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2024/12/04 (Wed)
ホルモン横丁、ハラミ屋ブラーリ
新宿3丁目を明るく人の集まる街にしたキッカケの店。
「日本再生酒場」を経営している会社が今日、開店させた新しい店。
新宿三丁目ホルモン横丁…、っていう店。
チンドン屋さんが景気づけする店先、にぎやか。
自然と中に吸い込まれるように入っていっちゃう。
全部で4つの立ち飲み酒場が集まっている。
もつやきの店。
この店が出来た場所の向かい側にある「もつやき処日本再生酒場」の支店で「弐」という名前。
豚ホルモンの専門店に、海鮮ホルモンっていう新業態。
それにハラミ専門店という、なかなかに個性的な店ぞろい。
それらのお店が通路一本でつながって、自由に行き来ができるようになっているのが新しい。
どこもさすがに一杯で、ちょうど二人分の立ちスペースが残ってたハラミのお店に呼びよせられた。
「ハラミ専門店、ハラミ屋Burrari」ってお店。
もつ焼きの店ははっぴ姿の調理人。
海鮮の店は祭り装束と、お店、お店で厨房の中の人のユニフォームが違ってて、ここはイタリア料理のシェフのような姿でズラリ。
お皿の上には、後ろ足でつま先立った豚のロゴが描かれている。
フェラーリのつま先立つ馬を豚に変えた、それでブラーリ。
遊び心がなかなかたのしい。
お通し替わりの千切りキャベツのコールスロー。
乾燥バジルの葉っぱが隠し味になっていて、これまたたのしいイタリアっぽさ。
鉤の手型に出来たカウンター。
中に炭が真っ赤におきた、焼き場とオーブン。
焼き鳥屋さんとレストランとが一体化した…、ようなキッチン。
今日のお薦めという「究極ハラミ」の串焼き、ためす。
脂ののった見事なハラミ。
ほどよき厚さに切ったのを、炭にてカリッを表面を焼く。
ツヤツヤ、テカテカ。
肉から滲んだ脂に煙が混じってコンガリ、食べる前からもうおいしい。
串をつまんでカプっと齧る。
旨い。
脂とほとばしりでる肉汁がジュワッと滲んで、前歯と唇がひんやりとする。
ムッチリとした肉がスベっと歯茎を撫でる。
舌にまとわりついてくる、肉の旨味と脂の風味。
たしかにハラミ。
一番おいしい調理法は、炭でガリっと表面を焼くって方法。
パリのどんなカフェでも当たり外れがなくおいしいのが、ハラミのステーキのフレンチフライ添え。
日本の定食屋さんの焼き鯖定食とおんなじくらいのド定番。
それにしてもこのハラミ。
脂がのってて熟成キチンと行き届いてて、特においしい。
なかなかのもの。
他にもハラミの料理がふんだん。
カルパッチョだったり刺身だったり、特に鮮度に対して自信があればこその料理が充実。
例えばハラミのたたき風。
直方体に切り出したハラミの塊。
それを炭に転がすように表面を焼きかため、旨味が外に出ぬようにシャキッと氷で冷やしてしめる。
肉を焼いたらすぐに切らない。
熱が通って湧き上がって暴れたジュースや肉の脂が、細胞の中にもどって安定するまで休ませる。
ステーキでもそう。
ローストビーフでも同じコトで、そのやり方をここでもしっかり守ってる。
薄くそぎ切り、岩塩タップリ。
でも味付けはそれだけで、なのにそれで十分おいしい。
炭焼きよりも肉そのものの風味がしてくる。
生でも十分食べられる新鮮な肉に火をくわえ、シッカリとした歯ごたえにして噛むたのしさを教えてくれる。
肉の性格を熟知した人ならではの、見事な手際…、いい感じ。
料理は全部で40種類ほど。
ハラミだけでこれだけいろんなレシピを作ることができるんだなぁ…、ってかなり感心。
中でもこりゃスゴいかも…、って思った料理がこのキッシュ。
パイ生地にギッシリ、ハラミ。
かろうじて肉の食感が残る程度にひき肉にした、ハラミに胡椒。
ハーブの香りで臭みを消してフィリングにして、オーブンで焼き冷やし固めたもの。
キッシュというより、パイで包んだパテのような歯ごたえガッシリした一品。
噛むとホロっと、細かな肉の破片が散らかる。
