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2024/11/24 (Sun)
めでたき祝宴、披露宴
結婚披露宴に招かれて、午餐の日。
帝国ホテル。
最近、ホテル以外の、例えばレストランのような会場でする披露宴にお呼ばれすることがかなり多くて、キチッと見事な昔ながらホテル披露宴は久しぶり。
キラキラしてます、テーブルの上。
シルバーだけをみてみても、前菜用にスープ用。
魚に肉と4揃え分のナイフフォークがズラッと並ぶ、まさに正餐。
グラスもシャンパングラスからワイングラスまで全部で5種類。
どれもキッチリ磨きあげられ、白いテーブルクロスの上に小さな星のごとき光を落として輝く。
まずはシャンパン。
スポンと小さく鈍い音と一緒に栓が次々抜かれ、シュワシュワ軽い音をたてつつ注がれていく。
黄金色した液体の中。
細かな泡が、下から上へ螺旋をなして生まれては消え、消えては生まれをくりかえす。
乾杯の音頭とともにグラスを捧げてゆっくり口に運んで含む。
めでたさが口から体にしみこむような、華やかな味、香りに泡。
茹でたロブスターを筒切りにして、メダル状に皿に盛りつけ蒸したアワビとあわせて飾る。
ゼリー状にしたコンソメを味のたよりに、海老のうま味に溺れようという冷たい前菜。
お皿の回りを鱒の卵でキレイに飾って、目にもおいしい一皿目。
飲食店を経営している人の跡取りさんの祝宴。
つまり食に関連するお客様が多くてらっしゃる披露宴にて、厨房の中も力が入っているのでしょうネ。
宴会料理というよりも、レストランの料理的なるデリケートさが光る料理が次々、続く。
温前菜はシーフードスープのパイ包み焼きと、フォアグラというクラシック。
真横からこうして写真をとってあげると、見事なほどにキノコの形のパイ包み。
パイを破るとサフラン混じりの魚の匂いがフワンと上がる。
白身魚に蟹に貝という、うま味、風味がドッシリとした具材をタップリ使ったスープ。
ただ、魚介の旨みはあまりに強烈。
それだけだと雑な風味になっちゃうところを、サフラン風味で雑味をシカッと封じ込めエキゾチックな旨みにさせる。
ムッチリとしたフォアグラをバターでカリッとポワレして、そこに煮詰めたバルサミコ。
フォアグラのこの食感って他に例えるモノのない、不思議な独特。
焦げた表面はプリッとしている。
その歯ごたえを通り抜けると、中はトロンとなめらかで、舌にのせるとそこにしばらく居座ってユックリ、クリーミーになっていく。
そのなめらかが他のどんな肝臓料理にない特徴で、理性が蹂躙される味。
つけあわせ的にヒヨコ豆を硬く煮たのがついていて、そのホツホツがそのネットリを強調させる、よき組み合わせ。
メインが二つ。
まずは魚介の料理に「大正エビのエリザベス女王風」という帝国ホテルの名物料理。
帝国ホテルには世界中の要人、有名人のために作った料理のレシピがたくさん。
ここで生まれた料理が結構あったりします。
大正エビにヒラメを巻いて軽く蒸し、海老のうま味をくわえたソースをオーブンで焼き、それと一緒にいただくというモノ。
こんがり焼けた濃厚ソースのおいしいコトったらありゃしない。
とても良くできたグラタンの、お皿の端っこで煮詰まりながら焦げたところを口に含んで、それと一緒に蟹味噌ひと舐め…、みたいな味わい。
残してしまうのがもったいなくて、パンでスルッとキレイに食べる。
何より感心したのが、どのお皿の上の海老も同じサイズであるところ。
この太りかたで色合いの、車エビばかりをよって100人前ほどの料理に仕立てる。
その入念な贅沢が好き。
甘み控えめのグラニテはさみ、メインの料理は牛のヒレ肉。
和牛のヒレを一本まるごと、表面だけ焼きあとは低温でジックリ中まで火を通す。
中の肉汁がおちつくように、ユックリ休ませそれをストンストンと筒切りにして、網焼きにしてソースをかける…、という手順。
ロースビーフのまったりとした肉の食感。
ステーキの脂が焼けた香ばしさ。
その両方が一度に味わえる古典的なる宴会料理。
一人前ではたのめぬ料理。
みんなで同じ料理を分けて食べるパーティーならではの、こうした料理を味わえるのって得した気持ちにしてくれる。
