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2024/11/21 (Thu)
COREDOのランチ
日本橋にてビジネスランチ。
丸の内という街に比べて日本橋という街。
商いの街としてずっと日本橋の方が格上で、にぎわっていた。
江戸時代から続く老舗が今でも軒をならべていはするけれど、今、この瞬間にどちらの街に勢いがあるかといえば、それは疑いもなく丸の内。
モノが船にのって行き交ったかつては橋のある日本橋。
人が電車にのって行き交う今は駅のある丸の内。
人やモノが集まる場所が栄える習いは今も昔も変わっておらず、その方法や手段、目的が変わっていくから街が変わっていくのでしょうネ。
とはいえ日本橋も一生懸命。
今年は新造ビルの開業ラッシュで、人を集める努力を必死にやっている。
中でも
「室町COREDO」
というビル。
日本橋のかつてのにぎわいを代表している三越本館の向かい側にできた複合施設が今は、一番人気。
視察をかねて、やってくる。
カフェ・エメ・ヴィベール
というビストロにきて、ランチとします。
麹町にある星持ちレストランがプロデュースした気軽なフレンチ。
日本橋のメインの通りに面した新築のビル。
1F部分はオフィスビルって感じじゃなくてまるでショッピングモールの入り口みたいな雰囲気。
小売り店やらアンテナショップの入り口が直接、通りに向かって口を開けてるちょっと商店街のような雰囲気もしていてたのしい。
中でも有名かつお節屋さんのショールームから、出汁の香りがしてきてなんだかお腹が空いちゃう。
その一角に入り口がある。
中に入ると鰻の寝床。
それほど広くはない間口の店で、厨房挟んで奥へ奥へと店が続いていくのだけれどそのほとんどが通路のようなスペースにカフェテーブルが置かれてる。
春先なんかには窓を全開してテラスのようになるのでしょうけど、全部窓がしまってしまうとちょっと息が詰まっちゃう。
店の雰囲気はいわゆるビストロ、あるいはブラッセリーという感じ。
落ち着いた色合いの木貼りの壁に、モザイクタイルの床にしっくい壁の天井と、パリな感じで悪くはない。
ランチメニューも、キッシュやサラダや、クロックムッシュ。
今日の魚や肉の料理。
そしてお馴染み、ステックンフリッツが用意されてる。
ココは一つ、やっぱりステーキと、ステックンフリッツをたのんで食べる。
見事に分厚く、しかも大きなリブロース。
ビストロででるステックンフリッツの中ではまずは最高クラス。
サクッと切れる肉質も良し。
脂控え目、赤身がおいしく噛むとジュワッと肉汁が来る。
その肉汁のうま味豊かで、しかも最後に酸味がサクッと残って消える、味わい見事で焼き加減も最高に良い。
見た目、ソースがもっと主張するかと思いきやほんのり塩味を与える程度で肉の風味を邪魔しない。
なかなかレベルが高くて感心。
ただ残念なのが、サイドに添えたフリッツが揚がり具合が浅くって、ヘナッとしていてやわらかいとこ。
厨房の中に突っ返し、二度揚げしてよ…、ってたのみたくなる、我慢する。
セットに付いたスープも旨い。
肉の旨み。
野菜の甘みが溶け込んだ、サラッとキレイに仕上がってるのにとても複雑。
舌の上を転がしながら、いろんな味を味わうたのしみがあるスープ。
ジェノベゼソースで風味づけをして、しかも熱々。
これを持ってきてくれた人が、本当に熱そうな表情をして器を持ってた。
ためしに触ると本当に熱く、なんだかとても申し訳なくなるほどで、下皿つけてあげればいいのに…、って思ったりした。
今日のお肉が豚肉ロースト。
これも表面サクッとやけてて、タマネギ炒めて甘味を出したまるでオニオングラタンスープのような味わいのソースがおいしくいい料理。
調理の腕はかなり高いとお見受けします。
ただどうだろう。