一瞬にして脂が溶けて、舌にササっと流れ出し、香りが鼻から抜けてゆく。
なんでこんなにたのしくそしておもしろい、レシピを考えることができるの?…、うらやましくさえ思ったりする。
そのうち、どのお店でも他のお店の料理をたのんで楽しむコトができるようになる。
そんなコトも言っていた。
ちょっとたのしみ。
時間をかけずにササっとおいしいモノ食べて、ほろ酔い気分で幸せになる。
財布にさえもやさしいこうした食べ方の、お店がもっと増えればいいのに…、ってそんなことを思ったりした、また来ましょう。
[0回]
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2009/10/10 (Sat)
日記 : バー・居酒屋
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Comment(0)
西尾さん
西尾さん。
新宿の町外れ。
伊勢丹の前の新宿通りをテクテク歩いて、街が途切れたところに御苑。
その入り口の近くにあるほんとうに小さな雑居ビルの地下にポツンと。
多分、西尾さんがお店をここで始めるまでは、スナックだったんじゃないかしら…。
8人座ればいっぱいになるカウンターと、テーブル2つ。
冷房がうまくきかない古い建物のしかも地下。
だからの気温が上がるとお店の中より外の方が涼しかったりする状態で、「夏のご来店はお勧めしません」って、貼り紙だしていたりする。
そんな謙虚が好きな店。
東京でも有数のコストパフォーマンスの高い居酒屋だ…、って思います。
まず酒が安い。
瓶を抜いてグラスに注いでそれでお金を頂戴できるの?って、そう思ったらお酒は安いが当たり前。
ソフトドリンクに至っては一階にある自動販売機で買ってきていただいてもオッケーです!って、潔いほど。
料理も旨くて安い。
しかもお店のご主人を独り占めできるほどのミッチリとしたたのしい空間。
調理人を独り占めしている…、ってその実感が外食における最高の贅沢のひとつであって、例えば寿司屋でこんなわがままいったらそれこそ、一人数万円じゃすまなくなっちゃう。
それを気軽に。
この店、ほんとに贅沢な店。
お通しにサラダ。
お店の片隅に置かれた冷蔵ショーケースの中に用意されてるサラダ野菜を自分で勝手にとるシステム。
ドレッシングに永谷園のお茶漬け海苔を好みでかけてパリパリ食べる。
そういえば昔、若い学生然とした男の子たちがお茶漬け海苔をつまみに焼酎をチビリチビリと飲んでいた。
普通の店なら貧乏臭い迷惑者に見えちゃう彼らが粋でかわいく見える不思議な雰囲気が、ここにはあってそれが好き。
焼酎のお湯割りや水割りをたのんで中身をお代わりすると、それも自分でよければやって…、ってセルフサービスになっちゃったりする。
売り物の静岡おでんもセルフサービス。
最後に食べた個数をおでん串の数を数えて自己申請。
たのしい食事は助け合い。
大根、鶏皮、野菜で作ったさつま揚げに、玉子に静岡名物の黒はんぺん。
濃いめの出汁でジックリ煮込んで、それに芥子や鰹節のふりかけをかけまずは食べつつ料理を待ちます。
今の季節限定のコレ。
生のしらす。
ボクはずっとココに通い続けてほぼ2年目にしてやっとこれにありついた。
運の悪い人は何年通ってもまだお目もじできぬっておっしゃる人もいるんですよ…、って。
なんだか今日はかなりうれしい。
トロトロの魚の塊。
透き通っていて、骨や中の器官が丸見え。
考えてみればグロテスクなことこの上ないのに、見ると口がよだれを流して口に放り込む準備を始める。
生姜に醤油。
チョピっとつけてスルンと食べると、ああ、旨い。
磯の風味とほんのり漂う渋みと香り。
お酒が進む、夏の終わりの夜のコト。
揚げじゃがバターの塩辛添え。
ここで一番好きな料理のひとつがコレで、とてもシンプル。
男爵芋を月切りにしてサクっと揚げる。
塩をふり、バターをタップリ。
これだけならばどこにでもある揚げじゃがバター。