今日の披露宴は手作り感が満点で、みんなが新郎新婦の幸せのため!の方に向かってばく進していくみたいな感じがとてもいい。
外食企業をいつかはつがなきゃいけない二人。
こうして応援してくれる先輩、仲間がいつかは助けになるんだろうなぁ…、って。
がんばって…、ってそう思う。
ところでさすがに、帝国ホテル!って感心します。
ひとテーブルに一人、熟練した給仕係がはりついてサービスをする。
器はすべてあるべき温度で、すべてのサービスが左手側から供されると言う適切に、いまさらながらウットリとする。
外資系のホテルがこの東京にはたくさんできた。
合理的に考え抜かれた「おもてなしマシン」のような、豪奢だけれど血の通わぬ冷たい高級ホテルが褒めそやされて、情緒的なる日本のホテルが苦労の末に負けていく。
そんな中でも必死にがんばり、昔のままをよそおうステキが帝国ホテルにはまだあるようで、昔ながらの欠点もある。
けれどその欠点まで含めてボクは、日本の高級ホテルらしさを守って欲しいって真摯に思う。
外資のふりした全日空より、たまにへんてこりんなコトをしでかすJALがいまだに嫌いになれぬ理由と多分、おんなじでしょう。
海老の料理とおんなじように、同じサイズの桃を集めてシロップ煮にしたコンポート。
今の季節の桃はゴチソウ。
スプーンですくって味わって、ウェディングケーキのおすそ分けをもらってコーヒー。
フワッと軽く仕上がったスポンジケーキに甘いイチゴの組み合わせ。
ショートケーキは日本の宝。
ゴキゲンもらった、ありがとう。
[0回]
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2010/05/17 (Mon)
東京以外のレストラン
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無題
披露宴、おめでたいですね。ここにコメントするのも変かもしれないけど、おめでとうございます!
料理もみんなきれいでおいしそう。やっぱり料理はアートですね。
チキンさん / 2010/05/17(Mon) /
編集
たのしい時間
> チキンさん
良いお式でした。
料理もさすが…、って感心しましたね。
若い人たちのエネルギーってスゴイって思うと同時に、そのエネルギーにあてられたのでしょうか。
今日はちょっと疲れました(笑)。
サカキシンイチロウさん / 2010/05/17(Mon) /
編集
帝国ホテル~
銀のカトラリーが美しいですね。
今はどうなのかわかりませんが、帝国ホテルでコーヒースプーンをいじっていたら、製造年(購入年?)が刻まれていて、30年も昔のものがピカピカで じーんとしたのを覚えています。
ショートケーキが美味しいって、ステキ。スポンジが美味しくないとだめですよね。日本のケーキのスポンジはほんとにしっとりなめらかで美味しかったなあ・・・となつかしく思い出します。
帝国ホテルというと、私は裏側のほうが馴染みがあるので、どうしても厨房や迷路のように入り組んだ従業員通路を思い出します。
帝国ホテルで働いている、という誇りが 裏舞台を歩き回る人たちの顔にあったなあ・・・と、なつかしいです。
これからも日本を代表するホテルとして、君臨してくれるといいなあと思います・・・。外資に負けないでほしいなー、と。
景気が良くなって、外食産業も盛り返す日が近いといいですね。
ねえねえさん / 2010/05/18(Tue) /
編集
よき伝統でのおもてなし
> ねえねえさん
昨日のカトラリーもかなりの年代物でした。
柄に付いた無数の細かな傷が、がんばってきたんだなぁ…、ってとてもいとおしくなるナイフやフォーク。
古くとも丁寧にメンテナンスしてやればキラキラを失わずにすむ。
いいことだなぁ…、って思いました。
帝国ホテルで働いていることの誇りと幸せ。
まだ失われていない、と昨日、あらためて感じました。
がんばりつづければ、花開く日が必ずやってくる。
信じたいものですね。
サカキシンイチロウさん / 2010/05/18(Tue) /
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