パンがおいしくなかったり、サービススタッフがちょっとボンヤリしているところが勿体ない。
サービス自体も若干荒っぽさを感じてしまう…、まだできたばかりで予想以上の賑わいのためいろんなコトが雑になってしまっているのかもしれません。
厨房の中には魂と熱い情熱があるのだろうけど、それが表に出てこない。
もっと笑顔でにこやかで、お客様にたのしんでもらおうって言うサービス精神が出てきたら多分、いい店になるんだろうに…。
ちょっと残念、今度は夜に来てみよう。
[0回]
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2010/11/15 (Mon)
日記 : ヨーロッパの料理
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Comment(6)
年末間際のクレッソニエール
昼、新宿三丁目にある食堂風のフレンチビストロ。
クレッソニエールでご飯を食べる。
クリスマスの名残りのお腹に気軽なフレンチ…、それでここ。
新宿の街もクリスマスとお正月の狭間に入って、ちょっと静かでさみしくすらある。
あと数日でこの街は、来る新年を準備する人の姿でいっぱいになる。
それまでつかの間、のんびりと。
とは言えこの店。
平日、週末、休日問わず、いつもお昼はすんなりテーブルにありつくコトがむつかしいほどの繁盛店。
今日もかなりの混雑で、今の世の中、はやるお店とそうじゃないお店のギャップがとても激しくなってきてるな…、って再確認。
安い、高いの問題じゃない。
特徴があって、ここに来なくちゃたのしめない。
しかも納得できる価格であるコト。
お客様の目は厳しくそして健全だ…、ってコトかもしれない。
ホッとする。
上等な機内食的ランチがここの売り物。
メインディッシュとスープとサラダ、デザートなどなど。
これから食べるものを全部ずらりと目の前に並べて食べる。
コース料理とは違ったぜいたく。
安心できる。
その安心を贅沢にする仕掛けが日本の漆の塗りのお弁当箱。
西洋式に翻訳すれば銀のトレー、ということになるのでしょうな。
見るだに豪華。
メインディッシュを入れた器もシルバーで、キラキラしてる。
今日の料理は「スズキのピカタ」に「牛のハラミのさいころステーキ」。
パプリカソースにポワブルソース。
どちらも酸味を帯びたキリッとした味わいで、食欲そそる。
料理の下には野菜を細かく刻んで混ぜたピラフを敷いている。
パンもついてはいるのだけれど、日本のおじさんとしてはご飯がこうしてついているのがなんともうれしい。
ポテトのスープもトロントロンで味わい深い。
それにしてもいつも感心するのがココのサラダ。
かたくなにいつもサラダニソワーズ。
茹でたじゃがいも、ゆで卵。
トマトに葉っぱ、それにアンチョビ風味をつけたスキッと酸っぱいドレッシング。
輪切りのオリーブさえあれば素性正しいニース風。
まぁ、ここは略式というコトで。
葉っぱもレタスだけじゃなく、チコリを加えて苦味を足して、食べるとぴりっと眠ったお腹が目を覚ます。
…、みたいな味わい。
フランス料理の付け合わせには、このビリリッていう味わいがありがたい。
重たいソースに負けぬ食欲を作ってくれる食欲増進材的サラダがフランスサラダ。
はやっているからって、シーザーサラダを売ってそれでもうちはフランス料理のお店です…、ってそんなお店はなるべく信用せぬようにしているのです。
らしくないのは、粋じゃない。
食事を終えて、人さし指をそっと立てお店の人に合図をすると、コーヒーフラスコもってコーヒー注いでくれる。
甘いものもずっとかたくな、パンペルデュ。
しっとりとした甘いバニラ味に仕上がったパンのデザート。
素朴で単純。
だけどお腹に蓋をするのに必要十分。
見た目は地味でも実用的な食後のたのしみ。