そこに塩辛ドサっとのっけて、胡麻で風味を添えていただく。
ジャガイモの甘みと揚がった油の香り。
そこにバターの風味とツヤと、イカ塩辛の旨味とシコっとハリのある噛み応え。
ジャガイモ・油・バター・塩辛。
どれをどのように組み合わせて、旨くなるに違いないそのそれぞれを一気に一緒にパクッと食べる。
旨くないはずがない料理。
それからアジのフライをもらう。
ほどよきサイズの生きた小アジの骨を抜き、二枚に開いて塩を打つ。
細かなパン粉をギッシリビッチリ。
油でサクっとなるまであげて、その熱々に醤油をかける。
不思議なモノでほとんどソースで味わうフライという料理にあり、アジのフライにはソースよりも醤油が合う…、ってそう思う。
魚の風味。
そして味わい。
それがソースのときよりずっと引き立ち、強調される。
カリカリ、フワッと齧って味わう。
西尾さんが京都までワザワザいって仕入れてくる昆布であったり、山芋とつみれでつくる魚爆弾のようなさつま揚げであったりと、あれこれたのんでむしゃむしゃ食べて、はい、お勘定。
手書きの伝票。
しかも人数分で割った割り勘金額までが書かれた、丁寧にして親切なこれ。
ありがたい。
〆に味噌汁。
フウフウしないと味わえないほど熱々の、中には岩のり。
カニのほぐし身が味わいそえて、シャキシャキ、タップリ浮かんだ三つ葉の風味もとてもさわやか。
おいしいものにお酒をタップリぶちこんだ、お腹がポワンとあったかくなる。
粋な計らい。
いい感じ。
おごちそうさまって外に出る。
なんともさわやかな涼しい風が御苑の方からふいてくる。
本格的な秋になったら、鍋やグリルの熱い料理がまた増えてくる。
それもたのしみ。
また、来よう。
ボクらのあとには、別の予約がはいっていて、それで〆を食べずに出てきた。
さて、どうしようと、しばらく思案でラーメンにした。
丸井アネックスの中に入ってるラーメン青葉。
醤油風味の豚骨と魚の節のダブルスープのココのラーメン。
かなり好きな方に属する、お気に入り。
スープを吸ってホロホロになるシットリチャーシュー。
ネギにメンマになによりうれしい好物のナルトを食べて、腹に蓋する。
ご機嫌な夜も大団円…、と思って帰る準備を始めた途端にけたたましい音。
火災発生のアナウンスと共に、エレベーターがパタっと止まる。
非常階段で降りるほかなく、がやがや、アタフタ。
みんなで列成し下に降りるも、途中で今の警報は誤報でしたとまたアナウンス。
大事がなきことは良いこととはいえ、昨日の朝の地震誤報もかなしい思い出繰り返す。
狼少年と思われぬよう。
警報発信、慎重に!
[0回]
2009/08/26 (Wed)
日記 : バー・居酒屋
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Comment(4)
テング酒場・コウジマチ
テング酒場。
今、仕事的に一番気になっているコンセプトがこれ。
安いということを心から楽しんでもらう、さまざまな工夫に満ちた大人の居酒屋。
必要最小限のメニューの広がり。
手を抜くことや、材料の質を落とすことで安くするのでなく、安く作れてしかもお客様を失望させない商品開発を一からしてる。
だからお店の人もニコニコ。
決して働き過ぎになることなくお客様を喜ばせることに専念できる。
どんな時代でも気軽にお酒をたのしむ場所を一番必要としている人たち。
つまりサラリーマンにやさしくある…、ということを一生懸命考えて、それを形にしたお店。
来る度、新たな発見がある。
さすがにもう半分、盆休みになっている東京の街。
いつもの様に、お店につながる階段にまでお客様が溢れているような、そんな状況ではないけれど、適度に満席。
お酒をたのんで、肴をいくつか。
まずはサイコロステーキがやってくる。
話題をちょっと回り道。
もしもあなたがファミリーレストランの店長だったといたしましょう。
ランチタイム。
時間がないっていう急ぎのお客様がいらっしゃった。
さて、何をお勧めしますか?
