サカキノホトンブログ甘酒氷と南昌の夜

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甘酒氷と南昌の夜

夏のおやつにかき氷。

御茶ノ水で用事があって、それでテクリと神田明神下まで歩く。
神田明神さんの鳥居のふもと。
甘酒茶屋「天野屋」なる茶店があって、そこの喫茶部。

昔ながらの茶屋であります。
日本の民家。
木のしっとりした色と風合い。
大きな窓に、長く突き出す軒の影。
外はギラギラするほど明るく、なのに店に入ると影が心地良く、目が落ち着いてホッとする。

ひんやりしてます。
冷房はない。
けれど涼しく、さっと自然に汗がひく。
窓の向こうには坪庭があり、大きな石の手水にずっと水がチョロチョロ流れてる。
その音。
それから風鈴の音。
風が吹くたび、チリチリなって涼しさ以上の涼しさを生む。
日本の人が昔から、ずっと守ってきた伝統。
蒸し暑い夏を涼しくすごすこうした知恵が今の日本には必要なのに違いない…、ってそんなコトを思ったりした。
ウチワをもらってパタパタしながら、さて目的の甘酒氷。

ここはもともと甘酒が名物の店。
神田明神さんにお参りしたあと、コクリと熱い甘酒を飲む。
ずっと昔からの風流だったに違いない、その甘酒で、かき氷を作ってどうぞ召し上がれ。
なんとも粋な、夏のゴホウビ。

ギヤマン風の小さなガラスのグラスにたっぷり、甘酒注ぐ。
そこにシャリシャリ、かいた氷をたっぷり乗せる。
うず高くして、スプーンですくってまずは一口。
山のてっぺんあたりを食べると、ほぼ純粋に氷の味がやってくる。
冷たく、舌にピトッと貼りつくかいた氷にヒヤッとし、それからスプーンをザクッと奥まで突っ込んで、底に沈んだ甘酒と一緒に氷をかきあげる。
口に入れると、ササッと溶けます。
冷たく冷やした甘酒の、自然な甘さと麹の香り。
ときおりお米の粒がペタッと舌に残って、あぁ、甘酒を食べてるんだ…、と。
ウットリしながら味わっていく。

たちまち溶けます。
ここの氷は溶けやすい。
冷房をせぬ店がそもそもあったかく溶けやすい上、底に大量の甘酒がある。
それが氷を飲み込んでみるみるうちに、トロトロとろけて、シャリシャリとした冷やし甘酒になっていく。
かいた氷がまだあるうちはスプーンですくって味わって、最後はグラスを持ち上げそのままゴクリと飲み込む。
口にひんやり甘酒のやさしい甘みと香りがひろがり、体がシャンとひえてくる。
普通、溶けるのが勿体ないと思ってしまうかき氷。
ここのは真逆で、溶けてくことをたのしむ不思議なかき氷。
冷たいおやつ…、ではないですネ。
涼しいおやつ。
気持ちと体をシャリンとさせる涼しいおやつで、生き返る。

天野屋

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夜は近所で中国料理…、南昌飯店にやってくる。
かなりひさしぶりのコトでして、中国系のお店のママに「元気だった？」って抱きつかれちゃう…、料理をあれこれたのみます。

ジャガイモを千切りにしてエビと一緒に塩でシャシャっと炒めたもの。
最初はシャキシャキ、噛んでるうちに澱粉質がトロリトロリとしてくる前菜。
味付けをした豚肉を、カリッと揚げる。
そこに唐辛子とニンニクをカリカリに揚げてチップのようにしたものを、パパっとかけてそれを一緒に噛むとジュワッと肉汁でてくる豚肉料理。
どちらもビールにピッタリの小さな皿でやってくる今日のオススメ。
ポッテリとした餃子と炒めたビーフンと、五目あんかけご飯でお腹をたのしく満たす。

それにしても炒めビーフン…、なぜだかオキニナリにてオキニイリ。
シャキシャキとした野菜がたっぷり味わえて、その食感をクニュンとやさしいビーフンが整え引き立ておいしくさせる。
スープのうま味と油の風味をビーフンが全部吸い込み引き受け、その味わいで野菜自体がその持ち味を失わずにすむ野菜のためにある料理。
野菜でお腹を満たした感じに、ニッコリしました、また明日。

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