悪くない、と思います。
テーブルの上に小さなノーティス。
「周りの人がダメと言ったら禁煙です」。
大人同士が互いのことを気配りながらたのしいレストランを作り上げてく。
おいしい時間はそこに関与するすべての人の共同作業で出来上がってく。
背筋を伸ばして店を出る。
[1回]
2009/12/28 (Mon)
日記 : ヨーロッパの料理
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Comment(0)
東京、プティパリ、プティトノー
虎ノ門のビストロ。
プティトノー
にてランチミーティング。
今日のこの会食をどこにしようか…、ってちょっと迷った。
で、天気予報を見たらば今日はよい天気。
ならばとココを選ぶコトにした。
ビルの林の真ん中に、ポツンとここだけ一戸建ての田舎家が建ってるみたいな風情がステキで、折角だったら天気のよい日にやってきたい。
あけはなれた大きな窓から日の光がさんさんとふり注ぎ、気持ちいいことこの上ない。
話しもはずむし、食事も一層おいしく感じる。
なにより、普通にランチで客席が予約できるのがありがたい。
オフィス街のレストランでは、お昼に予約を取りたければコース料理をたのみなさい…、みたいなコトをいう店が結構最近、多くなってる。
そんな面倒なこと言いっこなしよ…、のおおらかなとこがかなり好き。
パスタや今日の料理がそろうランチセットの中にあって、やっぱりボクはここのステックフリッツが好き。
赤身のステーキ。
それにカリッと揚がったフレンチフライがタップリもられた、パリ的カフェの定番料理。
ステーキハウスでステーキたのむと「焼き加減はどうしましょう?」って必ず聞かれる。
けれどカフェやビストロでステックフリッツたのむと必ず何も聞かれず、ガリっと強めに焼き上げられる。
ミディアムウェルってところでしょうか?
中までしっかり。
そもそも牛肉の赤身の部分はよく焼いた方が、旨味が強く感じるように焼き上がる。
ガチっと歯ごたえ逞しい、筋肉質な肉の繊維もおいしくなるし、だからここでも外が焦げるほどキッチリ焼いてもってくる。
肉の脂が沸騰し、タンパク質の焦げた香りと混じりあう。
たいていのステックフリッツははらみで作る。
けれど今日は大きな番手のリブロース。
ナイフをグイっと押し返すよな肉の固さが手に伝わって、思わずよだれをゴクンと飲み込む。
一口分を口に運んで、顎にご褒美くれてやる…、そんなおいしさ。
堪能す。
カリッと揚がったフレンチフライ。
みずみずしくてシャキッと歯触りさわやかなサラダに、バリっとクラスト砕けるパリなバゲット。
前菜代わりにクスクスが付く。
パプリカ、ピーマン、タマネギやコーン。
荒く刻んだ野菜と一緒にサッパリ味のドレッシングで和えたホツホツ。
シットリしてて、しかも口の中でパラパラ、踊るように散らかっていく極小パスタ。
食べればどんどんお腹がすいてくるような、たのしい食感。
手がかかってる訳ではないけど気のきいた味。
実はここのランチにはグラスワインが一杯付く。
昼からワイン…、っていうのがとてもラテン的にていいな、と思う。
ただ今日はちょっと大切な打ち合わせを控えてて、それでリンゴジュースにかえた。
すべてが程よきおいしさで、会話もはずむ。
よきランチ。
食後のコーヒー飲みながら、軽くたのしく打ち合わせ。
フレンチローストの濃いめの味で、砂糖をタップリ入れると酸味、苦みが引き立つブレンド。
デザート代わりにもなるコーヒー…、ありがたいなぁ…、って思ったりする。
それにしてもここのサービス。
にこやかで、キビキビしていてけれど決して流れない。
キチッキチッとメリハリのある作業をしっかりしてくれる、しかも主役はフランス訛りの日本語しゃべるフランス顔のひとたちばかり。