普通に優秀な店長ならば「カレーをおすすめいたします」と。
確かにカレーをご飯にかければすぐ提供できる、けれど本当に優秀な店長ならば「サイコロステーキなどはいかがでしょうか?」と聞いてみる。
普通のステーキやハンバーグなんかと違って、すぐ焼ける。
しかも熱々の鉄板にのせればお客様のテーブルに届ける時間を調理時間に当てることができもする。
しかもカレーよりも高く買っていただける、お店にとってもありがたい商品。
だからサイコロステーキをとっさにお勧めできない店長はまだまだ半人前ですネ、って。
そんなビジネスゲームを昔よくした。
そんな定石通りに、注文したら間髪入れずにやってくる、ハラミのステーキ。
見れば周りのお客様も結構な確率で、サイコロステーキをとっている。
ここのコレは頼むとすぐに出てくるからいいんだよな…、って。
しかもソーダバチバチのココの飲み物。
ハイボールやら酎ハイやらにとてもよく合う…、いい組み合わせ。
最近、メニューが変わったようで、チキンカレーのカレーソースかけっていうのを発見。
とると「チキンカツカレー(マイナス)ライス(プラス)千切りキャベツ」のような食べ物。
甘めのカレー。
結構トロミが強くて、カツの衣にしっかり貼り付きなかなかいける。
カツにカレー?って、そう考えると斬新だけど、世の中には「味噌カツ」なんて料理もある訳で、その味噌をカレーに変えたと思えば別に不自然じゃない。
むしろハイボールなんかには味噌やソースより、スパイシーなカレーの方があうような。
カレーまみれのキャベツもこれまたご馳走。
この商品開発をしている人にあってみたい…、ってそんなことを思ったりする、たのしいアイディア。
それからラーサラ。
らーめんサラダ。
北海道の居酒屋の定番メニュー。
冷やし中華では決してなくて、ラーメンを具にしたマヨネーズ味のサラダで〆の料理じゃなくて肴。
空きっ腹に酒じゃぁ、たのしく酔えない。
まずは炭水化物をお腹に入れて、それから飲もう…、っていうこの配慮。
ちなみにココの。
細め縮れ麺がプルプル、歯ごたえたのしくてしかもほんのり中がちょっとあったかい。
茹でたて。
それを冷水でキュキュッとしめたばかりなんでしょう。
冷やしすぎると小麦の旨味が死んでしまう。
胡麻の風味が鼻をくすぐるドレッシングと一緒にレタスにキュウリにそして麺。
いい感じ。
プチアメリカンドッグって遊び心満点の商品もある。
ちょうど二口分ほどの小さなサイズ。
サックリとしたホットケーキ生地が甘くてとてもなつかしい。
ケチャップ、芥子マスタード。
なんだか夏の日のお祭り屋台で買い食いしてる、そんな気になる。
おもしろい。
程よく食べた。
程よく飲んだ。
程よく満足してお勘定。
割り勘したら一人たった1800円。
最初はほどよき満席が、次から次へと人が次々やってきて、気づけばキッチリ満席になる。
たのしいコトはすばらしきこと。
次はどんな勉強させてくれるでしょうか?…、またきましょう。
[0回]
2009/08/10 (Mon)
日記 : バー・居酒屋
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Comment(4)
煮込の千成、巣鴨の夜
巣鴨。
まだ慣れぬ街にて、鼻をたよりに居酒屋に来る。
煮込の千成。
古い建物、軒に提灯。
通りに面して大きく開いたお店の前面…、開放的な入り口に焼き場が覗く。
JRの駅前広場をちょっと入った路地に面して、こんな昭和な風情が残る。
巣鴨って街。
いいんじゃないの?…、ってニッコリとなる。
おじさん、おばさん、若い衆。
働いている若い人は日本語たどたどしい男の子。
だからみんなが家族という訳じゃない…、けれどなんだか家族的なほわんとあったかな雰囲気に、吸い込まれるように気づくと座敷に座ってた。
「煮込の千成」と自ら名乗るとおりに煮込みが名物のよう。
牛もつ煮込みと牛すじ煮込みの二つがあって、牛すじ下さいっていったら残念、それは売り切れ。
牛もつ煮込みをもらうことにする。
ずっと鍋で煮込まれてるから。
たのむとほどなくやってくる。
食べる。
旨い!
