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2024/11/23 (Sat)
夜の、の夜七
夜、大学時代の友人とうまいものでも食べようと、それで近所の「の弥七」に。
夜はおまかせコースだけ。
あれこれ料理を選ぶたのしさはないけれど、たのしい会話に花を咲かせるためには何を食べるか迷うことなく、お店の人にまかせきる。
うれしいコトです…、ありがたい。
6時過ぎという早めの時間で、ボクらはめでたくファーストゲスト。この後、続々お客様が来て、あっという間に満員御礼。人気のお店。
まずは前菜がわりにと、カラスミが来る。
自家製。しかも中国料理のお店らしく「パイチュー」使って洗って仕上げる。
ヒヤッとアルコールが揮発して、お酒の香りと一緒に魚卵の深い香りが鼻から抜ける。
軽い渋味とネットリとした食感、旨み。一枚そのまま。もう一枚は炭で炙って食べると塩がキリッと立ち上がり、魚卵の粒が口に転がる。
紹興酒をボトルでもらってロックにし、本格的な晩餐スタート。
円形の三段重がやってくる。
一番下の一段が盛りだくさんで、上のお重が持ち上がるほど。このしつらえはまるで和食で、一段、そしてまた一段と中を覗くと見目麗しき料理の数々。
一の重には菜の花、そしてホタルイカ。酢味噌で味わうヌタ風で日本の春の味がしてくる。
二段目にはヨダレ鶏。地鶏のガチッとたくましい鶏の食感、味わいがビリッと山椒の痺れソースに負けぬおいしさ。丸ごとピーナツがゴロゴロ入って、それを齧ると山椒の痺れや辛さがやわらぎ、舌がリセットしてくるたのしさ。
一番下のお重には、料理あれこれ。つぶ貝の醤油煮込みに自家製腸詰め、それからチャーシュー。揚げたピータン、鶏がらスープで作った出汁巻き玉子焼き。芋の飴煮とどれもがお酒をねだるゴチソウ。会話も進む。
それからもずくのスープが届く。
和食で言えば、これが椀物。ココに至るまでの料理は先付け…、つまり前菜。
上等なスープの中にタップリもずく。トロンとなめらか。しかも磯の香りと一緒にザクッと歯切れる小気味よさ。
刻んだ生姜をたっぷり乗せて、お腹がポカッとあったまる。
会席料理の流儀に従えば、お椀の次は刺身だなぁ…、と思っていたら、この料理。
鯛の黄身醤油和えという見事なひと品。
ポッテリとした深椀に、鯛の刺身に黄身醤油。フワッと細く切った焼き海苔あしらって、風味と彩り、ととのえる。
一口大のぶつ切りにして鯛のゴリゴリした食感に、噛み締め味わうたのしみ演出。
いわゆる刺身と違った食感、そして味わい。オモシロイ。
そして吹き寄せ。季節の料理があれやこれとお皿にギッシリ、盛りつけられる。
サバの酢締めは軽く燻製されていて、脂の旨みと煙の香りが口に広がる。
揚げた豚の角煮には芥子を乗せて、脂の旨みを引き立てる。
若竹の穂先だけを煮たモノや、丹波の黒豆を煮込んで衣をつけたかき揚げ。どちらも春の香りがおいしく、特に黒豆はニッキの香りで榮太樓飴を食べてるみたいななつかしさ。
お餅の中にはカラスミ埋めて、口直しにとざくろがパラリ。
焼き物代わりになるのでしょうか…、鶏の煮込みがやってくる。
こってりとした濃厚味。オイスターソースに軽い痺れと辛味と足して、トロンと鶏にからみつく。
鶏の皮目はパリッと揚がったように仕上がり、そのパリパリに肉のムッチリ。噛むと中から肉汁がジュワッと滲んで味わい深い。
お口直しにとミントティー。
甘くて舌が休まって、ミントの香りで首から上がリセットされる。アリガタイ。
そして今日のメインのメイン。鯛の蒸し物。
鯛の中骨をキレイに抜いて、お腹の部分に豆腐と鯛のアラ身を詰めて蒸す。
蒸しあがったところに中国醤油をベースにしたタレ。ネギとツァンサイをタップリのせて、上から熱した油を注いで香りと旨みを整える。
スプーンでザクッとほぐして食べる。
ムッチリとした鯛の肉。キチキチ、奥歯がきしむようなたくましい味。それに豆腐のシットリとした食感まざって、なんともなめらか。ネギのハーブの香りが移った油の香りもおいしくて、味わいはなやか。
ここまで来ると、これは中国料理なんだろうか、日本料理なんだろうかと頭の中がたのしく混乱。けれど別においしく楽しきゃどうでもいいじゃん。
これは「の弥七料理」なんだから…、って。
〆に麻婆豆腐に土鍋ご飯。つやつや炊けたご飯に、ココ独特の赤こんにゃくと牛すじ肉の入った麻婆豆腐が互いに引き立ておいしくて、お腹よろこぶ。
あまおう、甘い晩白柚。杏仁豆腐でお腹に蓋する。
ココを選んでよかったなぁ…、としんみり思う。オキニイリ。
の弥七
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2015/03/17 (Tue)
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