サカキノホトンブログオステリア・ナカムラにて肉祭りの夜

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オステリア・ナカムラにて肉祭りの夜

そして夜を六本木。今年一年をしめくくるような晩御飯をたのしもうと「オステリア・ナカムラ」に来る。

もう１０年以上のお付き合いでしょうか…、ゴキゲンなご夫妻２人で開業されたころからずっと通ってる。一度移転して、今では若い調理スタッフがくわわって、けれど昔からのほがらかで、親しみやすい店の空気はそのまま変わらず。
カウンターの席に座ると厨房の中が丸見えで、そこで次々作り出される料理がみんなボクのもの…、ってシアワセすぎる妄想をたのしみながら食事ができる。
今日のメニューの説明受けつつ、全部食べたい気持ちを抑え、まずは前菜。

モッツアレラチーズにカラスミまぶし、オリーブオイルをかけまわしルッコラの葉っぱと一緒に味わう一品。
パラパラちらかるカラスミの粉。
ふっくらしてて、口の中でたちまちミルクにもどってくモッツアレラチーズと一緒になって、とろけてスッキリ消えていく。あとに残るのはカラスミの海の旨味と乳の風味。やさしい食感とそれを裏切る力強さに満ちた味わい。ウットリします。
どうしようもなく好きでしょうがない、モツのイタリア風煮込み。
クチャっと潰れてホロホロとろける。内臓らしいクセはそのまま、なのに嫌味のないおいしさにこれまたウットリ。オキニイリ。

最近シェフがハマってしまっているという肉の加工品の盛り合わせ。

パルマの生ハム、鹿のパテ、牛赤肉を熟成させつつ乾燥させたモノに、タンやすじ肉、テイルを煮込んでそのゼラチンで煮固めたモノ。
サラミに、チョリソ、豚肉のパテ、鶏のレバーペーストとそのほとんどが手作りのモノ。それにトリッパと白いんげんをアラビアータ煮込みとふんだん。
それらすべてがそれぞれおいしい。
血のおいしさを味わえるのや、脂の口どけにおどろかされるもの。歯ごたえ、溶け感、香りに風味。食べ比べつつ一口、そしてまた一口と食べ終えるのがお名残惜しく、けれどこれを食べ終えなくては次の料理がやってこない。
なんと切なく、なんとうれしい肉祭り！

それからパスタ…、二品たのんでシェアをする。
イカスミをねりこみ作った自家製パスタ。その断面が正方形の、角張りしかも歯切れのよい麺。ポロネギ、カニのほぐし身を具材に塩で味整えたここのお店が開業当時からずっと提供し続けている。
つまりここのスペシャリテ。
ザクザク歯切れるパスタの食感、そこにシッカリからみつくカニのうま味に舌がたじろぐほどのおいしさ。
それから煮込んだテールと一緒に味わうパッケリ。クニュクニュしたパスタにからむネットリしたテールの繊維やゼラチン質が好対照にてよき相性。

メインを２つ。一つは牛のタリアータ。
赤身の肉をじっくりロースト、それを歯ごたえ感じる程度の厚さに切って、ドレッシング和えのリーフとトマトと一緒に味わう。
イタリア風のステーキとでもいいますか…、その断面のロゼ色がまずつややかで食べるとネットリ、歯茎にからみつく色っぽさ。顎をガツン！と叩くような歯ごたえと、ザクッと歯切れて赤身独特の酸味を帯びたうま味がにじむ。
ひと噛みごとに肉が好きになるステキな料理。
サイドのじゃがいもがホクホク、甘くておいしくて、お腹がほどよく満ちていく。

そしてもひとつ、羊のカツレツ。
羊の肉をバンバン叩いて薄く伸ばして、そこにギッシリパン粉をつける。
細かなパン粉で覆った肉に、沸騰させた油をかけまわしながらこんがり揚げる。揚がったところを引き上げて紙で包んで体重あづけて油を絞る。
ザクザク切って、トマトとルッコラ、チーズ風味のポレンタそえて出来上がり。
このカツレツのおいしいこと。
肉がしまってパン粉と一体感をもち、ザックリ歯切れて口にちらかる。噛まずにいられぬその食感と、噛めば噛むほど羊の香りとうま味が滲んでほとばしりでる。

お腹も満たされけれど別腹がデザートねだる。

まずはババ…、ナポリの古典的なるケーキでブリオッシュ生地をお酒に浸した大人のケーキ。お皿の上に置かれただけで、自分の重みで含んだ酒をにじませていく。口の中が消毒されるようなガツンとくるアルコール分。
それが消えると今度は甘さがやってきて、体がとろけるオゴチソウ。
マロングラッセの風味のジェラート、ホイップクリームとフルーツで飾った冷たいケーキ。アイスクリームのエスプレッソがけと、甘い美味にてお腹に蓋する。
また来年もよろしくお願いいたします…、と、挨拶をしてお店をあとに。また来なくちゃって、ガンバル元気をもらいます。

オステリア・ナカムラ

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