玉子をおとしてチリチリ、固めたモノ。
冬に体を温めたいとき。
ずっと麺の温度を下げたくないとき。
しかも卵の栄養が弱った体をやさしく癒す。
とは言え最近、そば屋で「かき玉そば」ってたのんでも、ありませんよと言われることが多くなった。
どんなお店にもある食材で作ろうと思えばできるはず。
けれど案外、ほどよいトロミに仕立てるコトがむつかしく、苦労してつくったとしてもそれほど高いお代を頂戴できるモノじゃない。
だから準備するお店が少なくなっているのかもしれません。
ココのコレ。
そのトロミと玉子の上に生姜を搾った汁をくわえてより冬の味になっててウレシイ。
食べるとどんどん体が中からあったまり、お腹が汗かくオゴチソウ。
それにもひとつ、カレー南蛮。
明るい黄色でとろみのついた、そば屋さん的カレーの色や風味がするのがまずうれしい。
玉ねぎ、それが薄切り豚肉。
刻んだお揚げと具だくさんにて、食べてるうちにどんどん体がポカポカあったまる。
蕎麦をキレイに平らげて、丼の中に残ったカレーに天丼の甘辛タレが染み込んだご飯をいれてかき混ぜ食べる。
甘くて辛く、しかも醤油の風味がたのしくお腹がたのしく満たされる。
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