「メルシームッシュ」ってニコって笑ってお店のドアを開けてくれるのが、くすぐったくってちとステキ。
韓国訛りの韓国料理の専門店はかなり普通になってきた。
けれどこうしたフランス訛りのフレンチビストロって何故だか少ない。
地下鉄に乗り、一時間だけパリな気分にひたれるお店…、わるくないなぁ…、って思ったりした。
さて仕事。
[0回]
2009/12/02 (Wed)
日記 : ヨーロッパの料理
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Comment(2)
ピッツァサルバトーレ
西新宿のサルバトーレ。
ひさしぶりにピザ、食べにくる。
実は最近、何度か発作的にピザが食べたい症候群に襲われていた。
けれどそんなときに限って、ボクひとり。
一緒にピザを食べましょうか…、って言ってくれる人もいなくてそれで断念。
我慢していた。
考えてみればピザって食べ物。
一人で食べておいしいとなかなか思えぬ料理の代表。
ピザ一枚で、お腹いっぱいにするのはちょっと切ない。
味も比較的単調で、何種類かのものを誰かと分けてはじめておいしく感じるようにボクは思う。
同じイタリアの炭水化物料理でも、パスタとピザのここがちょっと違うとこ。
そんなとき、好きなピザはピース単位で選んで食べれるピザのバフェはありがたい。
だからココに一人で来てもよかったのだけど、不思議とそれでも誰かと一緒にワイワイしながら食べたくなっちゃう。
だから今日。
ひさしぶりの仲間が集まり、それでこうしてやってきた。
それにしてもここのピザ。
やっぱりおいしい。
カリッと表面香ばしく、耳がフックラ、やさしく膨らむ。
ブツブツ茶色いあばたが生地につき、そこを齧ると炭の香りがフワッとしてくる。
生地の塩味。
オリーブオイルの緑の香りと、熟成された小麦粉の甘い風味がなんともたのしい。
生地の端っこちょっと持ち上げ、それを芯にしてクルクルって丸めて口に運んでやるのがイタリア風。
アメリカのピザは生地が硬くて頑丈で、耳をつまんで持ち上げてもペロンと真ん中部分が垂れ下がってきはしない。
イタリアのピザ。
ソースを含んで真ん中のとこはかなりシットリ、ソフトになる。
だからそのまま持ち上げちゃうと、具材がドロンとお皿に垂れる。
クルクル丸めて、お口にポン。
江戸前寿司を粋につまんでお口に運ぶ…、そんな洒脱とおんなじ食べ方。
おもしろい。
パスタにサラダにグリル、さまざま。
特に今日はチキングリルがとてもおいしくて、何度かお替わり。
炭水化物ばかりを食べてると、野菜やタンパク質モノがとてもおいしくしてまう。
他のお客様を見ていても、肉系グリルがでてくると一斉にそれに手を伸ばしみるみるうちに無くなっていく。
どんなに旨くてもピザはピザ。
せっかく外食するんだったらもっと贅沢気分にひたれるものを…、ってことなんでしょう。
お腹を満たしてサルバトーレの隣のお店、ポールバセットで仕上げのコーヒー。
マッキャートをタブルで楽しむ。
トロトロンとしたなめらかで、ビターな旨味に口を満たしてウットリとする。
そういえば、このお店。
いつも感心するほど混んでる。
オフィスビルしかないこのエリア。
実は昔、恵比寿ガーデンプレイスを作る前のマーケティングで、東京にある再開発地域のベンチマークを徹底的にした。
そのとき、ここ西新宿は未来永劫、休日の昼に人を呼び込むことはできない、つまり商業地区としての魅力の無い街…、って判断をした。
それからすでに20年。
時は変わって、街、変わる。
さて、ピザつながりで、こんな画像。
上海のピザハットが使ってる、「Hate Late?」ってデリバリーバイク。
荷台の後ろに電光掲示板を貼り、そこに宅配残り時間を表示する。
交通渋滞の中、ああ、あの人、あと3分しか残ってないんだ、道譲りましょう…、ってそんな効果を期待して?
