ところで久しぶりにきた大阪の、大阪駅の変わりようにはビックリしました。
まずが駅のホームの上を覆う大屋根。
新たにできたビルの上から、放物線を描いて落ちてくる滝のよう。
駅の象徴的な存在なのでしょう。
でもそれ以外になんのためにあるのか全然、わからない。
だって…。
屋根なのに、雨風しのぐコトができないんだもの。
今日も小雨が降っていて、ビルとビルの谷間を吹く風にあおられて、かなり激しく振り込んでくる。
時間の広場と名付けられた、ホームの上をまたぐように作られた空中広場。
上野駅の東口にある空中通路にニューヨークのグランドセントラル駅にある時計台をとってつけたように配置した洒落な通路も、ガランとしてて笑っちゃうほど裏寂れてる。
こんなモノを作るお金で他にすることあっただろうに…、って思って笑う。
とはいえ周辺の開発事業のスゴいコト。
かつてまさに「駅の裏側」と呼ぶにふさわしい北側に、ピカピカキラキラの超高層ビル。
オフィスビルに百貨店。
スポーツクラブにシネコンまでと、再開発都市がほぼ必要とする機能をもれなく網羅した「駅の街」になっていた。
ココがこれからしばらくは、大阪の顔になるんだろうなぁ…。
便利でしかもたのしくて。
だからでしょうね…、食堂街は驚くほどの混雑。
まだお昼前というのにどこも、長い行列。
隣り合うビルの一方が伊勢丹のビル。
もう一本は、若い人向けのテナントがはいるファッションビル。
その両方が飲食フロアで一つにつながっていて、自由に行ったり来たりができる。
別に間に境があるワケじゃないんだけれど、伊勢丹サイドに来ると行列が途端に短くなるわかり良さ。
仕事の予定が迫ってもいて、あんまり時間がなくもある。
それで行列短い伊勢丹側のお店を選ぶ。
久しぶりの大阪で奮発しました。
但馬屋に来る。
関西に来て食べたくなるモノの最右翼が牛肉料理。
ビフカツ、ステーキ、鉄板焼きにそれからしゃぶしゃぶ。
昔から独自の牛肉文化があって、東京なんかじゃ味わえない驚く美味に出会えたりする。
そしてココ。
兵庫が誇る但馬牛を鉄板焼きでたのしむお店。
予約帳に名前を書いて2組ほど待ち「お一人様のサカキ様」と呼ばれて案内され、座る。
ハラミの鉄板焼のランチにします。
150gの程良い分量。
それで値段は1980円で、他にはヘレやら特選カルビ。
どれも当然、但馬牛。
2000円から4000円の間に値段が集中してる。
百貨店の食堂街とはいえどもさすがに今の東京で、これだけ強気の値段で営業できる店はそれほどないでしょう。
関西パワーにビックリします。
たのむとほぼ間髪入れずに前菜がくる。
イラチな大阪の人の期待に応えるため、まずは口の中に何かを差し上げましょう…、とココならではのサービス精神なのでしょう。
若干、とっちらかった盛り付けも粋でござんす。
悪くない。
味はたしかで、例えば明石のタコのカルパッチョ。
オリーブオイルをまとわせた、タコの足の薄切りにジェノベゼソースで仕上げた一品。
コリコリクニュクニュ、食感楽しく、蒸し鶏せせってキュウリとあわせたサラダ仕立てと好対照。
シーザードレッシングでシッカリ和えたサラダも確実。
シャキッと冷たく口の感覚が鮮やかになる。
コーンポタージュはなめらかで、これだけ少々ぬるくって、けれどそれもゴクゴク飲めるようにだろうか?って、前向き評価をしてしまう。
それにしても変わった店で、お店の半分ほどのスペース使ってカウンターがある。
鉄板焼きの厨房がそのまた半分。
それを囲むようにして、カウンター席。
椅子の座面が高いバーにあるような小さな椅子で、座り心地は決して良くない。
他の客席もワインの樽を使ったテーブル。
椅子は同じくバースツールで、ステーキ屋さんにはまるで見えない。
鉄板料理のワインバー。
あるいはちょっとお洒落なお好み焼き屋という風情…、なのに一番安い料理が1000円代の後半なのね!
なのに一杯。
しかも老若男女を問わぬ客層…、恐れ入る。
鉄板前のしかも焼き手の手元がキレイに見える席をもらって、じっと見ていた。
良い肉。
赤身がきれいでしかも脂が程よく乗って、どれもが適度な厚みを持っている。
熟成なんかにたよらぬ肉そのもののうま味を引き出す趣向なんでしょう。
鉄板の上にのせるとチャッチャと焼いていく。
呆気ないほど簡単に。
片面焼いたらひっくり返し、おおいをかけてしばらく蒸したら出来上がり。
あまりにチャッチャカ手際よく、次々焼いては鉄板の上にのせてどうぞ…、というモノだから、ありがたみにかけるように見えてしまうほど。
味は本物、本格的です。
まずやわらかい。
箸でつまむと程よい弾力ではね返す。
口に入れると、綺麗な脂が舌一杯に広がっていく。
そして噛む。
歯から伝わる第一印象は、ムチュンとなめらか。
歯茎にまとわりついてくるような肉感的で、ならばそのままなくなってくかというとそんなにひ弱ではない。
肉の繊維がしぶとくて、何度も噛むことを要求してくる。
堅くて噛み切れぬモノを噛むのではなく、噛めば噛むほどおいしくなって、しかも歯ごたえがたのしくってしょうがない。
だから噛むことをやめられぬ。
これぞ日本の牛の世界に冠たる特徴。
それもそのうち跡形もなくお腹の中に収まって口にはうま味の余韻が残って、次の一口を思わずねだる。
ご飯を間に挟むのが、勿体ないほど肉がおいしく、ただただ肉だけ食べてたくなる。
特にハラミのこの美味しさは、別次元。
西の日本の肉の文化の深くて豊かなコトを実感…、ウットリします。
最初からナイフフォークを一切ださず、すべてをお箸に委ねるというのがとても潔く、合理的で大阪らしい。
けれどご飯はお皿でやってくる。
ご飯じゃなくてライスというコト。
こうしたところは洋食という料理スタイルにこだわりをもつ…、いろんなトコロが東京と違ってそれがたのしく感じる。
日本は広くて多様でステキ…、さてさて、仕事をいたします。
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