飛び上がる。
味噌で煮込まれているのだけれど、味噌の味がほとんどせぬほど、肉の脂やモツの旨味がとけ込んでコッテリとした「肉のソース」のような煮汁がもう絶品。
クニュクニュとしたモツの歯ごたえもすばらしく、嫌な匂いがまるでない。
モツをしっかり下ごしらえして臭みを全部とった上、煮込んで煮込んで、煮汁の旨味をしっかり入れる。
一口ごとにおいしさ募る、これほど旨い煮込みには滅多に出会えぬ。
食べてたちまち、お気に入り。
自家製エビのさつま揚げ。
プチュンとはじける魚のすり身に、プチプチのエビ。
表面カラっと揚がってて、風味豊かでなかなか旨い。
何より手作り、揚げ立てというのが伝わってくる、口が湯気まみれになる潤い、そして熱さがごちそう。
焼酎片手に、ハフハフと行く。
不思議な程にお店の中にはゆったりとした空気が流れる。
大人ばっかり、子供がいない。
年齢的な子供じゃなくて、全速力でばか騒ぎする精神的な子供がおらず、みんなユックリ、おだやかに会話しながら酒を飲む。
自然とボクらもユックリ、ゆったり、箸を進めることとなり、気づけば熱々さつま揚げもほどよく冷める。
すると不思議と味が落ち着き、旨味がグイっと際立ってくる。
あせらずジックリ味わうたのしさ…、教わった。
運のいいコトに座らせてもらった席が、お店の一番奥から店を一望できる席。
昭和といっても多分、大戦直後にできたのじゃないかなぁ…。
程よく枯れて、渋みが滲む良き雰囲気で、のんびりできる。
カウンターはそのほとんどが一人客。
感心したのが常連然とした女性がひとり、すっと座ってビールをたのむ。
もつ煮はまだ残っています?ってさりげなく聞く。
残念ながら、今日の煮込みは売り切れで、あらあらボクらが食べたのが最後だったのかもしれないなぁ…、って。
申し訳なく思いつつ、彼女のことがどうにも気になる。
レバーの串焼き。
それからもつ焼きと一本づつとり、ビールを飲んではタバコを飲む。
煙をそっと吐き出す顔が、とてもキレイで幸せそうで。
ああ、いい店だなぁ…って、改めてこの店、この街の魅力を感じる。
ビールのジョッキを空にして、テーブルに置いた直後に立ち上がり、背筋を伸ばして、ごちそうさま…、ってお店をでてく。
ああ、かっこいい。
うっとりします。
ジャコのかき揚げ。
生干しのちょっと硬めのちりめんじゃこと、タマネギを、ポッテリとした衣をつけてサクっと揚げた、ご家庭風のかき揚げで、これまた熱々。
天ぷらって、やっぱり温度。
具がなんであれ、ハフハフするほど熱々にかぶりつくのが一番おいしい。
塩をつけ、カプっと齧るとタマネギ甘くて香りも甘い。
ときおりジャコがカツカツ奥歯を叩くのもいい。
これをうどんにのっけたら、どんなにおいしくなるだろう…、って夢見がち。
これに限らず、ここの料理はご飯のおかずや麺の具材にピッタリの、つまり味にシャキッとメリハリのある強いご馳走。
例えば煮込みもご飯にかけてハフハフしたらば、どんなにおいしく感じるだろう。
そんなくらいに強い味。
酒を飲むにはそれがいい。
こんにゃくのチリソースっていう料理があって、そりゃ一体、どんな料理ぞ?って、とってみる。
エビチリのエビの代わりにこんにゃく入れて炒めたんだろう…、って思っていたら、予想通りのこんなのが来る。
刺身こんにゃくを湯通しして、酒で炒めてエビチリソースで味を絡めたたのしい一品。
プルンプルンと食感たのしい。
ビリビリ辛くて、これまた酒のつまみにもよく、おいしいか?っていうと突っ込みどころ満載のたのしい料理。
けれどこれで390円という手頃な値段と、カロリーゼロにすくわれる。
カウンターの一番端で、しんみりユックリ、お酒を飲んでたおじさんがいて、なにか寂しいことでもあったのかなぁ…、と思っていたら、トイレにそっと立ち上がる。
手にはステッキ。
目が不自由な方だったようで、にもかかわらず誰に助けられることもなくトイレに向かう。
おなじみさんなのでありましょう。
そういえば、本来、普通のタンブラーで作られるはずの飲み物がジョッキに入ってやってくる。
お待たせしました…、って大きめの声と一緒にカウンターにトンっ。
お店の人がクルっとジョッキを回しながら、そのハンドルがお客様の手に触れるようにしてからその場を立ち去っていた。
おごちそうさまと立ち上がったら、すっと外国なまりのおにいちゃんが飛んできてそのお客さんの手に触れるよう、背中を向ける。
そしてそのまま出口まで案内しながら、また、お待ちしておりますね…、って。
スゴく優しい、いいお店。
〆の料理にスパゲティーがいくつかあって、興味半分、期待半分でとってみる。
明太子のスパゲティー。
で、これが見事に立派なスパゲッティーでビックリします。
麺は流石に冷凍麺。
けれどキチンと正しい茹で時間に茹で方で、歯ごたえたのしいアルデンテ風。
クリーミーなソースの中に、多分、2腹程も使ったのじゃないかなぁ…、おどろくほどにたくさんの魚卵の粒がツブツブしてる。
スライスニンニク。
それに海苔。
壁の穴風のムッチリ系の魚卵パスタではなくて、シットリとしてなめらかな創作イタリアン的なる明太パスタになってて、ほんとにビックリ。
これだけ食べにきてもいいかも…。
この店のこの風情にしてこんなパスタが食べられる。
なにがきっかけでスパゲティーをつくって売ろうって思ったんだろう?
