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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
    年齢:
    64
    性別:
    男性
    誕生日:
    1960/01/26
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    青山の折れて曲がったへんてこりんなビル「ao」。
    白人系外国人が集まって週末の夜、大変なことになっているレストランがあるんだよ…、というので見にくる。

    「トゥルームス グリル|バー」っていうお店。

    842c7dc4.jpeg東京+白人系外国人+週末の夜+バー&グリル。
    なんだかバブルの頃の「ニューヨークグリル&バー」を思いだすよなぁ…、って思っていたら、なんとなんと。
    かつてのニューヨークグリルのシェフとサービススタッフが集まって作ったお店。
    なるほど、なるほど。

    モノトーンのインテリア。
    客席のまるで隣にあるような、開放的なオープンキッチン。
    とはいえ決して硬くシャープになりすぎぬよう、プールがあったり空中庭園の緑の塊をしつらえたり…、と空間デザインがすばらしい。
    テラスを挟んでグリルとバーがほどよき距離に向き合っていて、こりゃかっこいい。
    西新宿をはるかに眺める大きく開いた窓の向こうに、パークハイアットホテルのビルが見えるというのも、ちょっとした符号めいてて面白い。

    まずはパン。

    3995ab73.jpeg自家製のフォカッチャブレッドにオリーブオイル。
    飾り気のないシンプルな皿。
    なんだかこれもパークハイットホテルゆずりな感じで、ちょっとなつかしい。
    見た目、硬そうにみえるのだけれどフッカリやさしくやわらかい、空気をたっぷり含んだパン。
    サンフランシスコ名物のサワードーブレッドのような、ほんの少々涼しげな酸味があってオリーブオイルとよくあっていい。

    ランチのセットは前菜とメインの二皿構成。
    メインはパスタ、魚と肉という必要最小限にして十分の、シンプルな品揃えなのがわかり易くていい。
    料理一つ一つの説明が、とても丁寧で情熱的で、食べてほしい…、って気持ちが伝わる。
    キリっと髪を後ろで縛ってクルクルりんと頭の後ろにのっけて束ねたテーブル担当の女性の姿も凛々しい限り。

    肉と魚を選んでシェア。
    最後にコーヒーがつくという。

    さて前菜。

    b9158db0.jpeg魚の前菜は茄子の冷製。
    ドッシリ大きな米茄子を茹でて冷やして、縦に切り目を入れておく。
    そこに茄子のピュレ。
    ババガナッシュって中近東なんかでよく食べられる、茹でた茄子の実とオリーブオイルで作ったモノをたっぷり詰めてヴィネグレットとオリーブオイル。
    ツルンと舌触りすらもなめらかな茹で茄子と、ムッチリとしてクリーミーな茄子のピュレ。
    同じ茄子でも調理法でこれだけ違った、風味に食感。
    その変幻自在に感心しながら、スルンと食べる。
    夏の陽気に火照った体が中からひんやり、癒されるよう。
    そこにたっぷり添えられた、ルッコラの葉が目が覚める程に苦みをもってて、ああ、甘やかされずに育った丈夫な葉っぱなんだなぁ…、って。
    感心しながら、また食べる。
    茄子のピュレの上に散らかるようにあしらわれたトウモロコシのグリルがサクサク、奥歯にとても軽い食感。
    たよりない茄子の食感おぎなって、歯ごたえ楽しい料理にしてる。
    心地よい。

    肉の前にはアスパラガスにローストをしたパン粉をのっけて、オーブンの中でトロンととかしたゴルゴンゾーラをソース代わりに添えた物。
    大人の風味で大人味。
    ハーフカットのイチヂクが、アスパラガスの若い渋みとゴルゴンゾーラの香りをつないで一つにまとめる。
    幸先の良い見事なスタート。

    さて、魚。

    0c6d4829.jpeg甘鯛のグリルのガスパチョソース。
    驚く程にパリパリっと、まるでブリュレを覆うカラメルのようにキレイに焼き上がった皮がすばらしい。
    皮が嫌いなボクがバリバリ。
    人にも譲らず黙々食べる…、それほど見事な焼き上がり。
    そのせっかくのパリパリを台無しにせぬよう、ソースをお皿に敷いてから魚を盛る。
    しかも魚に直接ソースがふれぬよう、ソースの中に大きめに作ったクルトンを置き、それを台にして魚自体を持ち上げる。
    ユックリ、クルトンがソースを吸い込み、真っ赤に染まる。
    そのソース。
    ガスパチョ風味のトマトソースで香り明るい、夏の味。

    魚自体に味がキッチリ乗っかっていて、それだけ食べるとこんがり焼いた魚の香りが鼻から抜ける。
    オリーブオイルだけをつけると、イタリア料理。
    ガスパチョソースにとっぷり浸してパックリやると、なんだかブイヤベースを食べてるみたいなそんな風合い。
    一口ごとに変わる味わいたのしむ料理。
    シンプルなのに、複雑で、食べ手のイマジネーションをためすような味と味の組み合わせ方がとても斬新。
    おもしろい。

    肉はオージービーフをカリッを焼いたもの。

    5d2fedd1.jpegオーガニックの緑の葉っぱ。
    そっと肉にのっけただけで、肉の蒸気を吸い込んでしんなり徐々に、蒸したようになって香りと甘みを強くする。
    お皿の上で徐々に料理が出来上がっていく。
    そんな臨場感がたのしかったりする料理。

    お肉の上にはクルミのソース。
    これが甘くてムッチリしてて、オージービーフにそもそもかけた脂っぽさとコッテリとした旨味を足すのが良い工夫。
    皿一杯に作ったばかりのベーコンビッツをちらしているのも、オージービーフに足りぬ憎らしい脂の香りを補ってやるためなんだろう…、って思ったりする。

    ここのシェフ。
    決してどこにもないような新しい料理を創作しようとは思っていない。
    あくまで作る料理の基本はクラシック。
    しかし素材の持ち味をもっと引き出し、より印象的な料理にするためほんの少しのひねりを加える。
    その塩梅がとても良い。
    ボクが好きな料理のひとつの方向性。

    ちなみにこの店。
    予約をしたときのレセプションの女性の声がとてもほがらか。
    受け応えも的確で、先味おいしい店でした。
    ドレスコードはあるんですか?…、って聞いたら即答。
    毎日、暑ぅございますから、涼しく気軽な装いでお越し下さい…、ってハキっと答える。
    ショートパンツでもいいですか?
    ハイ、どうぞ!って。
    だから今日は、まるでリゾート気分の食事が出来た。
    気取りがなくて、やさしいお店。
    今度は夜に。
    思いっきりのお洒落を味わいにまいりましょうぞ…、また来よう。

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