お出かけ前に家の近所で食事をしましょうと、それで四ツ谷荒木町。
四谷三丁目を最寄り駅にする粋な街。
昔は夜。
小さいけれど個性的なおいしい料理とたのしい酒を気軽に味わうコトができるお店が集まるので有名な街。
今でもそうした夜にたのしい店はある。
けれど昼間も結構、にぎわう。
夜の飲食店はどうしてもコストがかさむ。
だから昼に手軽な贅沢をたのしみましょうというコトなんでしょう、かつては夜の街だったココも昼間にかなりの人が集まる。
売り切れじまいでここ数回、ふられてしまった「キッチンたか」でオムライスでも食べようかと行ってみたらば、今日は満席。
しかもお店の外に待ちの行列。
老舗が並ぶこの界隈にしては新参者のこの店が、こうして人気がでてること。
ウレシイなぁ…、と思いながらも、さて、どうしよう?
通りをテクリと奥まで歩いて「とんかつ鈴新」にやってくる。
この街を代表する名物店の一つでときおり、お店の中に寄席を仕立てて落語イベントなんかをしている街に溶け込むたのしいお店。
どうだろう…、と扉をあけるとまだ空席がいくかあった。
カウンターだけの小さなお店でコの字型にできたカウンターで中にキッチン。
ご主人、奥さん二人で切り盛り。
カウンターも厨房もキレイに磨き上げられていて、カウンターの白木を触ると手に貼り付くようになめらかなのにウットリします。
ここの名物…、かつ丼たのんで厨房の中の作業をみながら待ちます。
豚肉の塊を取り出し切り分けて、パン粉をつけて油に落とす。
カラコロ、肉が水気を吐き出し揚がっていく音。
それにあわせて玉ねぎを切り、小鍋に出汁をはり煮込んでく。
カツが揚がっていくのにあわせて、女将さんが丼にご飯をよそおい蓋をする。
丼の中でご飯を蒸らして、丼自体もあたためる。
カツが揚がって、ザクザク切る音。
そしてそれをご飯にのせて、玉子で閉じた出汁を上にザザッとかけて一旦蓋して出来上がり…、カウンターごしにすぐに手渡す商品だから、蓋することはないのだけれど、丼は一旦蓋して蒸らしたモノを再び蓋取るたのしみを…、ということなのでありましょう。
そしてたのんだこの料理…、ここの名物「かけかつ丼」。
ここには3種類のカツ丼がある。
そもそもとんかつの専門店でかつ丼を置きたがらないお店が多く、にもかかわらずココでは3つのカツ丼があるというコト自体がかなりの驚き。
普通にかつを玉子と出汁で煮込んだ「煮カツ丼」、カツをソースにくぐらせて大根おろしと胡麻をふりかけ食べるソースカツ丼。
それから揚げたてのカツに別に煮立てた出汁の卵とじをかけて味わうかけかつ丼。
どれもが魅力的にして、けれどやっぱりココにくるとたのんでしまうかつ丼が、この「かけかつ丼」…、今日もそれ。
揚げたてのサクサクとしたパン粉の食感をそこなわず、かつ丼の玉子と出汁の風味を一緒に味わえる。
食べてるうちに徐々に衣がシットリしてきて最後の方は煮カツ丼のようになる。
だから一度に二種類のかつ丼たべてるような気になる。
なによりご飯に染み込んだ、出汁がおいしく揚げた油の香りが移ったご飯が旨い。
一緒にヒレカツの盛り合わせ。
ヒレカツに合わせるモノが、アジのフライかコロッケ、あるいはメンチ、イカフライからひとつ選べる。
いつもはアジのフライをたのむ。
けれどなんだか今日はイカのフライを食べて見たくって、たのんでみたらこれが正解。
プリプリとしたイカの食感と、細かなパン粉の相性が良い。
醤油をかけてサクリと味わう。
かつ丼にされたロースのカツとちがって、脂をあまりもたぬヒレ。
ラードを加えたココの揚げ油であげるとそれが甘くて、しかもムッチリ仕上がる。
炊きたてご飯と甘めの味噌の豚汁と、自家製ぬか漬け。
フキをたいた小鉢までもがついてゴキゲン、お腹がたのしく一杯になる。
切ったばかりの千切りキャベツがみずみずしくて、甘くてしかも緑の香りがフワンと鼻から抜けていく…、気持ちも明るく、また来よう!
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