なにかドラマがあったのかなぁ…、って思ったりした。
またこなきゃ!
千石に来て、初めて巣鴨で本格的にたのしんだ夜。
小躍りするほど、たのしい夜になりました。
ところで、今日。
実は、EMOBILEのデータカードを契約しました。
一緒にnetIndexっていう、データカードを差し込むと無線LANのルータになるという魔法の箱も買ってみた。
オフィスのネット環境が整うのにまだ時間がかかりそう…、というのが言い訳。
実は前から、無線LANのつながらぬ場所でも仕事をしなくちゃいけないことがままあって、そのためにモバイル通信の環境を再構築したいなぁ、って思ってた。
以前はauのデータカードを使ってた。
遅かったねぇ…、あれは。
それに比べてEMOBILEのスゴいコト。
セットアップも簡単だし、ウェブブラウジングも快適で、テクノロジーの進化を感じる。
それにあわせてこのルータ。
バッテリーをしょっているので、EMOBILEの電波のあるとこならばどこでも無線LANスポットができてしまう。
これでiPod touchでも場所を気にせずウェブ環境に入っていける。
iPhoneがうらやましくなくなっちゃうのがとてもうれしい。
文明開化!みたいな感じにワクワクです。
[3回]
2009/08/04 (Tue)
日記 : バー・居酒屋
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大人な夜の秋葉原
夜…、秋葉原。
久しぶりに旨いトンカツでも食べますか…、と丸五を目指してやってくる。
お茶の水を目の前にして、もう頭の中には丸五の色白トンカツがポワンと思い浮かんできます。
秋葉原の電気街のネオンが見えると、もう鼻先に胡麻油の匂いが香るような気さえして、気もそぞろ。
店が近づく。
あら?どうしたの…、お店があるはずの角が真っ暗。
おやおや、今日は定休日。
腹は減る。
雨は降る。
途方にくれて、とぼとぼ歩き、目に入ってきたのがこのお店。
赤津加という店。
サイバーチックにギラギラとした秋葉原なる街の真ん中。
傾きながら、踏ん張って、白壁、瓦の昭和の建物が未だひっそり建っている。
前から何度もこの店の前を通り過ぎ、どんな店なんだろう?
お店の前には刺身、天ぷら、干物におひたし。
居酒屋メニューが木札に書かれて打ち付けられてて、酒場っぽくて大衆的な店なのかなぁ…、と思いはするけど、なかなか入る勇気が出ずに、ほったらかしにしていたお店。
普通過ぎて、逆に取っ付きづらい独特のオーラを発散していて怖い。
暖簾に引き戸。
ここをガラッとあけたらば、どんな世界が待ってるんだろう…、って。
心強いことに今日は勇敢なる仲間が2人。
3人ならば束をなし、何かあっても耐えしのぐこともできますでしょう、とそれでガラッと戸を開く。
想像以上に昭和な景色。
お店の真ん中には15人程が座れるコの字型のカウンター。
中には酒燗器。
冬にはおでん鍋なんかが置かれるんでしょうか?…、コンロや古い冷蔵庫が無造作に転がっていて、そこに昭和なおじさんたちが並んでビールを手酌で飲んでる。
色っぽい大女将さんと、その娘さんと一目で分かる女将さんが一緒に働く、ああ、なんとのどかでステキな景色。
そのカウンターを囲むように小上がりがあり、2階には宴会場があるのでしょうね。
笑顔のおじさんたちが二階に上がる階段を、行ったり来たり。
○○さん、お車、到着いたしました…、とかっておなじみさんを呼び出す声が、カラコロ響く、昭和劇場をみているようなそんな気になる、たのしいお店。
メニューはまるで普通のモノしかありません。
季節の刺身がありはするけど、メニューの一番、目立つところにあるのはブツ。
マグロのブツや、たこのブツ。
赤身の冷やっと温度以上に冷たく感じる分厚い切り身。
ほんの少しの酸味を帯びたマグロ独特の旨味がジュワッと口に広がる。
