六本木で一日すごして、夜を中華、香妃園にやって来る。
六本木という街で、気軽な中国料理を食べようって思って真っ先に、ピンッとくるのがこのお店。
かつては、六本木通りに面した古びたビルに入ってた。
年中無休。
月曜日から土曜日にかけては明け方までやっていて、昔よく、週末のディスコ帰りに来ていたモノです。
六本木族と呼ばれた種族。
安く、けれども格好良く遊ぶコトに命をかけてた人たちが選んだお店。
かつての場所はビルの建て替えでなくなって10年くらい前でしょうか?
瀬里奈が持ってるビルの2階に移転した。
バブルの頃に作られたゴージャスビルで中に入ると造りもゴージャス。
広い通路を挟んで大きなテーブルが、ポツンポツンと置かれ、黒いスーツを来た従業員が沢山控えて、いらっしゃいませ。
はじめてくるとかなりビックリ。
この場所、この店、この雰囲気で一体、いくら、ふんだくられるのか?って緊張感に襲われる。
メニューを見てもかなり高価な料理が並ぶ。
エビチリ、酢豚、青椒肉絲が全部3000円代だったりして、ドキドキします。
けれどそうした料理をたのんで、食べてる人って少数派。
豪気な会社が経費を使っていいですよ…、って領収書族がたのむくらいかな?…、ほとんどの人は、とある料理を目当てに来ます。
鶏の煮込みそばというここの名物料理のひとつ。
もう何十年も、これをワザワザ食べにくる人をおなじみさんとしてきたお店。
土鍋でグツグツ、やってきます。
鶏からとった白濁スープ。
コラーゲン系というにふさわしい、トロトロとして飲むと口がスベスベしてくる濃厚スープ。
調味料はほぼ塩だけで、鶏のうま味がドッシリ、体に染みこんでくる。
滋養に満ちたオゴチソウ。
麺はムチムチ。
ストレートの断面まん丸の玉子麺。
かなり高温で長時間、煮こんでいっても決して煮崩れたりしない。
ツルツル、スベスベ。
スルンと唇すべるようにして口の中にやってくる。
しかもコラーゲンたっぷりのスープをまとって、そのスベスベに拍車がかかる。
グツグツ大量に鶏を沸かして作るスープで、だから昔は夜中前後が一番おいしく、早い時間にいくとうま味が物足りない。
明け方にいくと味わい濃厚…、徹夜疲れも吹っ飛ぶ味になるんだよ…、ってまことしやかに言われてた。
そんなコトはなかったに違いないけど、そんな風に感じたかったのでありましょう…、今日のこれは濃厚味でお酢を少々、加えて口をサッパリさせる。
それからもう一つ、隠れた名物…、ポークカレーを久々に。
中国料理でカレーライス?
意外に思うけど、中国の人って結構カレーライスを食べるようです。
少なくとも、六本木にはカレーがおいしい中国料理のお店がたくさんあったりもする。
作り方はちょっと独特。
チキンスープで豚肉、あるいは牛肉をまずは煮こんでそこに野菜。
お店によってはじゃがいも、茄子やにんじんとまるで野菜スープのような多彩な野菜を入れ煮込む。
ココはシンプル、玉ねぎだけでそこにラードとカレースパイスをくわえて煮込む。
カレー風味のスープのようにシャバシャバにして、それをご飯にザザッとかける。
トロミはほとんど付いてない。
付いてるお店も、あんかけ風に片栗粉にてトロミをつける。
ちょうど蕎麦屋のカレー丼みたいな風合い。
味も、それにちょっと似てます。
辛味や風味よりもスープのうま味がかなり強調される。
ラードのコクがコッテリとして、しかもそれがご飯をスベスベ包みこむ。
やさしい味わい。
しかもサラサラ、ご飯が喉を駆け下りていく。
お酒を飲んだ〆にこれほどおいしいカレーは他にない。
今日はお酒を飲んでるわけじゃないのだけれど、サラサラお腹にご飯が流れこんできてお腹がぽかっと温かになる。
どうにもココで食べたかった料理をひとつ。
揚げた排骨。
骨の付いたまんまの豚バラに、片栗の衣をつけて揚げて仕上げる中国料理の代表的なる豚肉料理。
ココはかなり大ぶりの、豚バラ肉を使って作る。
最初に味をしっかり入れる。
中国醤油とお酒、それから中華スパイス。
五香粉やら八角、ニンニク、生姜などなど加えて浸け込み肉に下味、しっかりいれる。
浸け込む間に肉がやわらかくなっていくのでしょう。
片栗つけてザクッと揚げると、かなり濃い色に揚がってく。
最後にカレースパイスをふりかけていて、豚独特の臭みを消して食べやすくする。
骨を掴んでプチュっと食べる。
ムッチリとした豚バラ肉が前歯を無チュンと包みこむ。
脂のうま味が口いっぱいに広がります。
肉はクニュンと奥歯で潰れ、驚くほどに骨離れがいい。
揚げ排骨には、衣をサクサク仕上げるタイプと、シットリさせるタイプがあって、それぞれおいしい。
前者は酒のつまみによくて、けれど肉のうま味を存分に味わおうと思ったときにはシットリタイプがおいしく感じる。
ココは後者で、なんだかご飯が食べたくなっちゃう…、カレーのご飯で我慢する。
ちょっとお腹がたりなく感じ、それで炸醤麺をたのんだ。
茹でた玉子麺を水でさらしてギュギュッと〆て、そこに温かい肉味噌かけて和え食べる。
北京界隈の郷土料理。
日本でこれのおいしいモノって、なかなかめぐり合わないのです。
麺のムッチリした食感。
甘くてけれどスッキリとした味噌の風味と脂の香り。
そのバランスのよいモノがなくてコトあるたびに試してみはする。
ココはどうかと今日、はじめての炸醤麺。
太めの細麺。
鶏の煮込みそばに使った麺と同じ麺にて、煮込むとスベスベ、とてもなめらか。
ところがそれを冷たくしめると、ムチムチ感が強調される。
ツヤツヤとした肉味噌を、すくって食べると豚ひき肉がホツホツと。
刻んだしいたけ、それから干したエビがタップリ。
歯ごたえたのしく、魚介系のうま味、風味と肉の味わいが見事に混じる。
味噌も決して甘ったるくなく、うま味存分。
芥子をくわえてビリッとさせて、お酢を少々、くわえると甘みが軽く、おだやかになり後味スッキリ。
これはおいしい…、今まで食べた炸醤麺の中でも最高峰の一つかも。
千切りキュウリがシャリシャリみずみずしさを前歯にくれて、今日一日の〆にズルズル、食べはじめるととまらない。
こうした麺や軽食料理はそのほとんどが1000円、あるいは高くても1000円前半の値段設定…、だからとても賢く満足できるのですね…、香妃園はそんな店。
それにしても六本木…、日曜とは言え三連休の中日の今日がおそろしいほど寂しく、通りを歩いていく人達はほとんど外人。
表通りのビルの路面は、閉店、改装、テナント募集の看板ばかり。
21世紀の東京らしい景色といえば、言えなくもない…、なんだかちょっとなやましい。
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