だったら救急車みたいに、前の車のバックミラーに映り込むようバイクの前に逆向きに電光掲示を作った方がよかったんじゃないかしら。
むしろ宣伝効果を狙ったことなんでしょう。
今の中国で「時間を守るサービス」なんてかなりの用意周到でないと実現できないコトでしょうから。
お客様との約束を守ってやる…、って企業ぐるみの決心が伝わることが大切なコト。
…、なんでしょうね、おもしろい。
そう言えば、日本にドミノピザが進出したときも、30分のデリバリー時間を1分でも遅れたら全額返金キャンペーンをやっていた。
商圏調査をしっかりして、どんなことがあっても確実に30分以内で届けられる範囲からしか注文とらぬ…、って姿勢をずっと貫いていた。
ところが世田谷区の小田急線沿線で努力もあえなく頓挫した。
理由は踏切。
若い人たちが多く住む、宅配ピザにとっては喉から手が出る下北沢や経堂界隈。
そこに限って一度踏み切りに引っかかったら、平気で5分は留め置かれたりすることが続出で、それでシステム再考!ってコトにあいなる。
電車が高架を走る京王線の沿線では問題にならぬ問題。
アメリカ的なるマーケティングが、日本の交通事情に負けた日。
そんなコトを思い出す。
[0回]
2009/11/21 (Sat)
日記 : ヨーロッパの料理
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送別会
雨の一日。
しかも普通の雨でなく、台風の気配を抱いたかなり男性的な雨。
お昼に遠出をしたくなくって、それで近所のお店でランチ。
夜は気軽な鉄板焼きのお店になる、でも昼はいろんな定食がそろうお店で「鮭のはらす」を焼いてもらう。
長方形のお皿からはみ出さんがばかりの切り身。
皮目はカリカリ、お腹の内側はこんがりと。
脂でツヤツヤ、きれいに光る見事なはらす。
一口分を箸でつまんで舌にのせるとひやっと脂を涼しく感じる。
鮭独特の香りと、旨味。
それに脂の甘味がジュワッと舌の上に流れ出して来て、口が自然とご飯をねだる。
ご飯を食べるとたちまちそれが鮭の風味でつつまれて、「ボク、鮭チャーハンを食べている?」って思ってしまうほどのご馳走。
鮭に限らず動物の、お腹の周りの脂ののったこうした部分。
それを捕獲した動物が一番最初に食べるとこ。
理由がわかるような気がする。
昼ご飯。
そして夜。
送別会の会食を持つ。
会社が厳しい状況に陥って、その一番辛いときを一緒に頑張ってくれた仲間の一部とお別れ。
会社を新たな事業内容にあわせて最適な規模と形にしていくために。
本当ならばみんなと一緒にこれからも、ずっと頑張りたくはあったけど力足らずでかなり悔しい結果となった。
ごめんなさい。
ただそれぞれの未来のために、場所は変われど一生懸命がんばりましょう…、と小さな祝宴。
なるべく華やかでたのしい時間をと、丸の内のビルの地下にある
「ローストチキンハウス」
という店を場所に選んだ。
男性スタッフは中国料理みたいな気軽な料理がいいって言った。
けれど女性スタッフは、せっかくならばお洒落でたのしいレストランでたのしみたい、と。
紹興酒では祝う気持ちになりませぬ…、ということなのでありましょう。
それでこの店。
流行のピンチョス、それにローストチキンがメインのピカピカの店。
レストラン選びでは「長いものに巻かれろ」じゃなく「女性に巻かれろ」。
鉄則ですな…、まもります。
カルパッチョやらパテやカポナータをパンにのっけたオープンサンド。
いわゆる前菜的なる料理がいくつか出、お酒をどうぞという趣向。
ただどれもが出来合いっぽさプンプンで、ちょっとつまんないねぇ…、って言っていたらばフライドポテトとチョリソのグリルがやってきた。
こりゃ旨い。
特にカリッと上がった芋にガーリックソルトとローズマリーパウダーをタップリまぶして、フライパンで軽く煽ったものがとってもおいしくて、お酒が進む。
会話も進む。
変わった料理より、こうした普通の料理をちょっと一ひねりしたのが一番おいしい。