クチャっと奥歯で潰れるタコ。
無造作に切り、無造作に盛る。
けれど細かに刻んだキュウリのツマや、ネットリとしたすったばかりの生わさびなど、あしらい一つにも手を抜かぬ、ああ、いい店だなぁ…、とニッコリとなる。
普通の刺身はお行儀よくして料理を味わってくださいね…、というお店からのメッセージ。
けれどこうしたブツ切りは、たのしく気軽に飲んでくださいって言われるようでホッとする。
穴子の天ぷら。
ムッチリとした分厚い穴子。
脂がのってて、噛むとムチュンと歯切れて旨味を含んだ蒸気を吐き出す。
バリっと厚めの衣は頑丈。
料理屋の揚げるはしから次々、口に運んでもらえる天ぷらならばフワッと薄めて軽い衣がおいしく感じる。
けれど居酒屋。
時間をかけてちょっとづつ、酒のつまみに食される天ぷら衣はバリっとしてて分厚い方がおいしい状態が長続きする。
大根おろしと生姜も出来立て。
ただただおいしい料理を作ってふるまうのじゃなく、食べ手の食べ方にあわせた料理をしっかり作る。
唯我独尊ではないやさしさが、結構、好き。
お気に入り。
それから肉じゃが。
甘めの出汁でご家庭風で、ジャガイモ、豚肉、牛筋と、最小限の素材で素朴にかっちり作る。
いい店だなぁ…、ってそう思う。
それにしても大人の飲み方…、ストイック。
ほとんどの人が1つか2つの料理を取って、それをユックリ時間をかけて啄むようにたのしんでいく。
酒をグビっ。
料理を一口。
酒をペロっ。
料理をひとかけ…、の繰り返し。
おしゃべりするでなく、ただただしみじみ、自分のお腹に言い聞かせるように酒をたのしみ肴をつまむ。
飲んで騒ぐ人がいるわけでなし、ほとんどの人が〆も食べずにほろ酔い加減で帰ってく。
これが日本の男の楽しみ方よ…、とボクら若造に教えてくれているような、大人なお店。
まだもう少し、人生経験積んでから来た方がよかったのかもしれないなぁ…、と。
そんなコトさえ思ったりした、勉強な夜。
アキバの街をテレンテレンと歩きつつ、〆の場所を探してさまよう。
秋葉原という街。
夜になると寂しくなること甚だしくて、容易に探せる飲食店はラーメン、カレー、牛丼それからドネルケバブのようなモノ。
大人居酒屋の続きに食べて様になる、〆はどこかにありましょうか?と探した結果。
最近、積極的に出店してる、お茶漬けの店。
「えん」に来る。
この店が入っている「アキバイチ」というオフィスビル内の商業施設。
どこも苦戦してるのでしょう?
元気がなければ、お客様の姿もまばら。
流行っていたのはお好み焼きの専門店と、海鮮丼を売りにしている気軽な居酒屋くらいなもの。
昼にはもっと違った賑わいに包まれるんだろうけど、オフィスビルから人がいなくなってしまった後のまるでゴーストタウンみたいな雰囲気。
気持ちが冷える。
この店も、ほぼ貸し切り状態でユックリできはするけど少々、寂しい感じ。
イワシと青唐辛子の味噌和えをのっけたお茶漬け。
今の季節の限定品というコトで、思わずたのむ。
つくづく「季節」であったり「限定」であったりという言葉に弱くできてる、ワタシなりぃ。
で、このお店。
料理はうまい。
米の炊き加減、その分量。
ほどよき具材の味付けと、なにより鮮度の高さも見事。
それに出汁。
昆布の甘みと風味とぬめり。
それにいりこのエグミと酸味をほのかにたたえたスッキリとした旨味と風味。
サラサラ茶漬けで食べた後、出汁だけ飲んで口をリセット。
お腹も気持ちもホッとする。
店を出る。
ビルを飛び出し広場に出たら、突然、豪雨。
いわゆるゲリラな豪雨が襲う。
亜熱帯的なる東京から、逃げるようにして電車にのった。
逃げ切った。
[0回]
2009/07/21 (Tue)
日記 : バー・居酒屋
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