せっかくだから富山らしい店に行きましょう…、とたのしくはしご。
富山駅の近くにあって、けれど人も通らぬ路地に面した「初音」というお店。
店の前に発泡スチロールの箱が山積み。それをかき分け小さな引き戸をガラガラ開けると、中はまったくのカオスでござる。
何が入っているのやら…、ビニール袋がぶら下がり、ゆべしをくるんだ白い紙。魚の干物が無数に天井から吊り下げられてる、これは一体何事ぞ!的スゴい空間。
鍋、フライパンが山積みされたカウンターの中でモノに埋もれるように、いらっしゃいませと言うおばぁちゃん。小さく、けれど元気にニッコリ。
お客様はみんなベテラン。人生のベテランであると同時にこの店にもう何十年も通っているんだという人たちで、50を過ぎたボクも若造。弱っちゃう!
おでんをまずはともらうとなんと、とろろ昆布の入った袋を手渡され、お好きなだけといわれる、まさに昆布帝国、富山の流儀。
魚のすり身にごぼうが入ったネットリとした練り物に、出汁の入った芋、うまし。
刺し身を適当に作ってください…、とお願いすればヒラメにカツオに甘エビとあれやこれやがちょっとずつ。
しかも半分ほどが昆布〆という、旨味にまみれる富山飯。
こんなステキなお店もまもなくなくなっちゃうという噂。新幹線がやってくると同時に駅の周辺が開発されて、昭和がスッパリなくなるんだと、なんて哀しい。もったいない。
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富山の魚でビールを飲んで、ホテルに帰る途中で〆を。
黒いの一杯食べてきましょう…、と「大喜」という店。
富山ブラックという富山名物の黒いラーメンの名店で、夜もふけると真っ暗になる駅前通りに面してここだけ、次々、人がやってくる。
ここのラーメンにすっかり中毒のおじさんたちでありましょう…、フラフラ、お店に中に入ってズルズルすすって元気になって、笑顔で帰る姿をみると、地方の料理の底力をしたたか感じる。オモシロイ。
「並みの並み」を選んでたのむ。
大盛りじゃな普通盛り。それが最初の「並み」の意味。もともと濃い味のココのスープをより濃い味でとお願いする人もいるらしく、普通の濃さでというのが2番目の「並み」の意味。
それでも十分真っ黒で、丼の中が見えないほどでタップリ並々に注ぎ込まれたスープがまるで醤油をそのまま注ぎ込んだかごときの濃さにたまげる。
上に置かれた白ネギが色鮮やかなコントラスとにて、ところがそれがスープに浸るとあっという間に醤油色になる。
麺をそこから取り出すとこれまたスープの色に染まって色黒。これが歯ごたえシッカリとした頑丈な麺。
そもそも「ご飯のおかずになるような」ラーメンができないかって試行錯誤で出来た料理がこれなんだという。たしかにこの麺。醤油とスープの味がシッカリ入ってて、ご飯のおかずに十分になる。しかもスープもご飯のおかず。夜というのに、大盛りご飯をたのんで一緒に食べる勇者が後たたず。
油がスープの上に漂い、それが蓋してずっと熱さが持続するのも冬が厳しい富山にあって、愛されつづけた理由の一つでございましょう。
メンマやチャーシューも驚くほどに塩辛く、これを全部食べたら一晩、のどが渇いてしょうがないんだ…、と思いながらも食べちゃった!
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