ロメインレタスのシーザーサラダ。
このサラダがボクたちの前にやってくるまで、まさかサラダで酒が飲める日がこようとは思わなかった。
サラダといえば水っぽいモノ。
そんなものが、酒のつまみになりはしないのが常識で、けれどシーザーサラダというこれ。
クリーミーなソースの上に、チーズがタップリからまっていてみずみずしいけど水っぽくはない。
ロメインレタスも普通のレタスと違ってザクザク、歯に頑丈で逞しい。
ベーコンビッツやクルトンなどなど、食感多彩で男性的で、赤のワインにピッタリきたりする不思議。
コースの中で前菜にさえなるサラダ。
今日のサラダもまたネットリと、野菜の料理というよりも「チーズの料理」のようでたのしい。
味わい深くておもしろい。
で、メイン。
最近ずっと、焼鳥のようじゃない焼いた鶏。
ずっと食べたいなぁ…、と思ってた。
肉というモノ。
その持ち味を一番素直に味わおう…、とそう思ったらなるべく大きな塊のまま焼いて食べるという方法にたどり着く。
チキンも出来れば一羽丸ごと熱を加えて、旨味を外に逃がさぬようにして食べたい。
ココット型の器に丸ごと鶏を一羽いれオーブンの中でじんわり蒸し焼き。
最後に熱々の油をジャジャッとかけまわし、食べ易いようにぶった切って器に戻す…、というこの料理。
絶品でした…、もう旨いったらありゃしない。
鶏の胸肉。
指でつまむと、裂けるように縦に繊維が割れていく。
口に放り込み噛むとピトっと貼り付き、舌の水分、奪ってくようなちょっと乾いた肉の食感。
それに比べて腿の部分のシットリしてて、脂タップリ、なめらかなこと。
舌や歯に貼り付く暇もなく、スルンと喉に入ろうとする。
それを捕まえ噛むとクチャっと、脂と旨味とジュースを吐き出す。
部位異なると、味、食感がこれほど劇的に変わる肉って珍しい。
それらを結果、食べ比べする「一羽丸ごと」のたのしさに、自ら解体する征服感がくわわってやっぱり鶏は一羽に限る。
そんなふうに思ったりする。
〆にペンネ。
しかもソースはアラビアータ。
このお料理にボクが初めて出会ったのはボクが20代の半ばのことで、それまでパスタと言えばスパゲッティのように長いものが当たり前。
短い癖してマカロニじゃなく、斜めに切られて溝がサイドにギザギザついたへんてこりんな形状の物があるなんて知りもせず。
けれど食べると、そのクニュクニュと口の中で暴れるようなたのしい食感にビックリしました。
おどろいた。
長いパスタに比べて分厚く、噛みしめたときの情報量がすんごく多い。
舌を転がる。
口、撫でる。
奥歯をしたたか持ち上げるでんぷん質の逞しさ。
壊れまいと抵抗をする力強さに、太い空洞から吐き出されてくるソースの味わい。
これまた不思議と、〆の一品というよりもこれでワインが飲める一品。
パスタなのにネ。
まるでメインディッシュのようで、その存在感がおもしろかった。
赤唐辛子の辛味とコンガリ炒めたニンニクの風味に旨味がエキゾチックで、なるほどこれが「アラビア風か?」って思ったりもした。
なつかしい。
みんなでたのしく食事をし、お酒を飲んで、去りがたき夜。
それぞれがそれぞれの道を選ばなくっちゃいけないときが、どんな組織にもやってくる。
とはいえずっと、出来れば一緒にいたかったよね…、と。
そういいながら、飲むお酒。
それもまたよし。
たのしい時間。
気持ちよく飲んで食べ、笑って話して表にでれば、外は雨。
しかも強い、台風的なる風、吹きすさぶ。
さてさて早く、家に向かって帰りましょうと、足早にゆく。
そんな夜。
明日は天気になりますように。
あたたかにしておやすみなさい、また明日。
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2009/10/26 (Mon)
日記 : ヨーロッパの料理
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